窓辺からの眺め#11
夜が更けて部屋の明かりだけが静かな部屋を照らす。明日も学校がある。しかし、ベッドに横になっても、眠りが訪れる気配はない。頭の中で一つの名前が繰り返し呼ばれている。「大翔」。名前を一つずつ口に出すたびに、その人物の存在が現実のものとして強く感じられて、心臓がきゅっと締め付けられるような感覚に襲われる。
そんな彼の存在が、毎日の生活を一変させていく。それまでの日常が何か色褪せたように感じられ、彼とのやり取りだけが鮮やかな色彩を放つ。彼の一挙一動が、心の中で特別な意味を持つようになり、それが幸せであったり、苦痛であったりする。
もう少し勉強すれば、テストの成績が上がるかもしれない。でも、考え事をしていると、すぐに時間が過ぎてしまう。一向に終わらない課題の山を見つめながら、そんな時間の流れに苛立ちを感じる。
でも、この感情が何なのか、自分でもよくわからない。ただ、彼と関わることで感じる感情が、どこか満足感を覚える。それが、好きだという感情なのか、それともただの興味なのか。
そんなことを考えながら、ベッドの上で身を横にして、じっと天井を見つめる。あと少しで眠りにつけそうな予感がする。大翔のことを思いながら、そのまま静かに目を閉じて、眠りに落ちる。