とうとう「教育委員会」の扉を覗いてみた。
とある日。
小学校から配布された、市の教育委員会が作成した冊子を読んでいた。
するとそこに
「教育総合会議」という記事を見つけた。
市役所で、市長と教育委員会の面々が公に行う会議で、一般市民も傍聴可能との事。
「おぉ…!!」
ここ1~2年、政治に関心を持つようになってから「いつか議会を傍聴したい」と思っていた。
でも、どうせ傍聴するなら「子供」「教育」「学校」に関する事案が良い。
「教育総合会議」
これはドンピシャだ。
時間も場所も、とても都合が良い。
私はひっそりと初潜入を試みた。
ただの一般市民です
「一般の傍聴席は先着50名」
そう書いてあったので、私は焦っていた。
会場時間前から並ぼうか?とも思っていたけど、結局色々と時間の都合がつかず開場してから15分程で到着した。
受付へ行くと先に傍聴席に座っていた方はたったの1名。
「報道関係者さんですか?」と聞かれ「あ、ただの市民です」と返事をした時、妙に恥ずかしかった。
後から傍聴席に来る人も、どう見ても「報道関係者」ばかり。
「ただの一般市民」らしき人は私しかいない💦
会議が始まるまでの間、アウェイ感が凄くて居心地が悪かった。
よく考えたら、会社のミーティングだっていつも飽き飽きしている。
口を挟めるワケでもない会議を傍聴するなんて、失敗かもしれない…。
退屈で帰りたくなったらどうしよう…。
そんな不安も抱えていた。
会議に夢中
ところがである。
会議が始まると全く「退屈」を感じなかった。
この日のテーマは
・教員不足と働き方改革
・時期教育計画の策定について
というモノだった。
主に「教員不足」に関する話題が8割を占めていたけれど、私は最初から最後まで資料にメモを沢山書いて夢中で聞いていた。
ネット番組や報道でよく展開されているような議論だったけれど、私の住む市町村ならではの「市の特性」も随所に出てきて興味深いものだった。
例えば「女性の管理職比率」
これは長男の小学校の校長・教頭、学区の中学校の校長も女性なので肌感覚で多いと感じていたけれど、事実「全国平均と比べて突出して多い」という事が分かった。
また、「人権」「SDGs」等の教科学習ではない「市独自の授業」が数多く展開されている事等も改めて知る事ができた。
工藤イズム
この日のメンバーは
・市長
・教育長
・教育委員 数名
という構成だった。
与えられたテーマについて、それぞれが意見交換をするという流れだったのだが、教育委員さんの中に「明らかに工藤イズム!」と感じられる方がいた。
工藤とは、工藤勇一先生の事である。
工藤イズム!と感じた委員さんは
・チーム担任制の必要性
・自主的と主体的の違い
等を懸命に訴えていた。
私は途中から、その委員さんの名前をスマホで検索して何かX等のアカウントを作られていないか探してみた。
でも残念ながら見つからなかった。
絶対あの方は工藤先生の本を読んでいる。
私は工藤先生の様な発想で、教育をデザインされる事を強く望んでいる。
あぁ、あの委員さんに一言話しかけたい!!!
参加して良かった
会議終了後、私はその委員さんと話すチャンスを探っていた。
しかし会場内で勝手にウロウロしたら怒られるかもしれない…。
そう思い名残惜しい気持ちを残しながら退室し、廊下で少し様子を見ていた。
すると先程の「工藤イズム委員さん」が秘書と思われる方と歩いてきた。
私は思い切って声をかけた。
「先ほど、傍聴させて頂いたただの市民なんですけど。凄く感動しました!!」と。
実は、その委員さんは「工藤イズム」だけではなく、「現役で小学生を育てている子育て中の母親」という意味でも自分と境遇が近い感じがした。
エピソードが母親としても共感できるモノが多かったし、こういう「現役子育て中の女性」が市の教育委員会のメンバーに存在して下さる事がとても心強かったのだ。
感想を伝えた後に「工藤勇一先生の本とか読まれてませんか?」と聞いてみると、委員さんはニッコリ笑って鞄の中からこの本を取り出して見せてくれた。
「バレちゃいましたか」と茶目っ気たっぷりな笑顔が素敵だった。(←推し活か!)
実は数カ月前に工藤先生が市の教育委員会向けに講演をされて、教育委員や職員の中でも「工藤イズム」に染まっている人は複数人いるとの事だった。
おぉ、希望の光!!
最後に子供の小学校を聞かれた。
委員さんはうちの小学校のシルバーさん(町内会の人)と会議でお話された事があるらしく、すぐにどこの学校か分かってくれた。
あぁ、繋がった。
ずっと工藤勇一先生が示すような教育を理想としてきた。
うちの市町村はどうなんだろう?どういう方向性なんだろう?
美辞麗句は沢山並んでいるけど、実態はよく分らない。
そう思っていた。
でも、同じ様に考える人が市の教育委員という中枢にいる。
更には教育委員が「年配の男性」だけで構成されておらず
「年配の女性」も「子育て中の女性」もいる事が分かった。
YouTubeでも配信されたので、わざわざ傍聴しなくても良かったかもしれない。
そう思ったけれど、現地へ足を運んだからこそ出会う事ができた。
やっぱり足を運んで良かった。
遠くのカリスマをどんなに追いかけても、中々自分の生活には影響がない。
だけど、自分の住む市町村の教育委員会は来年度、再来年度の子供の学校生活にも大きく影響を及ぼす。
傍聴したから何か変わるわけじゃない。
だけど、市の子供のために頑張ってくれている人にエールを送りたい。
子供が一番長く接する先生の課題を知り、何か一つでも役に立ちたい。
自分には何ができるだろう?
そんな事を考える良いきっかけになった。
また機会があれば、参加してみたいと思う。
今日も有難うございました。