記念日
毎晩のように会いに来てくれる彼を待つ事が幸せに感じていた。
仕事で疲れた心身をお互いで癒し合って愛し合った。
切り出したのは私の方だった。
「あの、付き合ってもいいよ。」
彼は嬉しそうに聞いてきた。
「すかい記念日、大切にするタイプだったよね?今日が記念日だね。」
あの日、マッチングアプリで出会って2ヶ月が過ぎようとした頃だった。
「ううん、今日は数字のキリが悪いから20日にしたい!!」
20日までは正式に、一週間位あった。
「分かった。でも20日までに、やっぱり付き合うの辞める 、なんて言わないでね?」
と笑うから私も笑った。
私達は誰よりも愛し合っている。
この世で一番愛している。
この気持ちを言葉で表すなら
「最愛だ。」
彼も私も 最愛だと納得したんだ。
記念日も決まり彼がペアリングをプレゼントしてくれる事になった。
愛されていると凄く嬉しかった。
彼が最後の人になる確信をした。
彼も私を心から愛してくれた。
それは決して嘘じゃない。
誰に批判されても愛し合った歳月は純粋な愛その物だった。
お互いに夢中になっていた…そう思っていたのは私だけだったのかもしれない。
…。
「これから一生よろしくね。愛してるよ。」
私は彼を見送る。
深夜1時頃。
あ。
彼は何処へ帰ってるんだろう…。
彼の住んでいる場所を知らない事に気づいた。
いや。気づいてしまった。
恋人なのに、知らないなんておかしいよね。
そこから最愛が歪んでゆく事になる事を思い出すと今でも胸が苦しくなる。