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【映画「マッチング」本当に良かった】


映画「マッチング」、本当に面白い。

マジで面白い。面白かったーー!!!!!
わーーーい!!!!!サイコー!!!!!!

私は佐久間大介のオタクでずっとこの映画が公開されるのを楽しみに待っていました。

佐久間君が出演する映画なら何度だって通うぞと
もちろん思っていたわけですし、
佐久間担の皆さんはきっと殆どの方がそういう
心持だったことに間違いはないと思うんですけど、

『何度も通うことが確定している映画がとても面白く、複数回見ることが全く苦痛ではない』

これがどれだけ嬉しいことか!!!!

本当に、一度見たら二度目が見たくなる、
ラストで受けた衝撃を携えて確認しに行きたくなる、優れた構成の映画なんです。
噛めば噛むほど味が出てくるんですよこの映画。

加えて佐久間大介のファンはアニメオタク出身が
多いわけですが、そういうオタクたちに刺さる
ディテールの多さやキャラクターの個性の強さも
魅力の一つ。

更には考察しがいのある種の撒き方、そして
普段映画を見ない層に対しても手厚い伏線回収の
丁寧さ。

リアル脱出ゲームや歩行型お化け屋敷を期待して
きた方は『物足りない』とか『簡単すぎた』とか
思うかもしれません。

でもこれ内田監督が丁寧にレールを敷いた
ジェットコースターなので!!!!!!!

そう。
映画「マッチング」、マジで
『ジェットコースターのような映画』なんです。

大きなテーマパークの遊園地、乗らずに下から
眺めてる人たちはコースターがレーンを
どのように走るのか目で追うのはなかなか
大変でしょう。
でも乗ってしまえば心地よい疲労感と共に
身を委ねるだけでラストまで一気に連れて
行ってくれる、それが映画「マッチング」。


このブログは100%ネタバレ込みでこの映画の
どこが好きだったかをひたすら挙げていくブログになります。

でも、絶叫マシンに少し苦手意識がある人に
「こんなレーンだったよ」ってネタバレをしたら
「それなら心構えが出来るし、見てみようかな」と思ってくれる人がいるかもしれない。

このブログを読んでからでも興味を持った方は
是非!映画「マッチング」を実際に見に
行っていただきたい!!!!

楽しいアトラクションの感想を全てネタバラシされても「なんか話聞いただけで乗った気になったからディ○ニー行かなくていいわ笑」とはならないと思うんです。

もしこれを読んで「マッチング」見たいなと思ってくれた人がいたら、それはとても嬉しいです。


【確実に見る予定がある人へ】
ネタバレしてない「マッチング」おすすめブログです
https://note.com/skotadanootaku/n/n15db9057103e


【永山吐夢が気になっているヤンデレ好き二次オタの人へ】↓永山吐夢がいかに良いヤンデレかをプレゼンしたブログです。

https://note.com/skotadanootaku/n/nb13229067a3d


※以下、ネタバレ全開です※

※真犯人とかも全然話します※

※演出の話とかもバンバンします※

※もう見るのが確定している人は絶対読まないでください!※

※まだ見るか迷っている、もう一押しが欲しいという人がみ見てみたいな」と好奇心を掻き立てられるように頑張ります!※

※よろしくお願いします!!!!※


【ストーリーの巧さ】


内田監督、良い意味で観客を「嫌な気持ち」にさせるの、上手い。
『こうだったらいやだな~(ニヤニヤ)』のその上を超えていく感じ。
でも下卑た感じからは遠くて、
なんというか美しい地獄を作るのが上手いんですよね。

当事者たちはたまったもんじゃないですけど、
我々はお客様なので楽しんで見れてしまう。
地獄を「地獄だね〜」と言いながら見る作品って
一定需要があると思うんです。

映画「マッチング」、
めちゃくちゃドンパチしたり人が踊って歌ったりという派手さはないものの、見終わった後誰かと話したくなったりする、登場人物の映画に映らない空白を想像して苦しむ、そういった意味でのエンタメ要素ってすごく強いと思います。

同監督の代表作、『ミッドナイトスワン』も大好きな映画なんですけど、
我々から見たら地獄でも劇中の彼らにとっては最善になるように選び続けた結果だったりする。
最善になるように選び続けるくせに、誰1人自分の
愛を譲らなかったからどんどん拗れていく。

