プラスチックで貧困を解決!
先日、「プラスチック革命」という本を読みました。
最近、海のゴミ問題が話題になっていて、特にプラスチックは深刻です。海に漂うマイクロプラスチックは、魚や鳥、イルカやクジラなどの生き物の腹の中につまり、最悪、人間が捨てたプラスチックが死においやってしまうこともあります。さらに、マイクロプラスチックは海の有害な物質を吸着してしまう性質をもっていて、人間にも、がんや生殖機能の異常などの病気をもたらしてしまうことが研究で発表されていきます。 このままでは、2050年には海で、プラスチックの量が魚よりも多くなってしまうと言われています。 そのため、プラスチックの回収は急務なのです!
「プラスチック革命」という本を読んで知ったのが、貧困問題とプラスチック問題が同時に解決できるということです。 みなさん、ウェイスト・ピッカーという言葉を知っていますか? 日本語で訳すとゴミを拾う人、という意味で、日本ではホームレスの人々が空き缶などの資源を回収してリサイクル業者に売って生活している、という例が多いと思います。 本書では、そのウェイスト・ピッカーにプラスチックを拾ってもらおう、と提案しています。 今の段階では、プラスチックがお金になるというのは、あまり事例がありません。本当に回収してリサイクルができているのは、ペットボトルやキャップ、トレーなどが多いです。日本ではプラスチックごみを回収してこといますが、おおよそはサーマルリサイクルと言って燃やしてエネルギーに変える、中国などの発展途上国や東南アジアに”資源”として輸出されてきました。ですが、中国やマレーシアなどはプラスチックの受け入れを事実上禁止し、今世界中のプラスチックごみが行き場を失っています。 つまり、日本ではプラスチックをリサイクルできているのは少数で、活用の仕組みづくりができていないということです。 そこで著者は、プラスチックに価値をつけてウェイスト・ピッカーに拾ってもらおうと考えたのです。 価値をつけるというのは、とても難しいことです。なぜならプラスチックは非常に多くの種類があり、添加物などもつけられていて、多くの場合は汚れているのでリサイクルということ自体が難しいのです。そうなると、プラスチックを燃やすという方法が一番効率的になります。 ①ウェイスト・ピッカーがプラスチックを拾い、回収業者に売ることで収入を得る →貧困の方々を助けると同時に、地上のプラスチックをなくす。 ②プラスチックを熱分解をして、エネルギーにする。 →クリーンエネルギーを作る ということになります。ちなみに熱分解とは、酸素がない環境下で物質が熱によって分解し、新たな分子となるプロセスです。酸素がないため、温室効果ガスはほぼ出ません。また、プラスチックの燃焼について、ダイオキシンなどの有害物質が出るのではとの心配がありますが、フィルタリングを用いればその可能性はほとんどゼロになります。 このように、本当に生活が苦しく、アルミ缶などを拾って暮らしている人々がプラスチックというゴミではなく新たな資源によって生活を向上することができ、さらにプラスチックごみについて解決の兆しが見えます。
最近、プラスチックの問題を危惧しているという消費者の声に、企業はおにぎりの包装プラスチックを工夫することでプラスチックの量を減らしたり、紙製に近い包装にしたりとしています。ですが、プラスチックの量を工夫したと言って、様々なプラスチックを組み合わせ、紙といってもよく見たら完全には紙ではなく、プラスチックを少量含んでいる、といった、リサイクルをより困難にする、見せかけだけの企業の姿勢が多々見られます。今の状態ではリサイクルは不可能です。あとは熱分解という方法しか残されていません。日本の道端には、ポイ捨てされたプラスチックがたくさん落ちています。地上にあるごみはほとんど海に流れていってしまいます。このままでは海は汚れていくばかりなのです。それを解決するために、早急にプラスチックに価値をつけるとともに、プラスチックフリーに向けて企業が取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。
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