ホイールアライメントって何?ズレ調整・測定をしないとどうなる?必要費用もまとめて解説
3級整備士の闇です!
第146回の今回はホイールアライメントについて書いていきたいと思います。
〈ホイールアライメントとは〉
ホイールアライメントとは、「車軸を適正な角度」に調整することです。 詳しくは後ほど解説しますが、ホイールアライメントで調整すべきことはいくつかあり、調整することで、車が持つベストな走行性能を発揮させることができます。
〈ホイールアライメントに欠かせない〉「角度」
ホイールアライメントでは、キャンバー角、キャスター角、トー角という3つの角度を調整します。
・キャンバー角
車を正面から見た際のタイヤの角度のことをキャンバー角といいます。
ハの字のように内側にタイヤが傾いている状態を「ネガティブキャンバー」、逆ハの字に傾いている状態を「ポジティブキャンバー」と呼びます。
キャンバー角は、直進安定性とコーナリング性能に関係するアライメントです。ネガティブキャンバーにすることで、コーナリング中のグリップ力を向上させることができます。 一方ポジティブキャンバーにはあまりメリットがないので、現在の車では基本的に設定されることはありません。
ネガティブキャンバーを極端に設定したものは「鬼キャン」と呼ばれますが、他パーツへのダメージが大きいのでおすすめしません。過剰な設定は、違反改造とみなされることもあるので注意しましょう。
・キャスター角
キャスター角とは、キングピン軸の傾き角度のことです。横から車軸を見たとき、後部に傾いくほどキャスター角が大きくなります。
傾けることで外乱の影響を受けにくくなり、「直進安定性」が向上します。ただし、傾けすぎるとハンドルが切りにくくなってしまいます。
・トー角
トー角とは、上から見たときの車体に対するタイヤ前端の角度のことです。タイヤ前端が内向きになっていることを「トーイン」、外向きを「トーアウト」、真っ直ぐの状態を「トーゼロ」と呼びます。
人間に例えると内股がトーイン、がに股がトーアウトということになります。
トーインになると直進安定性が向上し、トーアウトにするとハンドリングが向上します。前輪のトー角は車種によって異なりますが、後輪はトーゼロが一般的です。
〈ホイールアライメントに「ズレ」が生じる原因〉
ホイールアライメントは、カスタムや衝撃によってズレが生じます。例えば、以下のようなことが起こった場合です。
・インチアップ
・サスペンションの着脱
・車高調整
・縁石への衝突
・事故による衝撃
・経年劣化
「車のメンテナンスを目的に触っていたのに、実はその行為がズレの原因だった」ということあるので、ホイールアライメントも定期的にチェックしましょう。
また、長時間走行しているとホイールアライメントにズレが生じることがあるので、注意してください。
〈ホイールアライメントを調整しなかったら?〉
ホイールアライメントのズレを調整せず放置していると、タイヤの片側だけが擦り減ってしまう偏摩耗となり、寿命が短くなることがあります。さらに、ハンドルが左右に流れてしまうリスクもあります。走行時にも影響が出るため大変危険です。
・キャンバー角がズレていると
キャンバー角が左右でズレていると、真っ直ぐ走らなくなったり、ブレーキング時に車が左右に流れたりします。
キャンバー角がズレていると、なぜ車が左右に流れてしまうのでしょうか?これは、キャンバースラストと呼ばれる効果が原因です。10円玉を立てて転がすと、傾いたほうに曲がっていきます。これがキャンバースラストです。
キャンバースラストは揃っていれば相殺されますが、ズレているとスラストが弱いほうに曲がっていってしまうのです。
またキャンバー角がズレていると、タイヤの端が極端に摩耗することがあります。地面に対して角度がつくため、タイヤが地面に均一に接地しなくなるからです。
タイヤの端が極端に摩耗している場合は、キャンバー角がズレていないか点検しましょう。
・キャスター角がズレていると
キャスター角が左右でズレていると、角度の小さいほうのタイヤがつんのめるようになってしまうため、キャンバー同様に車が左右に流れてしまう原因になります。
特にブレーキング時は、それが顕著に現れます。
・トー角がズレていると
トー角が左右でズレている場合も、同様に車が左右に流れる原因になります。トー角はタイヤの左右の向きを表しているため、角度の大きいほうに押し出されて車が曲がってしまうのです。 例えば、左後輪のトー角が右後輪よりも大きい場合、左から押し出されて車は左に曲がってしまいます。
また、直線に対して強い角度がついた状態になるので、タイヤも偏摩耗を起こすでしょう。どこかのタイヤが極端に減る場合は、トー角のズレを疑ってください。
〈ホイールアライメントの調整で実感できるメリット〉
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