私たちは「あーあーあーあー(汗)」と思いながら見るけど、登場人物の殆どが最後はなんか満足そうに笑っている。
これが不思議と爽やかな後味なので、あの終わり方をしてるくせに決して「後味が悪い映画」ではないんですよね。
すごいなマッチング。

そしてこの映画、
一転二転三転四転するくせにめちゃくちゃ綺麗に
着地するからやられたーーーっ!!!!!となる。

正直「永山吐夢」という狂気のストーカーがもっと容赦なく無差別的に女性を襲ったりするのかな、
簡単に見知らぬ人と出会えるようになった現代社会に対する啓蒙的な映画なのかなと思ってたんですが、違った。

地獄の種まきはもっと昔から行われてて因果応報ここに極まれり、そんな映画だった。

「あ、それにも意味があるの?!」「そこにも繋がるの?!」と全回収していくのがマジで気持ち良かったです。

少し前に最悪一族の因習村系映画「ゲゲゲの謎」もSNSでバズり大ヒットとなりましたが

正直「マッチング」も最悪一族大乱闘スマッシュファミリーズじゃねえか!!!!!!!!!!

最後の最後まで人の業がたっぷり詰まっていて、
丁寧なストーリー展開で、めちゃくちゃ面白かったですね……。



【キャラクターの良さ】


イカれたメンバーを紹介するぜ!!!!

ほぼ全員!!!!!!!!以上!!!!!

『マッチング』の登場人物、8割とんでもねえ奴らなんですよ。
でもどこか憎めない。
どうしてか『こいつほんと嫌いだったな』という
キャラが一人もいないんですね。
全員が自分が今できることを一生懸命全力でやってるからかな。そして最悪の事態を招く。


キャラクターがここまで魅力的なのは、
副音声や舞台挨拶、雑誌インタビューなどで分かるように演じられた役者たちが大事に大事に血を通してくれたおかげ、そして役者の解釈で生まれたキャラクターの振る舞いを採用してどんどん育てていく内田監督のおかげだと思うんです。

土屋太鳳さん、金子ノブアキさん、佐久間大介くん。この3人に共通して言えるのは、全員自分が演じた役を1人の人間として理解して、否定してない人だと言うことだと思うんです。


【唯島輪花という主人公】


輪花、本当に良い。
登場人物が全員嘘をついている中で、輪花ちゃんは最後まで嘘つかなかったね。

ちょっと正直すぎるところも顔に全部出ちゃうところも本当に良かった。
見ました?
吐夢が現れた時の
「う・・・・っわ・・・・・」(ドン引き)の顔。

可愛く優しくほのぼのしたイメージだった
土屋太鳳ちゃんの、あの嫌悪を隠そうともしない顔、最高でした。
正直すぎる、顔が。
あとクリオネを見た時の「ちっちゃ」って声が好きでした。

そもそも「唯島」という名字が「正しさ」っぽいし「だました」のアナグラムっぽいのも良いですよね。

唐突に自分語り失礼するのですが、
私自身が現在恋人なし、恋愛苦手、幼いころに父と死別(死因なんだか濁されている)、ストレスの多い仕事に勤めている、女手一つで一生懸命育ててくれた母親のことは大好きだけどその分『他所にもうひとつ家庭を作ること』がひどく難しいことに思えて
実家に帰省するたびに「孫の顔みたいよな?」「でも一人が好きでしょ」という問答を繰り返している、
ので、
輪花ちゃんが本当に他人とは思えなくて
物語が進むにつれてうわあーーーーーーーわかるーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!と
苦しくなりながら見てました。

だからこそお父さんを大好きな気持ちも、
幼いころからずっと感じてきた「何かが違う」「でも壊れてしまうのが怖くて聞けない」という違和感も、『私だってずっと苦しかった』と吐露する気持ちも、全部全部わかるよ・・・・・。

目の前で母親が狂っていく様子をまざまざと見せつけられた影山の壮絶な人生に比べたら霞むだろうけど、輪花ちゃんだってこの映画が始まって幸せそうな顔をした瞬間が一度だってあっただろうか?

「両親がいたら違っていたのか」と思う気持ち、焦り、旧知の人がどんどん結婚していって勝手に裏切られたようになって自己嫌悪、

記憶の中の母は「幸せになるのよ」って笑っていて、でもその母は今どこにいるかわからなくて、
母の期待に添えていない自分が苦しくて、

毎日毎日、毎日毎日苦しかった!!

私だって幸せでぬくぬく生きてきたわけじゃない!

