(追記必読)若手研究者の論文集・研究書出版に関する“一揆”の呼びかけ
追記(9/3 22:42)
平林緑萌様(下記参照)より、「混乱を招く」「当方としては必要を認めない」とのご意見をいただいたため、一旦表題の募集を停止し、本文にあったGoogleフォームへのリンクを削除しています。
何らかの形でアクションを起こしたいとの焦りが私にありました。お騒がせして申し訳ありませんでした。
再び追記(9/11 22:00)
上記について、本文で引用しているTogetterまとめ主の仲見満月さんとも協議いたしました。
私としては本件について一旦「手を引く」形としました。少なくとも今回の呼びかけは「凍結」といたします。本当に申し訳ありません。
ただし、若手研究者に関する問題については、仲見さんとともに引き続き取り組んでいくつもりです。
私個人としては、出版に関する技術(Markdown・Pandoc)の普及やその活用を通じて、学術の発展へ間接的に貢献していきたい所存です。
今後もよろしくお願いいたします。
(以下、オリジナルの本文です)
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フリーライター・エンジニアの藤原 惟(Twitter:@sky_y)と申します。
私は普段、特に文書執筆・DTPを支える技術について、解説書(Markdownライティング入門)を書いたり、ソフトウェア(Pandoc)の普及活動を行っています。
一方で、情報科学系の大学院(修士課程)に5年在籍した後、健康上の理由で研究の道を諦めた経緯もあります。その背景もあり、「研究」「学術」に関して普段から関心を持っております。(特に「ITと文化・社会・人間」というテーマに強く興味があります)
平林緑萌さんによる問題提議
さて、8/31に平林緑萌さんが、若手研究者の論文集出版について、次のように問題提議をされました。
反応
これに対して、多数の賛同や意見・議論が寄せられています。仲見満月さん(ブログ:仲見満月の研究室)が、これらのツイートをTogetterにまとめられています。
この問題に興味のある方は、下記Togetterまとめを一通り読んでみてください。
特に、「日本史史料研究会」がいくつか重要なコメントをされています。
同様に、「英明企画編集」も出版社の立場でコメントをされています。
提案1:オンライン会議場の開設&決起集会
私からは2つの提案をします。
まず、学術出版に関心や憂いのある方々で集まりましょう。
その上で、次のような事項を検討すべきと考えます。
・出版の目的は何か?そもそも「商業出版」だけがマネタイズ・研究発表の手段か?(同人誌形式、クラウドファンディング、各種助成・ビジネスモデルとの比較検討)・「何が問題か」「困っている人(利害関係者)は誰か」の整理・現状分析(市場、研究業界・研究者の状況、研究分野ごとの状況の違い、学術書に関する出版業界の状況)・不足しているリソース(いわゆるヒト・モノ・カネ・情報)・解決策・ビジネスモデルの提案
ひとまず、オンライン上で議論をする場所を、暫定的に作ります。直近はTwitterで、メンバーが増えればオンラインチャット(Discordなど)で議論できるようにします。
その上で、可能であれば対面で議論できる場所、すなわち「決起集会」を開催できればよいでしょう。
オンライン会議場へのご案内
下記Googleフォームにて、必要事項とアンケートにお答えください。
(9/3 22:42 一時的な募集停止のため、リンクを削除しております。)
フォーム送信後、折り返し連絡いたします。Twitterアカウントをお持ちの方はDMグループに招待いたします。(メール・Facebookのみの方は、後日ご案内いたします)
※ 各自のSNS・ブログなどで、上記GoogleフォームのURLを共有しても構いません。簡潔でもよいので、必ず主旨説明を添えてください。
提案2(私案):オンデマンド出版(POD)による出版コストの削減
以下は私案です。調査不足のため具体的な数字などが出ていない状況ですが、ご参考までに。
上記で「少部数の出版が困難」という課題が出ていました。確かに、従来の出版では「初期コストの高さ」「大量の在庫を抱えるリスク」がネックとなっていました。
