山との向き合い方、自分との向き合い方。南八ヶ岳山行日記。
こんにちは。皆さんいかがお過ごしですか?森家は皆元気にやってます。
今朝はお店の掃除と模様替えをしていました。途中、「今日はやってますか?」と何組かお客さんが来てくれました。その度に「すみません、10月まで休業しています。再開したらよろしくお願いします」と言ったやりとりがありました。
僕はそのコミュニケーケーションを通じて、「はやくお店をやりたいな」と思いました。
とはいえ、焦らずにじっと再開の為に準備をしたり、身体を鍛えたりしています。
先日は八ヶ岳へ山登りに行って来ました。パートナーはTDさん。コロナ対策もしっかりとして、道中の寄り道はSAでのトイレやテイクアウトのみ。そして山の中に入れば広大なフィールドなので密の心配もなく、そして下山時には誰一人すれ違わないといった静かな山行でした。そう、僕達は静かな山行が大好きなんです。
皆さん、八ヶ岳は知ってますか?日本では富士山に次いで有名な山域ですね。
僕は小学生の頃に冬になると、八ヶ岳近辺にスキーに来てました。ですので八ヶ岳に近付くと、その頃の思い出が不意に甦ったりします。その感じはとてもホッとするし、小学生の頃に見た光とか山の香りが懐かしく思います。
今回の山行は南八ヶ岳。小淵沢ICから観音平Pに向い、そこから登山口に入り編笠山へ登りました。初日は編笠山の裾野にある山小屋、青年小屋のテント場で野営。
二日目は権現岳、三ツ頭、観音平Pに下山というコースでした。歩行タイムは合計で約9時間でした。40歳を過ぎて山登りを始めた僕達にとっては程良いコースタイムです。千葉から車で向かうので、往復の時間など考えて一泊二日だと少し余裕がある方がいいですね。ストイックな山行は好まないし、せっかく山の中に入るからにはのんびりとした足取りで、景色も堪能したいし、休憩してお昼を食べるのもお湯を沸かしてコーヒーを淹れたりといった時間も楽しみの一つです。
中央高速から八ヶ岳が迫ってくる姿は惚れ惚れしますね。左手には南アルプスのスケールの大きな山の勇姿も見れます。視界の先にある八ヶ岳連峰。今日はあの山の中で一晩過ごすのかと思うとワクワクするし、なんとも言えないくらい気持ちが弾みます。きっと小学生の頃の気持ちと変わらないでしょう。山は時間も関係なく僕に向き合ってくれるし、いつもそこに在る。そのどっしりとした佇まいを見習いたいもんです。
登り始めの1時間はいつもキツいです。身体が山になれるまでの間がこたえます。
そんな時は無理せずに一息いれます。極小のペットボトルにミックスナッツを行動食として持参したTDさん。お互いに前回の山行を振り返って、試行錯誤して道具にも工夫が見られます。それを確認し合うのも楽しい時間。新しい道具についてあれこれと盛り上がるのも良い時間。
コロナ禍の今は、とにかく何かを「シェア」することが難しい状況ですよね。
例えば今までなら友達と食事に行ったりして食べ物を「美味しいね〜」ってシェアしたり、何かを達成した時にハイタッチ、またはハグして喜びを分かち合ったり。
そういったシェアするとで、喜びが倍増したりしますね。
僕は息子を授かってからは友達とお酒を呑みにいくとかまぁ無くなりました。千葉に越してからは、独立してお店を始めたってのもあって、そういった人付き合いに対する時間が無くて。そんな中、息子も5歳になり少しペースも掴めてきて、山に出会いました。TDさんとの山行は同い年ということもあって、車中では主に政治の話を熱く語ったり、好きな音楽をかけて思い出に浸ったり。そういった仲間とのシェアする時間は人間にとって必要な時間だと思います。
中々、難しい状況ですが隙間を狙って、自分たちでリスクを考慮して動いていくしかないですね。
編笠山山頂を目指しひたすら登ります。
振り返ると息を呑む景色が迎えてくれます。こういった景色を見た瞬間に疲れが吹っ飛びます。遠くに見える富士山ですが、エレルギーを与えてくれるのです。
太古の頃から山を神様として崇めてきたのが体感として分かります。
山頂に到着。北アルプスを眺めながら、明香が握ってくれたおにぎりと、お湯を沸かしてお味噌汁を頬張ります。おにぎりは山頂で食べるのが一番美味しい!