いや、わかる・・・・・

土屋太鳳ちゃん、本当に演技が上手くて輪花がどんどん憔悴していくのが見ていて辛かった。
表情がどんどん強張っていく演技とか、サーー…と血の気が引いていく顔とか。搾取される者としての表現がうますぎて「もうやめてあげてよ…!!」となった。でもやつれた土屋太鳳ちゃん、すごく綺麗だった…。

影山には影山の、輪花ちゃんには輪花ちゃんの
「幸せをためるグラス」みたいなものがあって、
影山も輪花ちゃんも一度は満タンに満たされていたはずなんですよね。他の皆もそう。
せっつんも、芳樹も、一度は満たされたことがあるから乾いてしまうし苦しいんだ。

だからこのグラスを埋めるために必死になったり、グラスから中身を奪った人を許さなかったりするんですね。

じゃあそのグラスに最初から何も注がれていなかった登場人物が一人だけいる。

永山吐夢です。



【永山吐夢というストーカー】

大好きなアイドルに、怖くて空っぽで変で悲しいストーカーの役が来ました。
盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たかと思いました。
永山吐夢、本当に良いキャラだった…。

「こんなキャラ現実にいてたまるか」と「こんなキャラが現実にいたら、こんな感じかもな…」の中間を絶妙に演じていて本当に良かった。

永山吐夢、ギリギリ現実にいそう。
いわゆる「ヤンデレストーカー」という区分になると思うのですが、大袈裟に狂った様子もなく、じっとり、ぺたり、と侵食してくるようなあの感じ。クトゥルフ神話みたい。

そして吐夢くん、輪花ちゃん視点の映画本編では全然気持ち悪いストーキング行為なくて(そうか?)よかった。
正直ゴミ漁ってルナルナするぐらいは覚悟してましたし、私はそこまで振り切ったヤバ男も嫌いじゃないけど、そうなるとここまで「永山吐夢」というキャラクターが万人受けしなかったと思う。

小説を読むと盗聴とか監視カメラとか吐夢もしっかりやることやってるのですが、
映画は基本輪花視点で進むから吐夢は本当に
『ピースフルなファン』として成立するんですね。

しかも吐夢は色々知ってるんだろうけど必要最低限のことしか喋らない、「自慢げに知識をひけらかせて必要以上に怖がらせる」こととかしてなくて、本当に輪花と円滑にコミニュケーション取りたいんだなと思うと可愛ささえ覚えてくる。

私が初めて見た回ではみんな吐夢のシーンで笑ってました。面白いんです、変すぎて。
彼はいたって本気だし、やってることはまっとうではないけど、その一つ一つがどれも全力で、なんだか愛おしく見えてきてしまう。

更には輪花を守るために色々行動して忠告してくれたり、助けに来てくれたり、どんどん格好良くなるんですよね。
手を掴んで階段を必死に駆け降りるシーンなんて、まるで王子様です。
映画が進むにつれて私は思いました。

「吐夢くん、このままただのストーカーなのかな」

「それってすごく可愛くて愛しくて最高で、

少し、物足りないかもな」と。

そしたらあのラストって訳です。
もう………そんなに喜ばせないでほしい………。


そして胸を打たれたのが、病室でのシーン。

コインロッカーに捨てられ、そこで命を終えるはずの人生だった永山吐夢。
生き残ったのが正解だったのかと疑問に思うほど
孤独でさみしい人生だったでしょう。
誰の養子にもなれず、児童養護施設では『誰かから特別にプレゼントをもらう』ということもなかったでしょう。
そんな永山吐夢が、愛する人から初めて渡されたプレゼント。

あのシーン、何度見ても、
輪花ちゃんからもらった紙袋が何なのか全然理解できてない反応、からの袋を開けてスニーカーを取り出した後に残ったジャケットを手に取るスピード感が好きすぎて泣きそうになる。

自分に与えられたプレゼントだと分かった後の焦りと喜びが伝わって苦しい。佐久間大介〜そんな演技ができるんですか〜!!!(号泣)

今までぬる・・・ぼそ・・・と動く姿を見せられてきたのでこのガサガサうきうきプレゼント漁りはずるすぎた。クリスマスの朝みたいだね吐夢。よかったね吐夢。吐夢が急いで動くとき、全部輪花のためだね。泣けるな。

あと、吐夢くんの爆音ノック大好きなんですよね。

キリスト教の言い伝えでは悪魔など人外の類は
「部屋の住人から招かれないと入ることができない」「悪魔は歓迎されないところには行くことはできない」的な言い伝えがあるみたいですね。

