毎日が幸せな日々。しかし心は見えない恐怖に怯える日々。
彼と付き合ってからは毎日充実していた。職場では部署も違うから会わない日もある。しかし仕事が終わってスマホを見ると彼からラインが来ている。
いつの間にか仕事の後の楽しみにもなっていた。
週末までは毎日、寝るまでラインが続く。そんな彼に私はどんどん惹かれていく。
しかし、ふとした時に不安が過る。彼は10才年下。いつ振られるかわからない不安から自分の心にブレーキをかける時も多々あった。
好きになればなるほど別れも辛くなる。そう思うと怖くなった。
でも、彼に惹かれていく自分に嘘もつけない。見えない恐怖が常に心のどこかにあるのか振られる夢を何度も見た。会えない平日は不安しかなかった。
週末は私が彼の家に行く。何をするにもそばに居る。台所でご飯の支度をしていても、シャワーを浴びる時も洗濯物を干す時もちょっとコンビニ行くだけでもいつも一緒に居る。週末に彼と過ごしていると平日に考えている不安は打ち消される。
エッチした後はそのまま全裸で寝る。そして目覚めにまたエッチをする。
私が生理の時は手をつないで寝る。今までの人生の中で1番愛情を感じる。こんなに愛情表現をする人は今までに出会った事がないくらいだった。
外に出掛けても常に手をつなぐか腰に手を回すかかならず身体のどこかが触れている。私は少し恥ずかしいが彼は堂々としている。
たまにガラスに映る彼と私の姿を気にしてしまう。
彼に私は似合っているのか?と…。
周りはどう見ているのかと。
10才差は若い頃はいいが40代と30代ではだいぶ違うのでやはり気になる。
ある週末、寝ていたら彼に起こされた。
彼「大丈夫?」
私「えっ?」
彼「うなされてたよ」
私「あ、ありがとう」
彼「何か変な夢見たの?」
私「あ…うん」
彼「大丈夫?どんな夢?」
私「……大丈夫」
そう、その時に見ていた夢は彼に振られる夢だった。若い彼女が出来ている夢だった。辛かった。
彼「何?大丈夫?変な夢?」
私はそんな夢の内容を彼に話せなかった。しかし彼が…
彼「悪い夢を見た時は他人に伝えた方がいいよ。黙ってると正夢になるんだって」
私「えっ…本当に?」
彼「昔、そんな話を聞いたから俺は嫌な夢を見たら必ず友達とかに話すよ」
私は戸惑った。話して彼に嫌な思いさせたら嫌だしでも本当に正夢になるのも嫌だし…
寝起きで頭が回らず正夢になるのが怖いと思って話してしまった。
私「実は若い彼女が出来て振られる夢を見たの」
彼「へっ?何それ」
と言いながら笑っていた。
彼「バカだなぁ。そんな事あるわけないじゃん。苦しかったね。辛かったね。俺はSKYと結婚したいと思ってるよ。本気だよ。だからもうそんな事は考えないで。」
そう言われて抱きしめられた時には涙が溢れていた。私が恐れていた見えない恐怖が一気に消えた。私の中ではまだ彼を信用してなかったのかもしれない。だから見えない恐怖に押し潰されそうになっていたのかもしれない。
彼「一緒に暮らす?そうすれば不安は無くなるでしょ?子供達と話して良かったら一緒に住もう。」
嬉しかった。こんな私の不安を消す為に彼が言ってくれた言葉が本当に嬉しかった。私はただただ泣いているだけで言葉を返せなかった。彼は抱きしめながらずっと頭を撫でてくれた。どちらが年上なのか年下なのかわからなくなっていた。
週明け仕事終わって家に帰り子供達に話した。
子供達は…
もう二人共、成人してるし今度は自分の幸せ考えたら?別にお母さん居なくても生活出来るから気にしないでいいよ。今まで子育て頑張ったんだからもう自分の幸せ掴みな!
涙が出た。こんな風に子供達に言われると思ってなかった。一生懸命子育てして良かった。子供の為に生きてきて良かったと心底思った。
そして彼とのあらたな生活が始まる。
………つづく