だってカタチも山のカタチですもんね。眺望も素晴らしく贅沢な時間でした。
山頂から青年小屋までは20分で着きます。テントを張って着替えをしてまずはビールで乾杯。この瞬間は何事にも変え難い瞬間。ラガーが身体中に染み渡りました。
ついゴロゴロしてたら本格的に昼寝してました。とにかくここはテント場が広くて、平日だったからテントもまばらで贅沢に空間を使えました。
ちゃっかりmoribookの宣伝。軽い本なのでザックにいれても苦にならず。そして内容も自然の中で読むとしっくりきました。この本が仕上がって、さぁ皆さんに読んでもらうぞ!ってタイミングで休業したので、再開したらまたどしどし皆さんにオススメしていきたいです。読んでくれた友人は「疲れがピークな時に読んだら、なんだか元気がもらえた!」って言ってくれました。これに勝る喜びはないですね。
もう1冊は村上春樹氏のエッセイ。この本は韓国一人旅の時に買ったので思い入れがあるし、ササッと読めるので山行にはザックに忍ばせています。お守りみたいなもんで、夜寝付けない時にパラパラと読むとなんだか落ち着きます。
メモ帳に描いた山のシルエットはこの日に描きました。テント場から見える西ギボシ、東ギボシ、権現岳のシルエット。ポシェットは息子に借りました、これがめっちゃ使いやすかった。大き過ぎず、小さ過ぎず。今回はウエストベルトを外したので、このポシェットに行動食、携帯電話、などを入れて。
左の三角がTDさんのテント、右の三角が僕のテント。バックは編笠山。
素晴らしいロケーション。このちょっとした森感がたまりません。
陽が暮れ始めるとグングン気温が下がります。夜は3度くらいでした。
夜の晩酌はサラミとチーズをおつまみに僕は赤ワインをちびちびと。寒くなってきた頃はホットワインにして呑みました。TDさんはテキーラ!をちびちびと。おつまみはスナック菓子とチーズ。そしてなんと今回TDさんは、ジャークチキンを仕込んで持って来てくれました。ジャークチキンとはジャマイカの料理で、スパイシーな香辛料とライムで鶏肉を漬け込んだ料理です。豪快にTDさんが焼いてくれました。やっぱり料理するのって肉を焼く音がもう食欲をそそられるし、香りもたまりません。静かな山の中で感覚が研ぎ澄まされてるから余計にそう感じます。
少し焦げたり、カッティングボード(木工作家であるTDさんのオリジナル)に油がベットリしたり、笑いが満載で楽しかった宴となりました。
次回は僕も何か仕込んで料理したいと思いました。
宴も終わり20時に就寝。程よい疲労感とほろ酔いですぐに眠りに落ちました。
夢を見てパッと目が覚めて余計を見ると1時頃でした。僕のテント、正確に言うとタープに近いので外を目視出来るのです。以前はダブルウォールのテントを使っていたけど、どうも山の中に部屋を作る感じで、閉めると外界と遮断されて逆にそれが不安を感じたりしました。それで今のタープに変えたら、開放感があるし、外界とも繋がってるし、とにかく広くて軽い。とても気に入ってます。樹林帯にテントを張るのが好きだから今のところ強風にも煽られないし、標高を上げると虫もそんなにいないから気になりません。
ちょっと話が逸れたけど、夜中の1時に外を眺めると星の灯りにびっくりしました。このテント場は頭上がポッカリと空いてるので、晩酌中にTDさんと「星が見れそうだね」って言ってたんです。
テントから外に出て見上げると、キラキラって音が聞こえるくらい頭上の空は星で埋め尽くされてました。僕はジェリー鵜飼さんのコラムを読んだ時からやってみたかった、カウボーイキャンプ(テントの外で寝る野営)をやってみたかったので即行動に。
