『家庭菜園』
悪友のSが酔った勢いで語った話。
「うちの家、そこそこ庭が広いこともあってさ、婆ちゃんがずっと家庭菜園やってたんだけど」
ある年、採れるニンジンがほとんど二股で、まるで男性の下半身みたいなのばかりだったことがあったそうだ。
別にどこかに出荷するわけでもなく、家で食べるからいいのだが、婆ちゃんはもちろん、他の家族も気味悪がった。
「そんな中、俺だけは心当たりがあってさ」
当時Sは高校生。恥ずかしながらと前置きして「毎日、手慰みしてたんだが」と聞きたくもない告白をしてくれた。さらに凄いのは、
「イカ臭いティッシュが大量にゴミ箱に残るのもアレだろ? かといって毎回1階のトイレに流しに行くのもシンドイし」
考えた挙句Sは、2階の窓から庭に向けて射精していたというのだ。
「これだと部屋も臭くならないし、夜に忍び足で両親の部屋の前を通てトイレに行かなくても済むし」
婆ちゃんの菜園の肥料に足しにもなるかと思ったんだけど、効きすぎたのかな、とSは頭をポリポリ掻いた。
もちろんSは自家製のニンジンを食べなかったし、今も嫌いなままだそうだ。