何でか、この場面が好きである。第14回
御存じSF映画の金字塔。今さら恐れ多くて批評なぞ出来ませんので、あくまでも自分なりに印象に残った場面を。
わかもとの宣伝。ガフの折り紙。タイレル社長の変なメガネ。人工フクロウの眼。デッカードの笑い方。中盤、酒場で飲む時の白い変形グラス。ゾーラの安い雨合羽みたいな衣装。指で弾くと点く蛍光灯。意外にタルタルなルトガー・ハウアーの肉体。髪を下したときのレイチェルの可愛らしさ…ん? これ、キリが無いぞ。
逆に言うと、この映画は印象的なシーンばかりなのである。
この数秒のために、どれだけの時間が掛かったのだろうと見ていて軽く眩暈を覚えるほど。褒めちぎるならば、全編動く前衛的アート。これだけの才能と情熱を注がれて作られたら…そりゃ歴史に残る傑作にもなります。
それでいてデッカードとレイチェルの最初の濡れ場が、意外にも「淫語言わせるプレイ」だったりするから侮れない。ベッドに入る前にあれじゃ、あの後どんだけスケベなこと言わせたんだよ! おい、デッカード!
で、今回も「ネタバレ注意」しつつ、最後の〆に入ります。
≪字幕か吹き替えか≫
洋画を見る人間の、永遠のテーマ。ちなみに私は両刀使い。どちらでもイケます。最近は字幕を目で追うのが疲れるので、もっぱら吹き替えですが。
この作品に関しては、完全に「字幕派」です。何でかって? 多分最初に観たのが吹き替えで、デッカードの声とあまりにもマッチしていたもんですから。
ほとんどの場面、酸性雨が降り続く夜という暗い画面から、一気に陽の当たる、緑全開のラストへ。そこにあの声でナレーションが被さる。
ハッピーエンドかバッドエンドか? これも同じく意見の分かれるところでしょうが、私は断然前者。なので、やはりこの爽快なラストシーンがないと落ち着かない。
2018年にパート2が公開予定と聞いて、観たいような観たくないような。複雑な心境です。自分の中では既に完璧な作品なので…