マットと寝袋を外に出し、ヘッドライトをポケットに。それだけでOK。僕はいつも雨対策にSOLのエスケープBivvyも使ってるから、こういった時に本当に頼れる道具だな〜って。そうやって道具との信頼関係も築かれていくんですね。
気温は0度近くまで下がっていた気がします。
それでも寝袋+Bivvyに、防寒着はメリノウールのベースレイヤーにダウンジャケット、下はメリノウールのタイツに行動着のパンツ、靴下は厚手のメリノウール。
寝袋にスッポリ潜り込んで肩口をギュッと絞って冷気を遮断。
ゴロンと仰向けになった視界には、星!星!星!まるで光が地上に突き刺さっているかの様。これだけ圧倒的な星の存在を眺めてると、自分が下にいるのか?上にいるのか?分からなくなってくる。
山の中の暗闇の中、周りは誰一人起きていなかったので、僕一人が星達と対峙してる時間。翌朝も早くから歩き始めたいから、寝なきゃな〜と思いつつも星を眺めるのは見飽きない。むしろ昼寝もしたし、その後4時間くらい寝たからまぁいいっかって。それよりも今を楽しもう!と。
そんなこんなで星を眺めてました。その時に不思議とテントの中よりも、こうして外で寝る方が安心感があるのです。何かに守られてるというか、より山との一体感を得られたというか。この体験は僕にとってとっても大切な事でした。
ウトウトしてきて目を閉じても瞼の裏がキラキラしてるんです!本当の光ってこうなんだ!って。その後は知らず知らず夢を見たり寝返りをうって肩から冷気が侵入して起きたりしている間に4時半になり、一つ二つとテントが明るくなり人の動く音で僕も起きました。
寒かったのでお湯を沸かし、白湯を飲んでからスコーン(自家製)を齧ってるとTDさんも起きました。星の感動を伝えて、朝ごはんの準備に。といっても朝はササっとコーヒーを淹れてシナモンロール(自家製)を頬張るだけ。でもその美味しさったら!食後はサッサとテントを片付けて、また山の道を歩き始めます。
まるでその行為自体が、僕の生き方みたいに。
二日目は歩き始めてすぐに稜線に出ました。風が強くて手が冷えた。次回は手袋も必要だなって。岩場を慎重に登り歩いて権現岳の頂上に。360度の雲海を身渡せました。この時は強風のピークでした。今回ウィンドシェルを持参せずにレインだけだったけどそれが良かったかも。レインの方が保温性もあるし、行動していてもそんなに蒸れなかった。でもやっぱり機能性の高いウィンドシェルは一枚あると良いなって思いました。そういうのも実際に稜線に出て風に打たれないと分からないですよね。自分で体験してそこから色々考えて、道具と向き合って山行を重ねるたびに山との向き合い方も変ってきます。
今回初めて YAMAPというアプリを使ってみたけど僕はやっぱりアナログが良いなって。地図を見て、メモをして、こうして日記をつけていく。カタチに自分の手を動かしてカタチに残るのが単純に好きなんですね。
二日目はYAMAPを使っていたせいか携帯のバッテーリーが切れたので写真を撮れず。この写真は千葉に帰って来た時の一枚です。
二人とも充実感に満ち溢れてますね。山でエネルギーを蓄えて、またそれぞれ日常へと還元されます。これぞ循環ですね。
次回は八ヶ岳の真ん中あたりを歩いて山の中の温泉に浸かりたいです。
そして11月は初のソロ山行も考えています。
自分自身との向き合い方は千差万別ですね。
僕にとって今はそれが「山」なのです。
それだけははっきりとしています。
帰りの車中で聴いてた曲です。やっぱり勢いとか、衝動とか、ディストーションとかって忘れちゃいけないなって。