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DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

本書は、人生の充実度を最大化するためには、老後までに資産をゼロにすることを目指すべきだと主張し、そのための戦略として、経験への投資、子供や慈善団体への早期の援助、健康への配慮、そして大胆な決断を推奨しています。単なる富の蓄積ではなく、人生のあらゆる経験を最大限に享受することを重視した生き方を提唱しています。

1.経験への投資

経験の価値とその「配当」

著者は、経験を株式や不動産のように将来の幸福を生む「投資」として捉えています。その理由は、経験が思い出という形で人生を豊かにし続けるからです。若いうちに経験へ投資することで、体力や時間、好奇心が最も充実している時期に多くの価値を享受できると説きます。

思い出の配当: 経験は、時間とともに価値を高め、人生に長期的な満足感をもたらします。
: 20代で借金をしてヨーロッパ旅行をした人が、経済的には変化がなくても、その思い出が生涯にわたり豊かな影響を与えました。

積極的な行動が鍵

充実した人生を送るためには、受動的な生き方ではなく、積極的に人生を歩む必要があります。自動操縦のように漫然と生きるのではなく、自分の人生を自分で舵取りし、時間とお金をどのように使うか意識的に選択する必要があります。

2.大胆な決断:リスクを恐れず行動する

著者は若い時に大胆になることを推奨しています。著者は、20代前半であれば、リスクの高いキャリアを追求すべきだと考えています。なぜなら、もしうまくいかなかったとしても、やり直す時間があるからです。たとえうまくいかなかったとしても、その経験から学ぶことができるので、価値があると考えられています。

また、年を重ねても大胆になれる方法があります。それは、自分のためにお金を使うことに大胆になることです。人々は人生を無駄にすることよりもお金がなくなることを恐れており、そのマインドを変える必要があります。

3.子供や慈善活動への早期援助

子供への援助は、若い時期に行うことでより大きな効果を発揮します。調査によれば、26歳から35歳の間に贈与を受け取ると、お金の価値を理解しつつ、人生の可能性を広げるために活用できると言われています。また、慈善活動への寄付も、社会への還元という形で豊かな人生を実現する手段となります。

4.「ゼロで死ぬ」を実現する具体的な方法

「ゼロで死ぬ」という考え方は魅力的ですが、実際に生きている間に資金が尽きてしまうリスクを考えると、不安を感じる人も多いでしょう。

人生の終わりがいつ来るのか、誰にも正確に予測することはできません。しかし、だからといって、漠然とした不安に支配され、人生を楽しむことを諦めるべきではありません。パーキンスは、人生の不確実性に対処するために以下のことを推奨しています。

生存閾値(生存に必要な最低限の金額)の計算

生存閾値の計算方法:生存閾値 = 0.7 × (年間生活費) × (残り寿命)

様々な保険会社のウェブサイトで無料で利用できる平均余命計算機は、あなたの年齢、性別、健康状態などの情報に基づいて、平均的な余命を予測してくれます。これはあくまでも予測値ですが、自分の人生設計を考える上で、有益な情報となります。
生存閾値に達したら、積極的に貯蓄を切り崩し、経験にお金を使うべきです。
・注意事項:
 - 生存閾値はあくまで目安: 将来のインフレ率や投資収益率、医療費の増加など、予測不可能な要素も考慮する必要があります。
 - 健康状態の変化に注意: 年齢を重ねるにつれて、医療費などの支出が増加する可能性があります。 定期的に生存閾値を見直し、必要があれば貯蓄額を調整しましょう。
 - 人生の優先順位を考慮: 生存閾値は、経済的な安全を確保するための最低限の基準です。 あなたの人生における価値観や目標に基づいて、貯蓄額や支出計画を調整することが重要です。

生存閾値を超える貯蓄
生存閾値を超える貯蓄は、将来の不安を軽減するだけでなく、より豊かな人生経験を得るための投資として活用することができます。
例えば、
旅行:国内旅行や海外旅行など、新しい文化や景色に触れることで、視野を広げ、人生の喜びを増やすことができます。
●趣味: 音楽、絵画、スポーツなど、自分の好きなことに時間を費やすことで、日々の生活に潤いを与えることができます。
自己投資: スキルアップセミナーなど、自分自身の成長に投資することで、将来の可能性を広げることができます。
●家族や友人との時間:大切な人たちと過ごす時間は、お金では買えない貴重なものです。

2.リスク許容度と貯蓄額の調整

「ゼロで死ぬ」を実現するためには、自分自身のリスク許容度を理解することが重要です。リスク許容度とは、将来の不確実性に対して、どの程度の損失を受け入れることができるかを示すものです。

• リスク許容度が高い人:将来の不確実性に対する不安が少なく、多少のリスクを許容できる人は、貯蓄額を少なく抑えることができます。 その分、若い時期に多くの経験にお金を使うことができます。
• リスク許容度が低い人:将来の不確実性に対する不安が大きく、リスクを避けたい人は、より多くの貯蓄が必要になります。 しかし、過度な貯蓄は、現在の人生を楽しむ機会を奪ってしまう可能性があるため、留意する必要があります。

著者は、リスク許容度と平均余命計算の結果を考慮しながら、自分にとって適切な貯蓄額を決定することを推奨しています。

5.健康への投資

健康は人生の充実度を左右する最も重要な要素の一つです。本書では、健康を「経験を楽しむための最大の乗数」と表現しており、健康状態が良好であればより多くの経験を楽しみ、人生をより充実させることができると述べています。

「1回の経験から得られる充実感は健康、経済的余裕、自由な時間の3つに依存しますが、その中でも健康が生涯の充実曲線に最も大きな影響を与える要素(または乗数)です。私たちのシミュレーションによると、人生のある時点で健康がわずかに悪化するだけでも、生涯の充実度に大きな減少をもたらします。」

今の健康状態が理想の状態から2%離れているとすれば、10年後や15年後にはその差が20%になるかもしれません。つまり、健康の悪化には複利のような効果があるのです。

本書では、健康への投資の重要性を次のように説明しています。
● 健康状態の悪化は経験の質を低下させる
著者は、膝の痛みや体力の低下により、ハイキングや旅行を楽しめなくなった友人たちを見てきたと述べています。このような健康状態の悪化は、人生の楽しみを奪ってしまう可能性があります。
● 健康への投資は将来の経験の質を高める
若い頃から健康的な食生活や運動習慣を身につけることで、加齢による体力低下の影響を最小限に抑え、より長く、より多くの経験を楽しむことが可能になります。健康への投資も複利のような効果をもたらし、将来の健康状態に大きな影響を与えます。
● 健康はお金では買えない
いくらお金があっても、健康を損なってしまえばその価値を享受することはできません。一方で、健康であれば、たとえ経済的に余裕がなくても多くの素晴らしい経験をすることが可能です。

このように、人生の充実度を高めるためには健康への配慮が不可欠です。若いうちから健康的なライフスタイルを送り、健康への投資を継続することで、より多くの経験を楽しみ、豊かで充実した人生を送ることができるでしょう。

まとめ

本書は、お金と人生に対する一般的な考え方を一変させる、刺激的で示唆に富んだ一冊です。著者の洞察は、人生の経験を心から大切にし、後悔のない人生を送るために、お金を単なる手段としてではなく、目的を達成するためのツールとして活用することの重要性を教えてくれます。


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