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「ぜ、全部、デタラメなんです。サウナで除霊なんて」 熱波師、田中は震えていた。サウナにいるのに悪寒と脂汗が止まらない。額や膝が焼けるように熱いのは、土下座しているからだ。 「仕事クビになって、テントサウナしか手元になくて。スピ系で一発当てようとしたら、すげえウケちゃって」 「別にいいと言っておるじゃろ?はよう面を上げい」 優しく彼に声をかける女は、田中の今日の客だ。しかし、田中は必死で首を横に振る。 「だ、だから、マジで霊とか」 「面を上げい」 田中の顎が、見えない何か