片桐早苗は「記憶」のアイドルである 〜直近の片桐早苗4部作を振り返り〜
はじめに
今回は大和亜季Pとして、何かとご縁をいただく片桐早苗さんについてのお話です。
と言っても、彼女の全てを拾おうとすると割と膨大になってしまうので、デレステでの直近4つの大きな出番であるものを片桐早苗4部作として取り上げて、推察、思想、偏見、妄想、思い込みを書き連ねていこうと思います。
(コミュやカードの親愛度メッセージなどのネタバレを含みます)
※途中、ハロウィン限定SR[狂宴ヴァンパイア]が登場しておりこちらも語れるところはありますが、実質モバマスの再録であり再解釈・再構築に近いと思われるものなので飛ばします。
片桐早苗4部作とは
星環世界(楽曲イベント、6thアニバ)
2021年8月30日開催
オールデイズフィーバー☆(恒常SSR)
2022年1月14日プラチナガシャ追加
ハートボイルドウォーズ(楽曲イベント)
2023年1月20日開催
イノセンス☆エンジン(ノワールSSR)
2023年12月15日ノワールガシャ追加
こちらの4つ、ただ直近のものを集めただけではなく、この中でほのかにやってることや言ってることに繋がりを持ちつつ、それでいてテーマがまとまっていると思ったため、今回取り上げさせて頂きました。
「夢を蘇らせる」星環世界→オールデイズフィーバー☆
星環世界は、LIVEのイメージとなるムービー、劇中劇を踏まえたコミュになります。
遠い未来で、個性の尊重や自由な表現が禁止された世界において、早苗さんの演じるサナエを含めた9人がかつて失われた禁止文化「アイドル」になり、歌を全宇宙に響かせていくストーリー。
9人は禁止文化とされ失われたアイドルというものを、自らの存在をもって「蘇らせる」のです。
このアナザーコミュで生き残りとして、「アイドル」の歌やダンスを継承をしてくれたヘレンさんの発言。
この次の年頭に恒常SSRとして追加されたオールデイズフィーバー☆の親愛度メッセージにも、これに強く通じるものがあるのではないかと思います。
「でも、そう上手く続かないのが世の中よね。
時代の徒花なんて呼ばれて、ディスコ文化は
あたしが大人になる前に消えちゃった。
けれど、あたしたちには記憶が、憧れがまだ残ってる。
だったら、蘇らせちゃえばいいのよね。
アイドルには、夢を実現させる力があるんだもの♪」
ここで上の方のヘレンさんの言葉。
大人になって世間は変わり、ディスコブームは過ぎ去ってしまったけど、自分の中に憧れとして残っていた火を、アイドルとしての自分の形として燃え上がらせた、早苗さんに通じるものがあるのではないでしょうか。
そう思うと、時期的に逆説的にはなりますが、この周年メンバーに早苗さんがいるのも納得出来るなぁと思うのです。
「ハメを外して楽しんでいく」オールデイズフィーバー☆→ハートボイルドウォーズ
早苗さんといったら楽しむ大人。
ハートボイルドウォーズでも「つまらなくない大人代表」を本人が謳っており、パッションアイドルに恥じない弾けっぷりが魅力の「お姉さん」。
ただ、それゆえに自他共に認めるほど、かつての警察という職業には向いていなかったところもあり。
それがアイドルという場で存分に輝かせていくのが、Pが早苗さんをアイドルにした意義の一つなのではないかなと思います。
「人はあるべき場所に落ち着いていく」ハートボイルドウォーズ→イノセンス☆エンジン
イノセンス☆エンジンの特訓コミュを見てびっくりしたこと。
「だいたいハートボイルドウォーズのサナエと言っていることが似通っている!?」
警察を抜けて「組」になったハートボイルドウォーズのサナエは、ある意味ノワール片桐早苗の先駆けともいうほどにテーマと言いたいことが似ているのです。
つまりこれらで言ってることは
・元々いた場所は自分には向いていなかった
・そこにいるべき人たちにそこを託し、自分はあるべき新しい場所で守るべきものを守る
上記でも言ったとおり、早苗さんはそのパッション性や飲んだくれな一面で、模範的な警察官には程遠い人でした。
だけど、これまでそれでも早苗さんを警察たらしめていたのはきっと根っこにある「正義感」だとは思うのです。
だから場所や環境が変わっても、守りたいという気持ちは変わらない。
警察に向いているところと向いていないところを持ち合わせていた早苗さんは、どっちをも拾い上げた存在であるアイドル・片桐早苗として新しい人生を歩み始めたのですね。
やはりハートボイルドウォーズはかなり各々の本質的なところが描かれてるのでは……と改めて思ったきっかけでもあります。
「みんなを知らない世界や非日常に連れていく」
これは上記の全てに言えること。
早苗さんはアイドルではありますが、遠い存在ではなく、非日常の世界や知らないどこかに「誰かを連れていく」アイドルであることが、特にイノセンス☆エンジンをメインに描かれています。
片桐早苗は「記憶」のアイドルである
タイトル回収。
上記のオールデイズフィーバー☆で、記憶が、憧れが残っている。なら蘇らせちゃえばいい。と言っていた早苗さんですが、イノセンス☆エンジンでこのようなことを言っています。
「些細なことも大きなことも含めて覚えていたい……人生の一部よ。」
デレマス五本の指に入る年長者であり、ディスコの世界に夢見た少女の記憶から、憧れを蘇らせた早苗さんだからこその言葉だなぁと思います。
例え時代や世界の変化で燻ってしまっても誰かが覚えている限り、記憶や憧れ、夢が残っている限り、それはきっと受け継がれる。
それもあって彼女は記憶……もっといえば「思い出や経験、夢からなしたもの」はとても大切にしているのではないでしょうか。
星環世界でちょっぴりそれっぽい劇中劇の描かれ方はありましたが。
私はアイドル・片桐早苗が真に完成するのは、何かでトップになった時でも、アイドル界を勇退した時でもない。彼女の魂が未来に受け継がれていった時ではないか。そう思うのです。
彼女がディスコ文化に憧れていたように。
彼女がみんなを色々な世界に連れ出し、彼女に夢や憧れを魅せられた人たちが、これからの、いつかの未来を切り拓いていくとき。
「知らないどこかに連れていってもらえるのがすごく楽しい」と言っていた早苗さんですが、そうなったときはまさに、早苗さんもアイドルの姿での意思や記憶を通じて「みんなの未来」の先にも連れていってもらえるのではないでしょうか。
私はそう思いました。
そこに早苗さんがアイドルになった意義があるのではないかな、と。
その未来はちょっと見てみたいな。
というのが、この4部作を通じて思ったことの総括です。
(JUJあたりも含めて演技の仕事がどかっと増え出したのは、亜季と同じくエンターテイナーなアイドルとしての意味があるのかなとか考えたり……)
まあそれはそれとしてやだやだ!早苗さんはずっとアイドルやってるのを見たい!って気持ちも共存するんですがね……