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大好きなスペインで9ヶ月働いてみた正直な感想

スペインのバルセロナに来てもう9ヶ月が過ぎた。
今振り返るととても濃く、忙しい日々でとても充実した1日だったなと思う。
スペインのワークカルチャーに驚いた部分や、大変だった部分について綴っていく。


スペインと日本の働き方の違い

まずびっくりしたことが、スペインのワークライフバランスの良さ。
会社によって違うと思うが、基本的にスペインの方がワークライフバランスが圧倒的にいい。
何となくは知っていたが、いざこっちのスペインの会社に就職してみて、就業規則・労働基準法を確認してみると、しっかりワークライフバランスが取れるように設計されている。日本との違いのカラクリは文化・法律が大きく占めていると思う。
まず法律の部分から違いを話すと、年間残業可能時間は80時間。
日本だと月間80時間超えると産業医面談があるレベル。
スペインは年間80時間以上は残業ができない。月平均にすると月に7時間も残業できないレベルだ。きっと日本人からするとこれは残業がないに等しい。
次に残業代の違いだが、日本は残業代は+25%なのに対して、スペインは+75%だ。なので会社としても残業はさせたくない。時給2,000で1時間残業すると、日本なら1時間で2,500円、スペインなら3,500円。これなら人が足りないなら、長期的に見ると採用した方が安くつくだろう。
あとはバケーション文化だ。これはヨーロッパ全体的な文化でもあるが、スペインは年に22日有給が付与される。これは全て一気に使うと1ヶ月のバケーションが取れるように設計されている。
こんなに労働環境が整ってるスペインでも、労働環境改善の話が進んでいて、来年から法律で週の労働時間が37.5時間になることが決定した。
法律で決定したということは、正社員であれば全ての人が37.5時間以下しか働かないということだ。
この法律が施行されることが決定した際には、私も思わずガッツポーズをした。
他にもレストランやショッピングモールなども定休日があるところが多く、サービス業であっても固定の休みがある。しまいにはお店ごと1ヶ月閉めてみんな一斉にバケーションを取る店も多い。サービス業の大抵は繁忙期の前などに店を1ヶ月閉めて、みんなバケーションを取ることが多い。
なスーパーやレストランが日曜日に空いてなかったりすることも多い。不便に感じる一面もあるが、社会全体が休めるようにするに店を閉める必要があるので、個人的には好きな文化だ。最初の方は閉まっているとむしろテンションが上がっていた。

スペイン内での文化の違い

スペインも他の国同様に国内で大きく文化が異なる。大きく5つくらいに分けれるが、それぞれ文化や歴史に対しての捉え方が違う。
スペインといえばシエスタ(昼寝)の文化が有名だが、バルセロナではシエスタ文化はそこまで強くない。アンダルシア地方など南の方がシエスタは文化として強い。アンダルシア地方は夏の一番暑い季節になると40度程度まで暑くなるため、昼間は働けたものではない、というところからシエスタ文化は来てると言われている(諸説あり)。
ただバルセロナの方は夏でも30度近くで、湿気も日本に比べると少なく、比較的過ごしやすい。そのような気象の違いからも、バルセロナのシエスタ文化は強くない。※とはいえ携帯屋さんや公共の図書館はシエスタ時間(13:00 ~ 16:00 くらいの時間にしまってることが多い。)
私が住んでるバルセロナはカタルーニャ州という州でとてもフランスに近い州。

スペイン カタルーニャ州

ナポレオンが侵略してきた際には、フランス領になった過去もある。

ナポレオンがポルトガル侵略したいから、スペイン素通りさせてくれへん?攻撃はしやんからー。と言いスペインを侵略してきた時の地図

右上の青い部分がカタルーニャ。ナポレオン侵略時にフランス領になっていた期間は6年だが、地政学的にもフランスとの関わりは強い。
言語としてもカタルーニャ州はカタルーニャ語というスペイン語にとても似た別の言語を話し、地域公用語でもある。ルーツはスペイン語と同じラテン語で、スペイン語とフランス語とイタリア語を混ぜたような感じの言語だとみんな言う。最近Duolingoでカタルーニャ語の勉強を始めたが、個人的にはまだイタリア語らしさは見出せてない。
他にも以下のような地域公用語がスペインには存在する。