『招かれないと入れない』吐夢が、

序盤に輪花の自宅を訪れたときは速攻鍵を閉められて、代わりに警察がドアを叩く

終盤、影山親子が暮らしたマンションの一室では
警察のふりをした吐夢がドアを叩き、
輪花ちゃんがカギを開ける

この対比ですよ・・・・・・・・・。たまらん・・・・マジで・・・・・・。

あと私は
金子ノブアキと佐久間大介が異父兄弟なのが
結構発狂レベルで刺さった
のですが、
そんなのネタバレだから誰にも布教時に言えなくて苦しい思いをしました。
全人類見たいだろ、
異父兄弟の金子ノブアキと佐久間大介・・・・!!



【影山剛という子供】


影山剛、正直刺さりすぎてつらかった。
私は佐久間大介のオタクなので永山吐夢がもちろん大好きだけど、本当に思わぬ方角から殴られた。

そもそも、金子ノブアキさんの時点で怪しいんですよ。
いや、誠実な金子ノブアキももちろん見たいけど、
あれほど『嘘』がテーマの作品で金子ノブアキに裏の顔を持たせないのはビールのない枝豆と同じです。知らんけど。

また序盤の影山が穏やかでチャーミングで、かわいくて。尚美も『影山さん、笑顔が素敵♡』って言ってたし。
そういえば一番最初に吐夢のこと『いいじゃん』って言ったのも尚美だったな。
・・・・・尚美、
絶望的に男を見る目が・・・ない・・・。

影山親子が暮らしてた廃墟、
輪花ちゃんが倒れ込んだ時にマジカルバナナのボードゲームが写るんです、一瞬。
多分1人でやっても面白くない遊びだし、お母さんと2人で遊んだ日もきっとあったんだよね。
あんなにお母さん好きなんだから、節子だって彼にとって良い母親だった日もあったんだ…つらい…

私も母子家庭なので、早くに夫という存在を失い『女』を辞めて『親』を務めてくれる母への感謝と、それをさせてしまっている、という罪悪感に敏感になる気持ちが痛いほどわかるんです。

でも同じぐらい『女』の顔をする母親も、
嫌なんだよね、『母』でいてほしいんだよね。

そのうえ『女』になった母が全然幸せそうでもないと来たら、影山少年は何のために自分が蔑ろにされてるのかももうわからないよね。

ああつらい。

『お前もここで苦しめ』と輪花を責め立てる影山の姿がランドセルを背負った子供の姿とフラッシュバックする。このシーン本当に大好き。悲しすぎる。

影山役の金子さんが副音声でずっと『子供なんですよね』と言っていたのが本当に刺さっている。
影山は母が好きな赤色の車を運転しているし
影山の服装はチェックのシャツインだったりその上からジャケットを着ていたりする。

この服装、輪花パパ・唯島芳樹が若いころ着ていた服装と酷似してるんですよ・・・。
おいおいおいおい・・。

世間から見て毒親である節子と離れ、
ある意味での『自由』を手に入れたけど、
影山はずっと過去にとらわれて母親と父親になるはずだった人をなぞって、
彼を構成するものすべてが『母』を喜ばせるためのものでしかない。悲しすぎる。

というか節子も腕ザクザクやるシーンとか最初は前髪あるスタイリングだったのに、
輪花ママと出会った日から輪花ママと同じ前髪センター分けにしてるの怖いですよね。
成り替わろうとしてるような不気味さを感じる・・・ひえ・・。

金子さん、輪花を見つける前と見つけてしまった後のことを『連休前の金曜日の夜』みたいなこと言ってんたですよ。震えましたね。
影山のゴールはここだったんだ。もうゴールテープは目の前なんだ。

終わった後、何をして生きればよいのか誰も彼に教えてくれなかったんだ。

Will willに登録した輪花を見つけた時のあの喜怒哀楽の百面相がすごい。
あんなに自然に激情の移り変わりを表現できるんだ、人間って・・・。一歩間違えば滑稽に見えそうなぐらい表情が変わるのに、あの移り変わりで影山の台無しになった人生に想いを馳せることができる。天才かよ…。

輪花を見つけない方がしあわせだったかもしれないな、と思わされるほどの努力が実った安堵と長い旅が終わる喪失感とやるせなさと行き場のない怒りと・・・。
影山、許されないことをしたけど幸せになってほしいよ。無理か。3人殺してるから死刑だろうな・・・。

あと、影山が節子のお手紙のシーン、
手紙の文面だけ見ると
『輪花から母へ ようやく(母の居場所を)見つけたよ やっと(その監禁から)救ってあげられるね その女(節子)がどんな顔をするか今から楽しみだね』
という風に読めてしまうから意地悪だよね…!!!!



