新年あけましておめでとうございます。森喫茶が今に至るまで振り返ってみました。
あけましておめでとうございます。
年末の激務の疲れがやっと和らいできたこの頃。正月は部屋も身体も心も暖かくして、美味しいものを食べて、薪ストーブの前でウトウト昼寝。時には朝からお風呂にゆったりと浸かったりして温泉旅館気分を味わったり。気付けば明後日から仕込み始めの日ということで、そろそろ森日記を書こうかしら、と。
ちなみにお店は、7日(金)から営業します。よろしくお願いします。
この正月休みに、小屋番三六五日(山と渓谷社)を読んでいました。まだ最後まで読んでいないのですが、共感できたり感慨深い気持ちになりました。
どこに惹かれたのかというと、
− 小屋に訪れた登山者をもてなすために出来る限り努力する事 −
− 歴史がある小屋は常連さんによって支えられているという事 −
この2つは、日常生活の中で僕が考えている事と同じです。
うちは山の中に建っている訳ではないのですが、都会の様に路面店ではないので、みなさんわざわざ探して来てくれています。
喫茶店に行く理由はたくさんあると思うのですが、主に食事、コーヒー、ケーキがメインだと思います。うちはそこに、自家製パンが主力となります。他にも、物理的な理由よりも、気分転換に、ほっと一息、時間を忘れたい、お話がしたい、などなど、日常生活でパンパンに膨らんだ頭の空気を抜く役割が喫茶店にはあると思います。
いずれにせよ、沢山存在する喫茶店、カフェの中で、うちを選んでいただいて来てくれたお客さんには満足して帰ってもらいたい、と常に心にしています。
そこをブレずに踏ん張ってやってきた甲斐があってか、年末は沢山の常連さんからパン、シュトレン、クリスマスケーキのご注文を頂きました。特にシュトレン、クリスマスケーキは白子町でmeleというお店をやっていた時からずっとリピートしてご注文頂いているのが約9割なんです。これは本当に嬉しい事なんです。
予約表を見ていても、皆さんの顔が浮かぶのです。
ネット社会の激流によって、顔の見えるコミュニケーションを必要としなくなりつつありますが、その中で僕が理想とする、手作り、手渡し、お客さんと直接コミュニケーションをとれる事が実現しています。本当にありがたい事です。
そこでふと思いついたのが、森喫茶を振り返ってみようと。
東京での修行時代、白子町に移住してmeleを始めた頃、睦沢町に越してきて森喫茶を開店、その時間軸での流れを辿ってみたくて、さっき写真のデータを眺めてました。
そしたらお店の事よりも、森家の家族構成の変化が面白くて、これから写真多めになりますが書いてみますね。どうぞ、お付き合い下さい。
まず東京は江東区木場に明香と暮らしていた頃、エルという保護猫を迎えました。
今とあんまり変わらないけど、やっぱりこの頃はちょっとぽっちゃりしてるな〜。
僕はパンの修行をしていて、雨の日も雪の日も、早起きして自転車に乗ってお店に通ってました。この当時の下積みが土台となっています。
エルはちなみに今年で15歳になります。
この人形が好きやったな〜。
そして独立して白子町へと移住して、サンを保護しました。女の子です。
とにかく甘えん坊でやんちゃでもう大変でした!
朝起きて着替える時も僕の膝の上、ご飯を食べる時も僕の膝の上。でも最近は全然膝の上に来てくれません。人間の女の子と同じですかね。寂しいです。でも、たま〜に甘えてくれるとめちゃくちゃ嬉しいです。
待望の息子を授かりました。産まれた時からずっと一緒にお店にいました。それは今も変わりません。とにかく小さくて、こんなに大きくなるなって思いもしなかった。それくらい子育てとお店の両立が大変でした。でも、今の息子を見ると、これで良かったんだって感じます。子育てに正解なんてないし、それぞれの家庭によって環境は違うから、それに合った暮らし方、子供との過ごし方、息子の感性を何よりも大切に心がけていきたいです。
息子をおぶってパンの発送作業。懐かしいな〜。
店が暇だと一緒にゴロゴロしてました。
この時から今まで、息子の成長を見守ってくれているお客さんに感謝します。
血は繋がってないけど、僕達にとって親戚そのものです。
息子が大きくなってきて、白子町での住居兼お店は難しくなってきたので、土地を探して縁があり睦沢町に住むことになりました。
着々とお店がカタチになっていくのを、白子町から毎週見に来ていた頃の一枚。
この時は期待と不安が入り混じっていました。今となっては、いらぬ心配だったけど、息子の子供園や、お店の事や、大きな転換期でした。
森喫茶の引き渡し日。息子は2回程行ってみた子供園に、
「もう行きたくない」と。
その言葉を聞いた時は、正直嬉しかった。あのまま通い続けていたら、息子との関係性、家族の繋がりは大きく変わっていたと思う。
息子の勇気ある決断に感謝。
店舗入り口のカウンター席が息子の席。営業中もこの席で本を読んだり、お客さんに遊んでもらったりしています。大きくなった時に覚えてるかな?
睦沢での暮らしにも慣れてきた頃に、庭で子猫を4匹保護しました。
1匹どうしても飼いたいと言う息子。そして一緒に暮らすことになったチャイ。
ちゃいはとにかく息子とのとなり。
今でも朝方は息子の枕元で寝ています。チャイは男の子。初めての長毛猫。末っ子って感じがしてなんだか憎めなくって。よく食べるからどんどん大きくなってきました。
キャットタワー。産まれた場所がバラバラだけど、こうして一緒の家で楽しく暮らせて良かったです。
昨年の11月に三姉妹で捨てられていて保護された犬。
この中の1匹の里親に応募して、そして我が家にやってくることになりました。
そうです。あさです。あさの首輪は薪の絵です。
女の子です。睦沢での暮らしにも少しずつ慣れてきました。アスファルトよりも山道を歩くのが好きなのは僕と一緒。とにかく賢い子です。
昨年の今頃は、まさか犬と暮らすなんて思いもしてなかったんです。こういうのが人生の醍醐味ですよね。何があるかわからないけど、受け入れるべきものはしっかりと受け入れる。必要ないものはしっかりと断る。そこの軸だけは曲げたくないです。
こうして、家族がどんどん増えていきながら、パンを焼き続けてきました。
振り返ると、猫や犬、息子がいない暮らしなんて考えられないし、もしそうだったとしたら僕が焼くパンも味気ないパンになっていたと思います。
今となっては大家族ですが、一家の大黒柱としてこれからもみなさんに喜んでもらえる様なパンを焼いていきたいです。そして、ちょっと疲れた時や、息抜きをしたい時には、休憩がてらいらしてください。
山に登っていて休憩する時に、一杯のコーヒーでガラッとテンションが変わります。それは街でも変わらない。
じっと目を瞑って、じっくりとコーヒーを味わい、一口ケーキを口に運ぶ。
そっと窓からの景色を眺めながらもう一口、コーヒーを口に運ぶ。
ふーっと息を吐く。読みかけの本に目を戻す。
その繰り返しで、充電される何かがある。
鳥が木にとまり、羽を休めるように。
山登りの途中で小屋が見えた時の安堵感。
物質だけではなく、そういった気持ちが和むお店でありたい。
今年もよろしくお願いします。
昨年の9月に裏磐梯で車中泊をした時に、朝早く目覚めて家族が起きない様に窓辺でイヤホンをつけてそっと聞いていた曲。そのおかげで、このアーティストの音を聞くといつも裏磐梯を思い出します。今年も行けるといいな。