読むデザインの薬

「良薬口に苦し、良デザイン目に新し、共に効あり」

意味:医師が患者の症状を正確に診断し、最適な薬を処方するように、デザイナーもクライアントの要望や課題を深く理解し、最適なデザインを生み出します。この過程では、医師の処方薬が時に「苦い」と感じられるように、デザインプロセスもクライアントにとっては一時的に受け入れがたい部分があるかもしれません。しかし、その「苦さ」や違和感がむしろ本質的な効果を生む要因であり、結果としてより良い成果につながります。

例えば、五輪(オリンピック)のシンボルマークはその良い例です。5つの輪は各大陸(アフリカ、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア)を象徴し、重なり合うことで調和と連帯を表しています。一見「ただの輪」と思えるデザインですが、オリンピックの理念である「世界の平和と調和」を簡潔に伝える深い意味が込められています。また、このシンボルは時を経ても「飽きのこない」デザインとして受け入れられています。
しかし、クライアントがデザイナーに「飽きのこない、シンプルなデザインをお願いします」とだけ依頼するのは曖昧で、デザイナーを困惑させる可能性があります。飽きのこない、シンプルなデザインは、時間を超える普遍的なコンセプトや意図が込められていることが重要であり、そのためには具体的なビジョンや目的を共有し、深く対話することが不可欠です。

このようにデザインの新しさや一見理解し難い要素は、しっかりした理念やコンセプトが根底にあるからこそ、大きな効果を発揮します。このように、良いデザインは、時に初めて見る人に「苦さ」ときには「甘さ」の印象を与えることもありますが、意図を理解し、時間が経つにつれ、真の価値が見えてくるものなのです。

TEAM JAPAN





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