【ラスボス 影山節子】


せっつんマジでさ・・・・。

怖すぎ、ラスボス。さすが斉藤由貴様。
全国のヤンデレが好きな人は見た方が良い。

本当にイカれてる。

こんなの素質がないとここまで狂うの無理だよ!
すべての元凶!と言わずには入れない大暴れっぷりですが、ちゃんと「でも芳樹も悪かったよ」というのを脚本が最後まで忘れないでいてくれたのはよかった。

輪花が謝るんですよね。

「私の父がしたことを謝りにきました」と。
所帯持ちなのに乙女の心を弄んで、捨てた。
いくら節子が愛が重く暴走してしまう女性だったとしても、火をつけて薪をくべて後始末せずに逃げたのは芳樹だった。

そのせいで今も地獄の業火は燃え続けて関係のない人間まで焼き殺してしまっている。

そんな過去を輪花は「清算」しに来た。
呪いは断ち切るべきなんだ。


そんな輪花の誠実さ、正しさ。

鼻で笑って踏みにじる、

「っふふ」

の笑い声。


あーーーーーーー最悪だーーーーーーーーーこわーーーーーーーーーーーーい!(ほめてる)

理屈が通じない相手って本当に怖い。
MYルールで殴ってくる感じが怖すぎる。
「この人を愛することは芳樹さんを愛することなんだって」も正直全然理解できない。

でも笑いを堪えて身を捩って、肩をすくめて、
…スン… と表情をなくす節子、ゾッとするほど美しかった・・・・・。
本当に美しかった。鬱くしかった。

そして最悪が始まる。

「マッチング」における最悪絶叫瞬間最大風速、
尚美のアレがピークかと思ってたんですけど
車椅子の膝掛け取った瞬間が一番かもしれない。

よくそんな… 取り返しのつかない地獄を思いつく… なんなんですか内田監督…(褒めてる)

影山が輪花ちゃん抱きしめるときに頭掴んでるのも、節子が輪花ママの頭をぐりぐりって撫でるのも、全部行為自体は優しさを伴うはずのものなのに憎しみとか征服欲が全然隠れてなくて怖くて最高ですね。

その他の役者さんも本当に素晴らしくて。
芳樹役の杉本哲太さんの輪花を見つめる優しい顔とか、輪花と料理を囲んで食べて「うん、美味いなっ」って言う感じとか、全然立ちあがろうとしてないのに「あー(電話)俺が出るよ」って言うあの感じとか。
私にはお父さんがいないけど、マジで『お父さん』だなという温度感が良くて。だからこそ色々悲しかった…。
 
芳樹、お母さんがいない中で男手ひとつで大切に育ててきたのはわかるんだけど、輪花ちゃんの恩師が死んで週刊誌に晒されて…という娘が不幸のどん底の時に先に食欲無くして落ち込んで心配されてる父を見ると「そういうところやぞ」と思ってしまいました。
全部芳樹の弱さが招いた事態だよ・・・!

あと散々言われてるけど過去を演じた役者さん全員似すぎ問題。本当に素晴らしいキャスティングだと思います。
影山剛少年が登場したシーンで隣で見てた妹が「(これ絶対吐夢じゃない)」って囁いてきて笑いました。静かにしなさい。

他のキャラクターも全員味があって良かったな〜!!!!!!!!!!!!!!

刑事コンビも尚美も本当に見れば見るほど好きになる。
西山刑事の吐き捨てるような「そういう問題じゃないでしょ」や真面目な口調は崩さないけど輪花に寄り添ってくれる時に雰囲気が少し和らぐあの感じとか、とても良かった。
輪花ママの演技が「無表情(暗)」と「無表情(狂)」と「無表情(明)」で全部演じ分けがされていて本当にすごいなと思った。
尚美は見れば見るほど好きになるキャラだし…。
輪花がパパラッチに囲まれてる時に「開けてください!」「どいて!!」って必死に叫んでる尚美、輪花のこと本当に大切にしてきてくれたんだなって視聴回数を重ねるごとに悲しくなります。

