土地擬人化と都道府県章、市町村章についてのお話
タイトルにある通り、土地擬人化をしている人や土地擬人化をこれから始めようとしている人向けに都道府県章や市町村区章についてのお話をしようと思います。
今更そんなの聞かなくても大丈夫だよ、って人もいるかもしれませんが基本的にこのnoteは公式や関係各所、擬人化元に迷惑をかけぬよう自衛する為の記事が中心になります。擬人化というネタ元へのリスペクト(尊敬)を忘れずに楽しくルールを守ってジャンルが賑わえばそれに越した事はないです。そういう事です。悲しいけど察しておくれ。
※この記事は都道府県章・市町村章の使用を推奨するものではありません。むしろ全力で止めさせようとする記事です。
・そもそも都道府県章、市町村区章とは?
県庁をはじめとする都道府県の公的な施設に掲示されていたり、市町村であればその自治体の公用車にロゴと一緒にデザインされていたりHPにも表示されているその都道府県や市町村区のマークと思っている方はほぼ正解です。皆さんもよくお世話になっているであろうフリー百科辞典ウィキペディア(Wiki Pedia)「都道府県章」の項目では以下のように説明されています。
都道府県章(とどうふけんしょう)は、日本の各都道府県を象徴する紋章の総称である。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E7%AB%A0 都道府県章 フリー百科事典『Wikipedia』より
市町村章(しちょうそんしょう、Coat of arms)は、自治体(市町村)を象徴する紋章のこと。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E7%94%BA%E6%9D%91%E7%AB%A0 市町村章 フリー百科事典『Wikipedia』より
(太字は筆者によるもの)
都道府県と同様に自治体を象徴する紋章である。と説明されています。マークやロゴマーク(ロゴ)という言葉でなく紋章とどちらも説明されています。それでは紋章という言葉を辞書で今度は調べてみましょう。
[1] 氏族・家・組・国・団体などが、それを表わすしるしとして定めた、動植物、器物、文字などを図案化したもの。紋。もんどころ。 『精選版 日本国語大辞典 (第2版)』小学館「紋章」より
ちなみにマークは「しるし。記号。また、しるしをつけること」(デジタル大辞泉 小学館)ロゴマークは「企業や商品などのイメージを印象づけるため、ロゴタイプと標章などを合わせて図案化したもの。」(同)となっています。ロゴマークはその企業のブランドイメージをあらわし象徴する記号であると同時にその企業の商品であるという事を示す記号でもあります。
有名ブランドのロゴを模倣したコピー品が特許庁から「模倣品・海賊版撲滅キャンペーン」を実施されて逮捕されたり、オタク界隈だと某ソシャゲの公式ロゴをそのまま同人誌の表紙に使って公式から怒られた事件もありますね。(後者は二次創作ガイドライン違反の為即売会・委託販売停止処分)
FGO同人誌がガイドライン抵触で販売停止に - Togetter https://togetter.com/li/1160901 2017.10.12
話が逸れましたが、都道府県章・市町村章どちらとも「その団体を表すしるしとして定めた図案」ということで、関係ないところで勝手に使われないようにちゃんと規約があります。あと公的な紋章を個人の創作で使いたいという発想は結構どころか危ないんで考え直してくれ。
・県章の使用基準について
全都道府県の県章使用要項を確認したわけではないですが、おそらく全ての都道府県で県章等を使用する場合は、その都道府県の承認が必要となっています。そしてちゃんと提出する為の申請書様式も用意されています。
茨城県 県章の使用について https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/kenmin/profile/symbol02.html
例として茨城県の県章等使用について説明しているページを引用紹介させて頂きます。まず画像を見ていただければわかるように、県章を使用する場合は県の承認が必要となります。そして定められている使用基準を違反する場合、県章を使用することはできません。また茨城県の場合は県章の使用を希望される際には、事前に県営業戦略部 営業企画課広報グループとの協議が必要となります。先ず、前提として都道府県章を使用する場合は,広報課などの行政サイドの承認や県によっては首長(知事)の承認が必要となります。
もし仮にこの記事を読んでいる時点でキャラクターデザインに都道府県章・市町村章を使用している場合、即刻そのキャラクターデザインの該当部分を可及的速やかに変更する事をおすすめします。また、今後キャラクターデザインに都道府県章や市町村章を使用しようと思っている場合も同様です。都道府県章や市町村章はフリー素材ではありません。
各自治体や行政によって法令によって定められている紋章です。画像をそのまま使っていないから大丈夫。トレス・模写だから大丈夫という言い訳は成立しません。
・県章の使用を希望し、手続きを踏めば使用して良いのか?
