無職男(72)がスーパー勤務女性(46)にプレゼントを渡そうとして逮捕される
コロナウイルス感染を怖れて多くの国民がStayHomeを決め込んでいる今春、悲しい愛の事件が発生しました。72歳の無職男がスーパー勤務の女性(47)に一方的な恋慕の念を抱き、サプライズ的にプレゼント攻勢に打って出たところを逮捕されてしまいました。
(引用)ストーカー規制法違反の疑いで逮捕された無職の小沢勇容疑者は、先月28日、自宅近くのスーパーで働く47歳の女性に、スーパーの駐車場でプレゼントを受け取るよう要求し、その2日後にもスーパーにおしかけ、別の従業員に、女性に渡すよう依頼して、プレゼントを受け取るよう要求した疑いがもたれています。
https://www.news24.jp/sp/articles/2020/05/05/07637585.html
山田洋次監督の傑作恋愛映画『幸福の黄色いハンカチ』(1977)では、高倉健演じる炭鉱夫がスーパーのレジ打ち女性(倍賞千恵子)に恋心を抱きながらもなかなか話しかけられず「あの……奥さんですか?」と無骨な声掛けをしてしまうという名場面があります。しかし、リアルでこんな挙動不審をしてしまったら店に雇われた保安警備員に声をかけられ奥の事務所に連れて行かれるのが関の山でしょう。ましてや常に透明なビニールカーテン越しにしか対面接客が行えないコロナウイルス警戒下の現在、店舗のなかで人が人にプレゼントを渡すなどという行為は自粛警察をすっ飛ばしていきなり110番通報されても仕方ない。
「うちにいろ!」と官民一体で在宅待機を要請しそれを遵守しないものは非国民であるといわんばかりの薄気味悪い空気のなか、本件の容疑者のそれでも俺は彼女への思いを届けたいんだという苛烈にして純粋な情動は何なのか。驚くべき勇敢さと混じり気のない恋情、善悪はともかくその力は無視できないものがある。
まさに愛。
しかし、であるがゆえに、やはり愛はダメですね。
三密状態、濃厚接触が許されず常にソーシャル・ディスタンシングを保つことでしかサバイブできない人類が、愛の迷妄から解き放たれた形態へと進化するのは、今このときしかない。