でもそもそも「尚美が輪花にマッチングアプリを勧めた」ことがきっかけで全ての歯車が狂いはじめたんですよね。そのせいで尚美は…なんて話だよ…。


【広報の秀逸さ】

映画『マッチング』、
広報がめちゃくちゃうまい映画だなと思いました。

正直、万人受けするテーマじゃないじゃないですか。サスペンススリラー、なかなか見る層を選ぶと思います。そんな中で本当に秀逸なXとTikTokの運用をしてくれたと思います。

本予告が解禁される3日前からのカウントダウンでアプリの開発画面みたいな動画を載せたり、
本編内に出てくるマッチングアプリのようなエフェクトをTikTokで配布したり、メインキャスト3人の動画も沢山出してくれてました。

個人的に私が一番おったまげたのはTikTokに投稿された「マッチング」原作小説をメインキャスト3人が朗読する動画です。

原作の輪花のシーンを、土屋太鳳ちゃんが。
吐夢のシーンを、佐久間大介が。
そして金子ノブアキさんは、…… あれ?

というこの、ね!!!!!!!!!!!!!!!!!

いや、いやそうなんですよ公式だからと言って全て真実だとは限らないんですよね。
なんなら公式だからこそ嬉々として嘘をつく。

映画「マッチング」は予告映像の作られ方も本当に秀逸で、本編見た後に予告を見返すと本当に綺麗に嘘をつかれてて上手に真実を隠してて笑っちゃいます。
まさか「私だって愛してた」が「私だって『お父さんを』愛してた」だとは思わないじゃないですか…。

そして広報といえば、宣伝プロデューサー・マスダさんのアカウントのの存在も大きいなと。

『マッチング』の感想ポストしたとがある人の8割は自分の通知欄に東京タワーみたいなアイコンを見たことがあるんじゃないでしょうか。

映画広報プロデューサーさんによる明確な目標ポストや怒涛の「いいね」。
公式側の人に自分の感想が届いているという手ごたえと嬉しさがもっとポストしようかなという意欲の向上に繋がり、結果そのポストによって気になった人が映画を見にいく、良い循環・・・!

楽しい、楽しいぞ映画マッチング・・・!!
本当にいろんな要素が奇跡的にマッチングして大きな渦となってこの大ヒットを生み出せたんじゃないかなと思っています。楽しいねえ。

そして何よりメインキャスト3人によるプロモーションがずっと雰囲気良くて最高だったなあ・・・。
この『圧倒的光』属性の3人と映画の内容がかけ離れていて、それがまたツッコミどころも多く面白い化学反応を起こしてくれていました。


【『ラスト一秒、愛が反転する』のキャッチコピー】

おいおいおいおい良いのかそんな大きなこと言って・・・!と正直焦りました。

映画を少なからず見てきた身として『どんでん返し系映画ってどんでん返しあるよ!って言われてみると身構えちゃうから結果大して衝撃受けなかった』系映画となり下がってしまうからです(個人の感想です)

私完全に節子のシーンでピークだと思ってましたあーーーあ……

やられた・・・・・・・。

最後の、吐夢の笑み。そうきたか。
エンドロールに入っても、
劇場内が明るくなっても
全然立てなかった。
みぞおちにでっかいの食らった気持になりました。

突然なのですが、私の「癖」の話をします

『好き』という言葉ではとても表しきれない激情を伴うものに対して「癖」と使い勝手の良い単語を当てはめさせていただきます。

私、【第四の壁を破る存在】が癖(へき)なんですね。


【第四の壁とは】

舞台前面に4番目の壁があるかのように、
俳優は観客が存在しないものとして行動し、
観客は外の世界から舞台上の生活をのぞき見ている意識をもつものだとする理論のこと。

「第四の壁を破る」という言葉は人物や何らかの舞台装置の働きで、役者達が観客に見られていることを「自覚した」ときに用いられる。

つまり、我々がフィクションを見ているとき、
同時にフィクションの登場人物は見られていることを知覚し、呼びかけたりこちらにアクションを起こしてくるような演出がもう本当に大好きなんです。ゲームやアニメ、映画もそう。

黛灰とモニカとオベロンと大橋大河とデッドプールが好きなんです。
からくりサーカスのラストが本当に大好きなんです。わからない人は読み飛ばしてください。

ゲームの登場人物が
「今これを見ているあなたに話しかけているんですよ」
って話しかけてくる演出が挟まれた日には大喜びでのたうち回ってしまうような、『癖』なんです。

寂しいんですかね、なんなんでしょう。
自分が没入して心を砕いた物語が、読み終えたとたんに自分を置いて終わってし合うのが悲しいんですかね。そんな理由で『第四の壁を破る演出』が本当に本当に大好きなんです。

