Relationship (殆ど惚気)
最近はもう彼氏が外人だって事実に驚かれることにも飽きて、どうでもよくなってきて(笑)出会ってたまたま意気投合している恋人がアメリカ人だっただけ、というふうに思うことが多くなった。それくらい、普段の外人という違和感がなく、「なんでむしろ、そのへんの日本人より分かり合えるんだろうな?」と不思議に思う。お互いに相手の母語(日本語・英語)が完璧じゃないのに、尚更不思議だ。
そんな折、私の初彼氏を思い出して、外人君に話した。
私にとってはトラウマ級の別れ方をした初めての彼氏で、暗い思い出やストーリーばかりが思い浮かぶけれど、彼はコミカルに脚色をしてくれながら聞いてくれた。
他人にショックを与えたい、みたいな願望がある男の子だった、と私は話した。「そういう男、高校に一人はいるよね、僕の時もいたなぁ…いきなり大勢の前で男相手にキスしだしたり!過激な性行為をしたりね!」…「もっとシニカルでダークだよ」と付け加え、アメリカのハイスクールのヤバめな男子生徒のイメージとはあまり一致しなかったが、外人君の中で元彼がそのような位置付けをされていることが面白くなって、外人君は自分の高校時代にいたヤバいやつを思い出して笑い始める始末で、「まぁいっか」と思え、脚色に感謝した。
私にとって初めての彼氏は、恋愛ではなかった。
一方的な、恋。愛しておらず、恋しかしていなかったと思う。相手はどうだったか今では知るよしもないが、少なくとも私は、愛せてなかった。恋の語源は「乞い」だという。needs,wants. 一方で愛は利他的なものだと解釈している。I wanna make you happy… そういった気持ち。私は最初の彼氏を相手に、愛を欠いていた。
その後恋仲になった相手は、逆に愛ばかりだった。とても一方的な愛は、自虐的なほどだった。そのため次第に気持ちは親心のようになり、相手もまた母親に甘えるような態度になっていった。当然、長続きしなかったが、愛した人ランキングでは私の人生で1番かもしれない、と思う。
外人君は愛してるか恋してるかなんて考える余地もないほど、自然と一緒にいるだけのような感覚になる。英語ではダーリンやハニーのほかに恋人同士が「other half」「better half」と呼び合うことがある、それは2人でやっと1つになるから、お互いhalf同士なんだと、彼が説明してくれた。それを私は気に入ってよく使い、お互いをそう呼び合うことも多いが、感覚としてもそんな感じに近い。
過去の失敗があるから今があると思う…
いや、失敗なんていうと相手方に失礼だな、過去の、苦い経験。それなりに頑張ったけれど、縁がなかった方々。
外人君にも末永き縁が続くかどうかなんて、誰にも分からない。けれど、私は決意した。私と彼の間には猫がいる、一緒に暮らし始めたタイミングで友人から譲り受けた猫だ。別れを考えるたび、「猫をどっちが引き取ろう?」と想像してしまう。けれど、決意したのだ。猫はその寿命が来るまで2人で責任を持って育てよう、と。不安に駆られることが全然ある、けれど思い出す。決意を。
喧嘩しても必ず修復する、より絆を強くしなやかにしていく。大事にする、必ず。毎日はできないかもしれない、愛することばかりはできない、傷付けることもある、傷つけてばかりの日々もある。傷付けられる日もある。それでもお互いがお互いを許せる限り、大事にし続ける努力を止めない、簡単に諦めない。…そう、決意した。
決意しても忘れるだろう、破るだろう。それでも何度だって悔い改め決意し直す。決意し続けると決意した。
恋人は殆ど毎日アメリカに住む母親とビデオコールをする。私と喧嘩したことを話すと母親は笑うそうだ。「Relationshipなんてそんなものよ」と。
それでも絡まり合い過ぎて千切れてしまうrelationshipも知ってる。だからこそ、絡まり合いまくっていないという今、この状況がわかる。わりと絡まってないな、と思える。初彼やその次の彼氏とは、お互いに安い釣り糸のように繊細で細かったし、絡まりやすかったよな、と思う。私と外人のrelationshipはいま、アオダイショウくらい太く、絡まらないし千切れない。千切れる前に逃げる速さすらある(笑)
この確信に近い思いを持って、決意したのだ。
少々のお馬鹿は多めに見よう。少々のうるささは常常多めに見ていただいているのでね、多分。
いま、ともに同じ猫を愛で育てるこの瞬間を大いに喜び合おう。