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親の葬式に間に合わない?

父の危篤を知らされて、イギリスから日本に一時帰国しようとしている。

「家に帰るだけなのに、なんて難しいの!」

コロナ禍で、日本政府は水際対策をとっていて、イギリスの地方に住む私は、北海道の片田舎の実家に戻るまでに、いくつものハードルを超えなければならない。

①ハードルその1~出国前のPCR検査

イギリス出発前72時間以内にPCR検査を受けて陰性だという証明が必要。この検査、どこでも受けられると簡単に思っていたが、今日、領事館の人と話したところによると「日本政府は質の高い検査を要求しているから、ロンドンのヒースロー空港でしか受けられない」という。「まさか、そんなことってある?」ロンドンから遠いイギリスの地方に住んでいるので、地方の空港から出国しようとしていたが、その計画が消えた。ロンドンに行って、検査受けて陽性だったら、また家に戻ってくるの?実践的ではなさすぎて、他の方法はないか、今現在調査中。領事館の人も、いい情報がないみたいだった。

②ハードルその2〜14日間の隔離

イギリスを出国できたとして、日本に到着してから14日間の隔離が課せられる。この14日間は公共交通機関の利用ができない。東京に着いて、国内線で北海道に移動するまでに14日間も待つのかと思うと本当に悲しすぎる。領事館の人に「親の葬式なのだから、特別措置はないのか?」と尋ねたら、「ウェブサイトに載っている情報しか自分たちも知らない。日本の検疫所に問い合わせてみたら?」と言われた。私は、今週末にワクチンを接種することになっている。ワクチンを打ってても14日間の隔離が必要かどうか、日本政府のサイトに載ってない。わからないことだらけである。

③ハードル3〜実家の田舎の人たちがイギリスからの入国者を拒絶している

田舎とは狭い世界で、他者の侵入を極端に恐れているものである。おそらく、このゴールデンウィーク中も、国内であれどこであれ、誰かが別の地域から帰省でもしていたら、その家族ごと袋叩きにあって、批判されているであろう。その地域で生きていけなくなる。それが、ましてやイギリスは日本政府が上陸拒否国に指定している国。変異ウイルスを持ち込むという脅威の存在だ。母親は、近所人に迷惑かけるから帰ってこないでと言っている。近所の人の目を気にせざるを得ないのも田舎の常識。イギリスから来る私は招かれざる客である。

父はあと数日しかもたないと言われているが、私はどうやら、父の死に目どころか、父の葬式にも参加できないのかもしれない。こんな事が、私の身に降りかかるとは予想もしていない人生だった。ただ、自分も混乱しているし、落ちついて、何かいい方法がないか調査を続けてみる。

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