一方、現在はプリント・オンデマンド(POD)による印刷技術により、「少部数・低コスト」の印刷が容易になりつつあります。加えて、編集フローにおいて電子書籍を前提とすれば、低コストで「紙書籍・電子書籍の両方に対応」できると思われます。
参考:株式会社インプレスR&D「NextPublishing」
インプレスR&Dは、「NextPublishing」という電子出版プラットフォームを開発しています。インプレスR&D編集部による出版に加えて、著者向け「POD出版サービス」や、出版社向け「出版ブランドサービス」を提供しています。
電子書籍はAmazon Kindleへ配信可能。紙書籍についてはAmazonのPODサービスが基本。オプションや売れ行きによっては三省堂書店などのPOD対応書店にもできるようです。
・オールデジタルによる編集、制作、流通手法なので、圧倒的な低コスト・短期間で発行できる。・電子書籍と印刷書籍が同じ編集・制作プロセスで発行できる。正確には、最初にデジタルマスターを作り、それを元に電子書籍、そして紙書籍(印刷書籍)を作る(デジタルファースト)。・印刷書籍では、プリント・オンデマンド(POD)を活用しているので、品切れがなく、末永く販売できる。・電子制作システム(DAM:Digital Asset Management)と電子流通システム(DAD:Digital Asset Distribution)の両方を含む電子出版モデルである。
NextPublishingとは | 電子書籍とプリントオンデマンド(POD) | NextPublishing(ネクストパブリッシング)
このNextPublishingを用いて、学術書のPOD出版を進めている事業もあります。
・理系の出版:「近代科学社DIGITAL」
・人文系の出版:「アスパラ」(イースト・マイクロコンテンツ・インプレスR&Dの共同事業)
このような既存の取り組みをふまえて、「歩調を合わせる」か「自分たちの方法・視点を模索する」かを検討すべきでしょう。
理工学書などを手掛ける出版社の株式会社近代科学社は8日、大学研究者のための出版サービスブランド「近代科学社DIGITAL」を立ち上げた。大学に所属している理系研究者から広く原稿・企画を募り、同ブランドで積極的に出版していく。(中略)“売れるか・売れないか”という出版社側の都合で書籍化の可否を判断するのではなく、著者自身の判断で、論文や研究成果などを書籍化できるようにするのが狙いだ。PODのため、従来の専門書よりもさらに販売部数の少ないような書籍にも対応できるようになる。
“売れない理工学書”積極的に出版へ――近代科学社、大学の研究者から広く原稿を募ってPODで書籍化 - INTERNET Watch
その他の論点
なお「出版コストを抑えられる」といえども、編集・校正/校閲・制作・流通/営業のコストは発生します。これらのコストを「誰が」「どのように」負担・回収するか?という観点で、議論を進める必要があるでしょう。
また、PODでコストを抑えるとはいえ、編集・制作・流通などの業務にかかるコストは発生する。そこで近代科学社DIGITALでは、出版社と著者との“共同出版プロジェクト”というかたちをとる。いわば“売れるか・売れないか”分からない書籍の出版リスクを、双方で分担するわけだ。具体的には、著者に出版分担金を負担してもらう予定だ。その額は、1タイトルにつき基本30万円を想定しているが、通常の自費出版よりも安価だとしている。(出典は同上)
最後に、「論文集・研究書としての業績」「学術的な価値・正確さ」をどのように担保するのか、逆に「一般向けのわかりやすさ」をどれぐらい追求するのか、という論点があります。
特に、分野によっては「どの出版社が、どのような形態で出版しているか」が評価に関わってくる場合もあるでしょう。既存の評価基準では、歴史の浅い出版社よりも、伝統的な学術系出版社が有利かもしれません。
以上をふまえて「著書を研究者の業績として認めてもらう方法」を模索すべきでしょう。
ひとまず、私論は以上とします。
最後に
まずは、集まりましょう。この問題に興味のある方は、ぜひGoogleフォームでご登録ください。
他に、質問・不明点があれば、Twitter:@sky_yでリプライ・DMをください。
よろしくお願いいたします。
藤原 惟
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