ドーピング問題の先に見えるもの
シークレット・レースという書籍がある。自転車競技界のドーピング問題を暴露した問題作という側面と、薬で汚れた世界で苦悩しつつもトップに登りつめ、そして挫折する著者の光と闇を映すヒューマンドラマとしての側面を持つ、読み応えのある書籍だ。
これを読んでいた時、私には他人事に思えなかった。私は脳をドーピングしていると言えなくもないからだ。
私はADHDだ。脳内のドーパミンを増やし、集中力を高めるためにストラテラという薬を毎日二錠飲む。この薬は、巷でスマートドラッグと言われる部類のものだそうだ。
米国の大学生の五人に一人、英国の大学生の十人に一人が記憶力などを高めるスマートドラッグを使っているらしい。
https://wired.jp/2017/08/17/smart-drugs-and-youth/
スマートドラッグが広まれば、受験など学力試験でのドーピングが問題になるのではないかと思う。センター試験、コンクールの前後に尿を採取してドーピング検査する時代が来るのかもしれない。
ここ最近の自転車競技では、内部にモーターを仕込むメカニカルドーピングや、喘息の薬を大量摂取して気道を広げるドーピングが問題視されている。
小型化された通信機器、記憶装置の利用、記憶力を格段に上げる薬などの蔓延で、受験も自転車競技と同様に腐敗が進むのかもしれない。
それを防ぐためにどうすれば良いのか、それとも皆に自己責任で薬を好きなだけ使わせるほうが正しいのか。僕にはまだ結論が出せていない。