確かにHPには「県章の使用を希望する際」の要項が記載され、申請書の様式データも配布されています。まず県章を使用する際の前提として、県章を使用する場とは何が考えられるでしょうか?
・都道府県や市町村区の県旗や公式の場で使用される公的な文書や事業
・都道府県や市町村区など行政・自治体が主催、もしくは市民グループなどが開催する事業の後援や共催事業
主にこの2点が使用される場と思います。「許可を取れば使用できるのなら許可を取れば良いのではないか」と未だ考える方がいるのであればもう一度問います。貴方の土地擬人化作品のキャラクターデザインに都道府県章は本当に必要なものですか?貴方の土地擬人化は私的なものでなく「公的」なものですか?
茨城県の県章使用基準の欄には「県の事業と申請団体の事業等とが混同し、誤解を招くおそれがある場合」県章を使用する事はできないとも記されています。貴方がキャラデザに県章を使用する事で、その都道府県の公式と混同され誤解を招く恐れがある事がある可能性もあるという事です。これは市町村も同様です。土地関係なく擬人化元が企業やブランド、メーカーなどの場合も同様です。
(個人が趣味でやっている事だしそこまで言わなくても…行政もそこまで検索しないでしょ……) と、ここまで読んでそんな甘ったれた事を考えている方がいるなら驚きです。自治体もSNSでエゴサはするし、自治体がしていなくても自治体とつながりのある団体などがエゴサして結果として自治体関係の人の目に留まる事もあります。表でシェアしないだけでDMや会話などで「こんなのあったよー」とか普通にあります。(筆者は一応行政の中の人です、念の為。)
好きな擬人化元が提示しているルールを違反してまで行う創作活動、楽しいですか? 大変申し訳ありませんがここまで読んで「楽しいよ?何がダメなの?」と理解できない方にはもう私からは何も言う事ができません。
公式から提示されているルールを破ってまでやりたい創作ってそれ本当に擬人化元に対する愛がありますか?創作をする自分に対する自己愛じゃないですか?そこに原作(擬人化元)への愛はあるんか?
私が土地擬人化を始めた2009年に比べ、2021年の現代では情報の拡散するスピードはSNSに普及によって大きく変わりました。スマホひとつで「○○県 擬人化」と検索すれば実際に創作している人間のツイートから無断転載のbotツイートも含め大量にヒットします。それこそ擬人化の暗黙の了解を知らない人の目にも留まり、リツイートで情報が拡散できる時代です。どこで悪意のある人が自治体に「県章勝手に申請せずに使用している人がいますよ」とも気軽に通報できちゃう時代です。擬人化ジャンルという特異性を理解した上で楽しく元ネタへのリスペクトを忘れず創作活動を楽しみたいのは共通だと思います。
・最後に (1/20 9:40追記)
現在アカウントのアイコン(ツイート内でいうプロフ画)が変更された後なので断定はできませんが、おそらく香川県章を県章使用届を提出せず、アイコンに使用していたアカウントが香川県より直々に「香川県章使用届」の提出を求める旨の連絡を受けています。
沖縄県庁広報課さんはTwitterを使っていますhttps://twitter.com/okinawa_pref/status/892187801357238273
同様に2017年、沖縄県庁広報課ツイッターアカウントのツイートを引用します。【県章の無断使用ダメです!!】と頭にあるように沖縄県の機関以外のものが県知事の承認なく県章を使用することは出来ない旨をかなり強く主張しているのがわかるかと思います。
推し土地にそんな事言わせるな。
私からは以上です。長い文章ですがお付き合いありがとうございました。それでは皆さん公式の規約は守って楽しい擬人化ライフを!