  • バレンシア語 (valenciano):バレンシア州(カタルーニャ語の方言と言われてる)

  • バスク語 (euskera) :北部のグルメで有名なバスク州で話されています。

  • ガリシア語 (gallego):北西部のガリシア州で話され、ポルトガル語に似ています。

スペインの公用語の地図

その中でもバスク語という言葉はラテン語言語のルーツではなく、言語として全く違うので、全然似ていない。バスク語は学問的にはまだどこがルーツの言語かははっきりとはしておらず、とても面白い言語だ。バスク地方は "país vasco" 「バスク国」という呼ばれ方をしており、カタルーニャと同様に独立意識が高い地域だ。

カタルーニャの人々について

カタルーニャの人は勤勉で真面目だと言われている。
19世紀中頃から綿紡績・織物工業を中心とした工業化が進展し、20世紀前半から中頃にかけては紡績・織物、製鋼、自動車、化学工業などが成長した。最近まで日産の工場もカタルーニャにあった。
バルセロナは国際的かつ、スペイン各地から移り住んできた人も多いので、さまざまな人種がいるが、時間に関して割としっかりしてるなと思う。
私の会社はシエスタはないし、朝早くして夕方早く帰る人が多い。
カタルーニャ出身の人はカタルーニャ語に誇りとこだわりが持ってる人が多い。同僚もよくカタルーニャ語で話していて、やっと最近カタルーニャ語が少しわかるようになってきた。特にカタルーニャの田舎やサッカーの久保建英選手も前所属していたマヨルカなどの離島はカタルーニャ語の文化が強い。訛りも強く、カタルーニャ語を話さない私でも気付くくらい違う。
我々日本人が意識する "明るくてパリピで、太陽が降り注ぐ中踊るスペイン人" はどちらかというとアンダルシア地方の人のイメージだ。
スペインの中では北東に位置し、フランスに近いカタルーニャは文化的な一面もある印象だ。

実際に9ヶ月働いてみて

スペイン企業の素晴らしいところとして、初年度から有給がマックス与えられる。年間の月割りにはなるが、4月入社の私の場合は17日の有給が今年与えられた。郷に入っては郷に従い、きっちり17日全て消化させてもらった。
バケーション文化を存分に満喫し、今年はセルビア(ベオグラード)🇷🇸、イタリア🇮🇹(ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ)、フランス(パリ)🇫🇷、スペイン🇪🇸(セビージャ、コルドバ、グラナダ、マラガ、ミハス、ロンダ)と各地に旅行した。合計して1ヶ月以上旅行した。
私がエンジニアかつ、私の会社が緩めな会社ということもあるが、旅行後にもメールやSlackはあまり溜まっておらず、バケーションは取りやすかった。
ワークライフバランスは取りやすく、働きやすさとしてはとてもよかった。
その分、仕事としてのやりがいは著しく少なく、日本でやっていた仕事と比べると骨のない仕事だと感じている。これはスペインの会社がどうこうというより、完全に会社による話。労働許可証やビザが会社からの援助で発行されているので、転職がしにくいというのは外国で(労働許可をもらって)働くデメリットだなと思う。
自由度も高いし、時間は比較的取れるので大きな不満はない。お給料も悪くはない。

バルセロナでの生活

バルセロナの生活は割りかし気に入ってる。大きい都市なのでイベントや催し物も多く、退屈しない街だ。夏には無料でグエル公園という観光地でナイトムービーを嗜めたり、

グエル公園で巨大スクリーンで映画

バルセロネータというビーチで映画を見れたり、無料で楽しめるイベントがたくさんある。

ビーチで映画

他にもスペインには中南米からの移民が多いので、各国のお祭りやイベントが開催される。

メキシコ祭りでのダンス

高いビルは基本的になく、街として綺麗に設計されている。
有名なガウディの建築から、その時代に切磋琢磨したガウディのライバルなどに手がけられたたくさんの有名建築が見られる。

