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右手の痛み。怪我の功名。窓からの桜。

 こんにちは。皆さんお元気ですか?
 森家は元気にやってますが、実は先日、僕が右手を痛めました。
 2週間程前から右肘から指先にかけて、常に痛みがあり、パン生地を捏ねる時には激痛が走りました。こりゃいかん、と思いつつも何とか左手でカバーしたり、なるべく右手に負荷がかからない様に仕事をこなしていましたが、このままでは悪くなる一方なので、お店を休んで身体のケアに専念することにしました。

 知人から紹介してもらい、鴨川の山の麓にある、はるまる治療院へ行ってきました。まず先生に身体を一通り見てもらうと、どうやら右手の痛みは背中の肩甲骨の下あたりの筋肉が圧迫されて固まっていて、本来手を動かすには背中の筋肉を軸に動かすのだけれど、そこが上手く連動していなくて、肘から下だけに力を集中し過ぎて痛みが発症したとのことです。

 原因が分かったので、そこを集中的にほぐしてもらい、色々とお話も聞いてもらえてとても楽になりました。お灸をすすめてくれたので、最近は2日に一回お灸をしています。これまで20年近く飲食業をやってきて、右手を酷使してきたのもあると思います。今までにも右手には違和感があったり、クリスマス時期などの繁忙期には手が熱くなって、夜寝ている時にも炎症を感じて寝れない日もありました。
 僕にとって右手が使えないのは致命的です。パンを焼けないのは本当に困ります。かといって、じゃあ代わりに焼いてくださいって、頼める人もいないし、そもそも誰かを雇うのは僕達のスタイルではないから、これを機に自分の仕事の在り方、身体の動かし方、などなど見つめ直す良い機会だと今では思っています。

 身体と精神は密に繋がっていますよね。ここのところずっと考えていたことがありました。ロシアとウクライナの情勢を見たり聞いたりする中で、「喫茶店でお茶をする」という行為が、贅沢な行為なんじゃないか?と。
 今までは普通だったことが、コロナもあり中々そうはいかなくなり、そんな中、必死でお店をやってきたのですが、張り詰めていた緊張の糸が限界だったと、今回の怪我で自覚しました。

 そういう話も、はるまる治療院の先生に聞いてもらっていたら、先生は「喫茶店やカフェは究極のセラピーです。森さんが生き生きとそこで動いていく中で、元気をもらえる人がいます」と言ってくれました。
 僕の中で喫茶店の役割は、日常の雑事やサイクルから少し離れて、ボーッとしたり、コーヒーを啜っては本のページを捲ったり、友達と談笑したり、鳥が木に止まって休む様な、そんな感覚を信じてやってきました。そこの自信が揺らぐなんて、相当参っていました。はるまる先生と話していてハッと我に返ることが出来ました。 
 人間の身体は楽器と似ていると思います。上手く調律(チューニング)出来てる人は、とても綺麗な音で動いている。ノイズが無いというか、澱んで無いというか。身体や心の調律(チューニング)をするのは、自分自身と向き合う行為でもあります。今までの習慣を見つめ直したり、新しいことにもトライしてみたり、自分次第で奏でる音色は変わってくると思います。

 長い休みを頂き、今まで休日が同じで行けなかったお店に行って、客観的に自分のお店を見つめ直すことが出来ました。もう何年も使っていてガタがきていた仕事道具を買い換えました。

 お客さんに喜んでもらえるように、心をこめて仕事をすること。
 その為には自分の健康が大前提になってきます。
 40過ぎた中で、5歳の息子はどんどん成長してきてます。昨年一緒に暮らし始めた元保護犬のあさもだいぶと慣れてきました。そういった全てがドッと押し寄せて、流れ出た1週間でした。

 おかげさまで右手の痛みも少しずつ治ってきました。使わないのが一番だけど、そうは言っていられません。昨日は薪を整理出来ました。痛みがピークの時は、薪一本掴むのも難しかったのです。この調子だとパンも焼けそうです。

 4月1日(金)から営業を再開します。身体とのバランスを見つつ、メニューを考えたり、パンの量も決めていきたいと思っています。
 生涯現役でパンを焼きたいので、無理はせずにコツコツと自分達のペースや感覚を大切にしながら、お店をオープンして、お客さんにも心からホッとする様な空間を提供していきたいです。

 お店の隣の桜も綺麗に咲いてきました。今週末には窓から桜が綺麗に見えると思います。自然界から一年に一度の贈り物。ぜひゆったりと味わってください。

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