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根本原質:プラクリティ

バガヴァッドギーター:7章5-7節

 これは低次のプラクリティである。一方、これとは別に私がもつジーヴァ(生命)である高次のプラクリティ(精神の原力)を知れ。アルジュナよ、この世界は高次のプラクリティ(精神の原力)によって低次なプラクリティ(物質の原力)が利用される。(5)
 万物はこのプラクリティ(二つの原力)に由来することを理解せよ。私は全世界の始まり〔創造〕であり、終わり〔破壊〕である。(6)
 私より勝るものは他に何もない。アルジュナよ、真珠の数珠が一本の糸でつながっているように、万物は私につながっている。(7)

プラクリティ

単語∶prakrti
意味:根本原質

(pra.√[ḍu][kṛ[ñ] 8U. karoti … karaṇe — 作る、為す;+.ti;女性名詞)プラクリティ(前に置くこと、前提)、本来の、本性、性質、自然、物質、根本原質;[対.精神]


ブラダーナ(pradhāna)24物質要素の総和、第一原因、未顕現(原因と結果が未分化の状態)のときの名称、ジーヴァの生存の源

プラクリティ
(prakrti):プラダーナが展開されたときの名称、カーラ(時間)に促される前はブラダーナ(pradhāna)と称される。
※ブラクリティは自発的に展開することはない

  • 低次のブラクリティ(aparā prakrti)
    物質(guna)

  • 高次のブラクリティ (parā prakrti)
    生類 (jiva)

スートラ・マハトタットヴァ・ブッディ
  • スートラ(sūtra) : 物質性質のはじめの変化として、糸につながれた操り人形のようにマハトタットヴァとブッディを伴う

  • マハトタットヴァ(mahattattva): 24要素の総和、 時間を除く
    四内的器官 (心+ 知性+アハンカーラ+意識)
    五知覚器官+五行為器官+五微細要素+五大元素 

アハンカーラ(ahaṅkāra): 偽りの自我
精神 (cit)と物質 (acit) から構成される三性質の展開 (善質・激質・暗質)

善質・激質・暗質

バガヴァッドギーター:14章5節

アルジュナよ、サットヴァ(善質)・ラジャス(激質)・タマス(暗質)というプラクリティであるグナ要素は、この体に不変の個我を束縛する。(5)

このうち、サットヴァ(善質)は純粋なため知識と幸福をもたらす。罪なき者よ、それは幸福と知識の愛着〔誤った観念〕により束縛する。(6)

※バラデーヴァ解説:
prakāśakaは、知識を示し、anāmayaは、健康(幸福、苦しみの対義語)を示すものとは、純粋であるため、ここでサットヴァは、知識と幸福の原因と言われています。サットヴァにおいて、自分自身の仕事における知識や幸福に結びついた者は「私は知者である」「私は幸福である」という誤った観念により、人を束縛するのです。

Baladeva Vidyābhūṣaṇa

クンティーの子よ、ラジャス(激質)は、激しい欲望をもたらすものと知れ。渇望と愛着を生み出すものであり、それは実りある行為の愛着により個我を束縛する。(7)

※バラデーヴァ解説:
ラジャスは男女の恋愛感情と同じ性質を持つと言われ、欲望を増大させる原因です。それは音などの感覚の対象への渇望や、息子や友人などとの関わりを求める欲望から、さまざまな愛着を生み出します。ここでは、執拗な欲望が渇望と愛着を生み出す原因としてラジャスが挙げられています。このラジャスは、女性や息子などを得たいという願望によって、身体を束縛します。女性などを得るためには、さまざまな感覚を通じて行動します。その女性などを得た経験は手段となり、人はこれらの行為を再び繰り返し、ラジャスから解放されないのです。

Baladeva Vidyābhūṣaṇa

※ヴィシュヴァナータ解説:
渇愛(tṛṣṇā)は、まだ手に入れていないものを望むことであり、愛着(saṅga)は、すでに手に入れたものに執着することです。この二つはラジャスから生み出されます。ラジャスは、見えるもの見えないもの(現世と未来)にかかわらず、行為における愛着により体をもつ魂を束縛します。このように行為における愛着は、渇望と愛着から生じます。

Viśvanātha Cakravarti Ṭhākura

しかし、タマス暗質は無知から生じるものと知れ。すべての個我にとって迷妄をもたらす。それは不注意・怠慢・睡眠により束縛する。バラタの子孫よ。(8)

※バラデーヴァ解説:
知識とは、物事をあるがままに理解することです。その反対に覆い隠す(āvaraka)性質をもち、プラクリティの一部が無知です。タマスはその無知から生じるため、すべての個我を迷わせる誤った知識をもたらします。このように、タマスは物事の事実を覆い隠し、誤った知識をもたらすと言われています。

Baladeva Vidyābhūṣaṇa


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