クリスティアーノ・ロナウドが「真の王者」となった試合
面白そうな企画をやっているので、私も便乗してみます。
小学生からサッカーを始めて,2002年に開催された日韓ワールドカップでのスーパースターたちの姿に「世界にはこんなすげぇ奴らがいるんだ!」と子供ながら大興奮したことを今でも忘れません。
それ以来,海外サッカーにハマり,数多の試合を見てきました。
忘れられない試合というのはたくさんあるのですが,その中でも最も印象に残っている試合を挙げたいと思います。
それは,EURO2016 決勝 フランス×ポルトガル戦 です。
私個人の感想ですが,タイトルにもあるようにこの試合でクリスティアーノ・ロナウドが「真の王者」になったと思っています。
「クリスティアーノ・ロナウド」という男
彼が出てきた頃のポルトガルは,ルイス・フィーゴ,マヌエル・ルイ・コスタなどに代表されるように,黄金世代と呼ばれたメンバーたちが年を取り,キャリアの終盤に差し掛かってきたところで期待の若手として,台頭してきた選手でした。
当時のロナウドのプレースタイルは,タッチライン際でボールを受け,ステップオーバーやエラシコなどトリッキーなフェイントを多用して,相手を抜き去っていくテクニカルな選手でした。
マンチェスター・Uへ移籍を果たし,当時のエースであったルート・ファン・ニステルローイがレアル・マドリーへと移籍をしてから,スコアラーへと変貌。
07-08シーズンでは,チャンピオンズリーグ,プレミアリーグの2冠を達成し,個人でもバロンドールを受賞。08ー09シーズンでは,ペップバルサに決勝で負けてしまうも,リーグとFAカップの2冠を達成し,それを置き土産にレアル・マドリーへ。
レアルでの経歴は記憶に新しいところでは,ラ・デシマ(CL10勝)やCL3連覇でしょうか。
現在では,リオネル・メッシとともに世界最高の名をほしいままにする,歴史に残るスーパースターです。
そんなロナウドですが,先人たちにあってロナウドにないものがありました。
それは国際タイトルです。
ジダンやロナウド,ペレやマラドーナはワールドカップをものにしています。
ですがロナウドはこの時まだメジャーな国際タイトルを取ったことがありませんでした。
そんな中,行われたEURO2016でしたが,この時のポルトガルは決して順調ではありませんでした。
ウェールズ戦までは90分以内に勝った試合がなく,グループリーグではすべて引き分けの3位突破。
下馬評では,圧倒的フランス有利。ホームというアドバンテージもあって,圧勝するだろうというのが周囲の意見でした。
悪夢の前半25分
この試合に懸けていた想いというのはほかの誰よりもロナウドがあったでしょう。
ですが,事件は起こりました。
前半の25分を回ったところ,縦パスを受けたロナウドにプレスをかけてきたディミトリ・パイェと接触。この接触が元となり負傷交代してしまいます。
涙を流しながらピッチを後にするロナウドには,私もつらい思いを感じました。
その後のポルトガルは,防戦一方。フランスがいつゴールを割るのかという空気の中,守備陣が奮闘し90分では決着が付かず延長戦へ。
監督「クリスティアーノ・ロナウド」
延長へ入ると,テクニカルエリアには監督であるフェルナンド・サントスだけでなく代表のジャージを着たもう一人が立っていました。
そう。クリスティアーノ・ロナウドです。
痛々しい足を引きずりながら,ピッチの選手たちに声を張り上げるロナウド。中の選手たちとともに戦うことをやめなかったのです。
必死にチームを鼓舞し,活力を与え続けた結果,それが実ります。
そして試合は延長後半の108分…途中出場のエデルが劇的なミドルを決めて1-0ポルトガル先制。
そのまま終了し,悲願のEURO制覇を果たしました。
12年の時を超えて…
ロナウドがまだ若い時,ポルトガルはEURO2004で決勝まで足を運んでいました。
この時のカードがポルトガル×ギリシャ
誰もがポルトガルの勝ちを信じて疑いませんでした。
ですが結果は0-1の敗戦…
この時,人目もはばからず涙を流すロナウドの姿に「Cry baby」という異名が付きました。
12年の時を超えて流す涙は,嬉しさからこみあげてくる涙。
12年越しの悲願を成就し,母国ポルトガルに初めてのメジャーな国際タイトルをもたらしたのです。
次の世代へと受け継がれる「思い」
ポルトガルは現在第2の黄金世代といっても過言ではないほどのメンバーが揃ってきています。
現在のヨーロッパのビッグクラブと呼ばれるチームの中核にはポルトガル人選手がいます。
ブルーノ・フェルナンデスを筆頭に,ルベン・ディアス,ベルナルド・シウバ,アンドレ・シウバ,ジョアン・フェリックス等々…
新たな黄金世代を携えたポルトガル,その旗手として次回のワールドカップを虎視眈々と狙うロナウド…
ワールドカップの歴史に勝者として名を残せるか…とても楽しみです。