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私にとってのthe pillows
the pillowsとの出逢いは、高校2年生だ
当時気になっていた先輩が、iPod nanoを貸してくれた
サブカル風の彼の聴く音楽がとにかく魅力的で、
CDの貸し借りから始まり、ついにはiPod nanoを貸してくれた
履歴の中に、The pillowsがある
三角のスタートボタンを押す
当時、学校では、RADWINPS/ELLEGARDEN/BUMP OF CHICKENなど
邦楽ロックの中でも比較的J-popよりのものたちが流行っていた
the pillowsは1989年からスタートしているバンドだが、
多分私たちの世代かといわれると、そうではない
Rock In Japanが茨城で開催されているので、
夏になると、音楽好きな同級生は粋がっていくのだが、
夏フェスで彼らをみたことがない
でもなぜか、心を掴まれてしまったのだ
近所のTSUTAYAに行って、当時レンタルできるすべてのアルバムをかごに入れる
いまでこそ、サブスクでいろんなものが聴けるけど、一曲ごとに買うと高いから、
5枚で1000円のTSUTAYAが最強だと思っていた
食欲旺盛、デートで粋がりたい高校生にとっての1000円は、
大きな買い物なのである
それでも気になる音楽が気になって仕方がなかった
ちょっとハスキーな鼻声と、絶妙にダサいロックンロールな歌詞、
ジャンプのような精神論、いいリズム感
そんなものに、絶大な好意を寄せた
高校では、才色兼備なあの子や、頭の切れる人気者、授業で寝ていても9割の成績をとる人
全国大会を目指して部活に燃える子、最強の調整役
多才な人が多く、圧倒されていた
頑張りたいのに、うまくいかなかったり、自分なんてと自信を無くしたり、
頑張ってみたりの繰り返しで、何者かになりたい、なれないのジレンマに
日々心がぐらぐらしていたから、ストレンジカメレオンに何度、支えられたかことか
たとえ世界がデタラメで
タネも仕掛けもあって
生まれたままの色じゃ
もうダメだって気づいても
~
もしも全てが嘘で
ただつじつま合わせで
Is this love ?
This is love!
キミにあいたいな
理由がなくちゃすぐ会えないなら
何か考えなきゃ
iPod nano 先輩が、受験勉強シーズンに突入し、なかなか会えなくなった
雨に打たれても
花はうつ向いたりしないぜ
何か失くしても
キミを離さない
部活の合宿で、いい人を気どりすぎて、疲労困憊で苦しくなった日
こうやって、高校生活思春期、真っただ中の私の心を、鼓舞してくれた
高校を卒業し、神奈川の大学に進学することになる
人生はじめての一人暮らしが始まる
引っ越しの日は、親が神奈川に来ることはかなわず、
大家さんも目の前に住んでいる安心感から
ただ一人での引っ越しとなった
ずっと家族と暮らしてきた贅沢さから、
一人であるということが、当時の私には少し大人になったようで、
恐れつつも、浮足立つ感覚だった
まだ、引っ越し業者がきていない
空っぽの部屋が寂しくて、窓という窓を開け放し、
春の風を取り入れて、床にごろんとする
そしたらギターをかき鳴らす音が聞こえてきた
きみの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を走ってきた
Funny Bunnyを大声で歌う隣人の声がした
最高の春の始まりだった