「マッチング」の話に戻ります。

一番最初にこの映画を見た時、
終盤に差し掛かるにつれて寂しくなっていました。
ああ、終わってしまう。置いて行かれる
この劇場で体感した2時間だけが
私たちと輪花たちの人生を繋いでいてくれたのに、
もうすぐ終わってしまう。終わるな終わるな。

消化できない寂しさと、
『ボレロ』で盛り上がるクライマックスのワクワクに浸っていた、
そんなラスト一秒に、

吐夢がこっち見て、笑ったんです。

頭吹っ飛ぶかと思った。喜びと恐怖で・・

私は全然映画に詳しくないし演出論とかもわからないです。
でも、あの瞬間確かに私は、
私たち観客は「当事者」になったんです。

ずっとエンタメとして消費していた悲惨な輪花の物語、彼女を取り巻く人間たちのおぞましい地獄のような愛の物語を、
怖がって、考察して、妄想して、時には輪花が命をかけて必死でもがいてるシーンでもちょっと笑ってしまったりなんかして、散々人の人生を消費してきた我々を、最後に吐夢が笑うんです。

輪花視点で進んだこの物語、輪花の中ではハッピーエンドだと思います。

色んなものを失ったけど、母親との日々がまた始まるし、吐夢ともうまくやっていけそう、
運命を変える恋を見つけたラスト。

でも輪花は気づけない。

優しく握った吐夢の手がすでに血に染まっていること。

恋愛感情を抱きつつあるその男が、血のつながった弟であること。


吐夢が、彼が渇望していた家族と運命の相手を手に入れて見事「成し遂げた」ことを知っているのは私たちしかいない。

そんな我々を見て、最後に笑いかける。

今から輪花さんは笑って見ていて何もしなかったあなたたちの手の届かないところで僕と幸せになるんです。


そう言われているような気がして、本当に怖くて。

それと同時に、観客と部隊を隔てていた壁が
吐夢のほほえみ一つでなくなったようにも感じて。

いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーマジで映画って最高ですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


ここで生きてくるのが、
影山と輪花がデートで見た『サンセット大通り』。

あれは過去の栄光に囚われている女優が今も自分が求められていると信じて疑わず、銀幕に戻る日を夢見て狂っていく様を描いた映画なんですが、
影山たちが見ていたシーンは本当にラスト5分間の印象的なシーンなんです。


「マッチング」内ではカットされてしまっているけど、
あの後恭しくカメラを見つめる彼女は
『暗闇から見てくれるファンの人たち』って呼びかけるんです。

ドキッとしますよね。
現に我々は劇場という暗闇から彼女を見ているんだから。

「サンセット大通り」が劇中で流れ、
「マッチング」のラストシーンが吐夢の笑みで終わるの、秀逸だな・・・と思いました。

あれを劇場で見る影山の嬉しそうな顔、キラキラした目よ・・・。これ初デートの時に見る映画ではないぞ多分…。


【Aimerさんの主題歌が良すぎ】


主題歌だけならサブスクやCDで聴ける。確かに。
映画だって、別に今見に行かなくても。

でも言いたい。映画マッチングの世界に浸った後に
暗闇の中でなすすべもなく『800』を聞いてほしい。

「マッチング」、上映中は切なさとか悲しさよりも
ハラハラドキドキ、人間ってこえーー!ガハハ!
という気持ちで見ていたのに、
『800』を聞きながらエンドロールを見ていると
どんどん切なくて悲しくなっていくんですよね。

芳樹、輪花ちゃんを見る目、優しかったな。
尚美。あんなに力になってくれたのに。
というか、もうこの愛しいキャラクターたちに会えないのか・・・。

フィクションから現実にじわじわ引き戻してくる「800」。嘘八百。

サスペンススリラーではあるんだけど
みんな運命の悪戯、偶然のマッチングがなければ完全に満たされてはいなくても細やかな幸せの元で暮らしてたはずだと思うと苦しいし、
だからこそ余計にエンドロールの『800』の切ないサウンドが合うのかな。

ラスサビ前に静かになる箇所が本当に好きなんですけど、あそこで
『影を刻むように』って歌詞がおあああああああああああ!!!!!!!(号泣)ってなりますよね。影・・・・・・・・・・・・・・。