バルセロナの街並み
かの有名なサグラダ・ファミリア

文化に溢れた輝かしい街。綺麗に設計された都市。
そんな素晴らしいバルセロナにももちろん悪いところもいっぱいある。

バルセロナで生活する辛さ

スペインを始め、ヨーロッパ各国の大都市では住宅不足が蔓延している。
移民、Airbnbやオーバーツーリズムの影響から大都市の住宅は不足し、値段の高騰もすごい。なので住宅やマンションを買える人は率先して買っている。ここバルセロナでも購入が当たり前で賃貸は多くない。
そのため賃貸で家の貸りるのは想像を絶するほど難しい。3ヶ月弱に渡り、ほぼ毎日物件探しをして8件ほど内見に行き、やっとの思いで今の家に決めた。私は自分のPiso(アパート)を貸りたが、ルームシェアだと割りかし簡単に見つかるイメージだ。ただ、ルームメイトの当たり外れもある上に、オーナーの意向次第では新しく入ってくるルームメイト選べないこともある。
大体の人はワーホリビザで来てルームシェアを探すことが多いと思うので、その場合も日本にいる段階から部屋探しすることをお勧めする。ドイツに住む友人も家探しに苦労してたので、ヨーロッパの都市部に移住する人は基本的に住宅不足問題に遭遇するつもりで用意をすると良いと思う。

場所によるが道は汚いし、ゴミは多い。タバコの吸い殻や缶のゴミ、犬のフンがその辺に落ちている。歩きタバコも多い。綺麗さでいうと圧倒的に日本の方が水準が高く、清潔感でストレスを感じる人も多いだろう。私はそこまで感じる方ではなかったのだが、半年以降じわじわとボディーブローのようにバルセロナの汚さが嫌になってきた。

想像以上に日本食が恋しくなっている。普段全く食べなかったラーメンの動画をやたらと見るようになったり、日本のコンビニや激安チェーン料理屋が日に日に恋しくなっている。スペイン料理も好きだが、高いし、安いものは美味しくない。安くて美味しくて品質が安定してる日本の飲食業界の素晴らしさを改めて感じた。
日本に留学やワーホリしてたスペイン人も日本のコンビニを恋しいと嘆くことが多く、日本のコンビニは本当に素晴らしいなと思う。
他にも電車はしょっちゅう遅れたり、休止になったりするし、賞味期限切れのものは売ってるし(レジに通してもエラー検知がされず、消費者が気付かないとそのまま)、物乞いのホームレスは多いし。悪いところもたくさんある。全てがいい街なんてない。結局は何が重要視するか、が肝になるんだと改めて思う。

9ヶ月住んでみた感想

嫌なところもたくさんあるが、私は総じてバルセロナが好きだし、人もとても親切で好きだ。いろんな人がいるのでいろんな価値観を見れる。
比較的時間があった分、興味のあることを色々追求してみたり、ルーティーンを変えてみたり、余裕のある暮らしをしてみて改めて自分がどのように行きたいかが掴めてきた。3か国語目を勉強してるうちに言語学について自ら気付きを覚えて、少し言語学を学んでみたり、観光業に興味を持ったり。まだ若い方なのでエンジニアキャリアだけではなく、色々なことに挑戦したいなと思った。既存の趣味も追求したいし、新しい趣味も極めたい。いくら労働時間が減って、バケーション増えてもやりたいことは尽きないなと思った。最近はAIの凄さに感激してるので、AIの勉強もちゃんとしようと思う。また来年が一年楽しみだ。

さいごに

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現在働いているスペインの地元企業に転職するまでの話も下記のnoteにて書いてます!
海外企業への転職、ビザ事情、海外でのリモートワークなどが気になる方はよければ下記記事もご覧ください!

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sora💻ブロックチェーンエンジニア@バルセロナ🇪🇸
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