年下彼氏との付き合い
そんな感じで彼との付き合いが始まった。しかし会社では立ち位置が違う為、極秘と言うより絶対にバレてはいけなかった。私は役職なので一般社員との交際がバレたら業務連絡すらままならなくなる。何故ならこの会社はゴシップネタが好きなおばさんやおじさんが沢山いるので業務連絡であっても仕事中にイチャついてる、くらいに取られるのである。正直めんどくさいのでバレたくないのだ。役職なので出勤時間も退勤時間も違う。部署も違うので会社ではそんなに顔を合わせる事も無かった。
週末のデートに向けて彼から毎日ラインが来る。おはようからおやすみなさいまで。
まるで中学生の交際のように毎日ラインをする。
週末は彼が指定した時間の電車に乗り途中で合流する。そして彼が作ったデートプランで1日行動する。途中、手を繋いだり腰に手を廻してきたりと意外にもベタベタするのが好きなようだ。しかし私はベタベタするのが苦手である。可愛い女の子を演じた事がないのでわからない。そんな彼と過ごしていると何故だか心が休まる。特に何か話したりしなくても一緒に居るだけで落ち着く。私の為に一生懸命にデートプランを考えてくれてたりする事を想像すると愛しさすら湧いてくる。
彼「今日は泊まれる?」
私「え?」
彼「帰らなくちゃダメ?」
私「いや……でも泊まるって何処に?」
彼「まだ決めてないよ。聞いてから決めようと思ってたから」
私「あ~。別に泊まれるけど…」
彼「じゃあOKだね」
彼はまた嬉しそうに笑顔で私の手を取り歩き出した。しかし手を繋ぐ事が苦手な私はぎこちない。彼が何となく歩きづらそうである。そしてデート先から彼の地元に向かう為電車に乗る。歩く時、電車に乗ってる時、買い物している時といつも彼はくっついて来る。私は慣れて居ないのでそのまま放置していた。その時
彼「くっついたら嫌?」
私「何で?」
彼「全然返してくれないから」
私「え?返す?」
彼「もしかしてあんまりこんな風にした事ない?」
私「うん」
そしたら彼は教えてくれた。手の繋ぎ方や腰に手を廻された時の事など少し笑ってしまいそうになったが慣れない私の為に教えてくれる彼が可愛かった。最初は彼に対して感情など持っていなかったのにいつの間にか愛しさや可愛さが芽生えてきた。またに出る押しの強さには男らしさを感じる事さえあった。そして彼の地元に着いた。
彼「どうしようか?ホテル行く?」
私「え?」
彼「今日泊まりで大丈夫なんだよね?」
私「まぁそうだけど。」
彼「泊まるとこ探そう」
私「うん」
油断した。私は24時間営業の温泉施設に行くのかと思っていた。何故ならデート中にそんな話をしていたからだ。彼の地元にもあるから疑いをしなかった。しかし彼の中での宿泊先は違っていた。彼は色々探したがどこも満室。今日は週末。しかも夜の22時。空いてる所は少ないだろう。そして
彼「どうしようか?」
私「さっき話していた温泉施設は?」
彼「一緒に寝れないじゃん」
私「いや、別に今日だけしか会わないとかの話じゃないし…」
彼「今日は一緒に寝たかったのに…」
私「まぁ来週もあるし」
彼「いや、今日じゃなきゃ嫌だ」
私「………………」
彼「あ!ネカフェ行こう」
私「ネカフェ?」
彼「うん」
そう言ってネカフェに向かった。受付で彼が店員と話している。部屋が決まったようで彼に連れて行かれ別室のような所に更に扉が4つある。途中にシャワー室やトイレもあった。4つある扉の1つを開けると3畳くらいの部屋にソファーやテーブルがあった。ネカフェにしては豪華である。最初はお互いソファーに横になりテレビを見ていたが彼が急に起き上がりソファーやテーブルを動かし始めた。ソファーやテーブルを部屋の端に寄せて広い空間を作ってそこに寝ころがり私を呼ぶ。私も彼の横に寝る。腕枕をしてきてキスをしようとしたので 口を押さえた。
彼「何?」
私「ここではそう言う事したくない」
彼「大丈夫だよ」
私「嫌だ」
彼「じゃあチューだけ」
私「…………」
そんな彼が可愛くキスだけならと思い許した。しかし胸も触ってきたので唇を離した。
彼「ダメなの?」
私「ダメ!」
下を向いている彼が愛しく抱きしめた。
本当は怖かった。子供2人産んだ身体。10歳の年の差。身体を見られるのが怖かった。筋トレなどはしているものの10歳差と産後20年以上。同世代と比べたらたるんではないが10歳下と比較したらまず無理なレベル。それが怖かった。SEXだって何年?何十年してない?もはややり方忘れたレベル。全てにおいて怖かった。
彼は私の腕の中で子供のように寝ている。愛しく思った。私に子供意外の事に愛しさを感じたのはペットの猫以来である。正直彼が何故、私を好きになったのか謎である。私は職場では一切女は出さないようにしている。職場では男性も女性も平等でいたいからだ。それなのに彼は私を職場で女として見ていた。私の中では謎でしかない。でも寝顔を見ているとそんな事はどうでも良くなってくるくらい愛しく思う。久しぶりに何となく幸せってこんな感情だっけ?なんて思った。
次回につづく