【最後に】


ここまで読んでくださった皆さんありがとうございました。
映画「マッチング」への愛、伝わったでしょうか。めちゃくちゃ長くてすみません。

14000文字あるらしい。

私は一時期海外俳優にはまっていた時期があるため一般よりも多くの映画を見ている気がするのですが、正直『優れた映画』というのが何なのかはよくわかりません。
でも、『サスペンススリラー』という決して万人受けするジャンルではないこの映画が、
春休みに向けて強いタイトルの映画がどんどん公開される中でも上映館が増え何度も舞台挨拶が行われたのは沢山の理由と奇跡のマッチングの数々のおかげだと思うんです。

映画「マッチング」、
読み方が「マッチングアプリ」の「マッチング」だとおもっていたら「ゴーイング」「シンギング」の方の発音でしたね。

現在進行形だからか・・・・名詞じゃなくて動詞なんだ・・・・
今この瞬間もこの映画は誰かに出会い続けているんだ・・・


輪花も、影山も、吐夢も、みんな自分の地獄を生きていた。
私も毎日毎日、自分にとっての地獄を生きています。
そんな深海を生きている自分にとっての光が佐久間大介で、ピースフルなファンでいたいと思いながら毎日過ごしています。

そんな大好きな佐久間くんの初単独出演、
どんな映画だって何度も通うつもりだったけど、
本当に作風も監督もスタッフも演者も全員が大好きだと心から思える作品に参加することができて本当に良かった・・・・。

「マッチング」の劇中には愛の扱い方を間違えた人たちがたくさん出てくるけど、
「マッチング」の制作現場には愛を正しく扱える人たちが集まった、そんな印象でした。

私はSnow Manが大好きで9人がそろって何かをしているのを見るだけで幸せになります。

でも最近各々の単独仕事が増えて、『グループ仕事が久々だった』と聞くこともしばしば。

少しのさみしさを覚えると同時に、今後彼らが芸能界という大きな大きな大海原で泳ぎ続けるためには、彼らが心を許せる船みたいな現場をグループの外にもたくさん作っていくことも必要なんだなと思っています。

芸能界という名の海は気まぐれで、毎日波の高さも変わり、岸から見ているだけの人は、海面に出ているものだけを見てやれ「泳ぎ方がなってない」だとか「もっとわかるように泳げ」とか「溺れるな」とか勝手なことを言うものです。

そんな海の中で生き残るためには色んなボートがあったらいいなと思うんです。

マッチングは間違いなく佐久間君にとって大きな船のような存在で、演技仕事が少なかった佐久間君に本当に色んな世界を見せてくれました。

航海士の内田監督、甲板で帆を張る土屋太鳳ちゃん、錨を下ろす金子さんをはじめ、素敵なクルーと佐久間くんが出会えて本当に良かった。

アニメ、漫画、ドラマ、映画。
優れた作品や創作物に何を求めるかは人によって違うと思いますが、私はおそらく『繋がり』なんだと思います。

人が作ったフィクションを見た後、どうしても感想を話したいし、誰かと共有したい。それによって『つながった』気分になる。

内容がハッピーまっしぐらではないにせよ、
「マッチング」を楽しみにしていた公開までの
半年間、マッチングが公開されてからの盛り上がった一か月、本当に楽しくて、
顔を見たこともない人たちとのつながりが増えるようで、イキイキと過ごすことができました。

楽しかった、本当に。

ムビチケを50枚買ってしまったことも、
地元に映画館がないため往復4時間運転して映画館に通ったことも。
着券を手伝ってくれた優しい人たちともマッチングして、普段話さないような職場の人にもムビチケを配ったり、普段なかなか遊ばない人たちを勇気出して誘ってみたり。

そのすべてが鮮やかに色づいて、
「人を愛するのってこんなに楽しいことなんだって」(元気な影山)

と思ったわけです。
とても良い2、3月でした。

仄暗い深海で膝を抱えていた私が水面に顔を出すきっかけをくれてありがとう。
またいつかマッチング2号としてこの海に戻ってきてください。


映画マッチングが繋いだ縁が、
今後も大切に大切に続いて佐久間くんにとっての
大事な場所になりますように。

本当に面白かった。「マッチング」大好き。

あまりうまく書けなかったけど、
一人のオタクにここまで書かせる映画「マッチング」、もし興味がわきましたら見てもらえると嬉しいです。

どんどん劇場は減ってきている。
私の最寄りの映画館は上映が終了しました。

あと何回見に行けるんだろう。
あと何回、あの怖くて愛おしいキャラクターたちに会うことができるんだろう。


次、いつ会えますか?

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