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【アソビヅクリの旅 #01】アニメ業界に属さずにアニメを作るということ


Twitterで繋がった山本さんと下田さん

迫田

アソビヅクリさんはお2人のクリエイティブユニットでして、今日はお2人にお話聞いていくんですが、先にこのアソビヅクリというアニメチームユニットのプロフィール説明をさせていただければと思います。2018年に東京で「遊びを作る遊びの延長」をテーマに、企画マーケターの山本さんと作家の下田さんで設立されたアニメチーム。斬新なアイディアと緻密な技術力を併せ持ちながら、遊び心と深い思考が感じられるクリエイティブが特徴、というチームになりまして、今日は山本晃弘さんと下田健太郎さんに来ていただいております。改めてよろしくお願いします。

山本・下田

よろしくお願いします。

迫田

ということで、このラジオはゲストの人生の旅に迫るということなので、現在地点から少し遡って、お二人が過去からどのような形で今に至っているのかということをお聞きしていきたいです。お2人いらっしゃるので、一人ずつお聞きしていきつつ、多分二人が人生の中で交わってくるポイントがあると思うので、その交わってくるポイントからじっくり話を聞いていければと思うんですが。先に山本さんのプロフィールから山本さんの人生の旅に迫っていければと思うんですけども、よろしいでしょうか?

山本

はい、よろしくお願いします。

迫田

山本さんなんですが、アソビヅクリでは企画マーケターというポジションを名乗られておりまして。で、プロフィールとしては高校卒業後アニメーターとしてアニメ会社に入社ということで、アソビヅクリでは企画マーケターなんですが、もともとというか、最初アニメーターをやられてたということなんですね。

山本

あ、一応そうですね。

迫田

なるほどですね。そこで今に至るまでにストーリーがあると思うんですが、またそこは後で細かくお聞きするということで。で、その後、「技術不足で約一年でクビになる」というところでを包み隠さずそのままストレートに情報を頂いてまして、その後ツイッターで下田さんと出会って、一緒に自主制作アニメを作ることになるが、一作目は企画倒れするということですね。

山本さんの人生の旅において言うと、アニメ会社に入社した後にもう結構早いタイミングで下田さんと出会って、自主制作の道に漕ぎ出したっていうことなんですね。この時っていうのはどんな流れだったんですか?

山本

えっと、どうだろう? 1月にクビになって……正確には12月末か。で、下田と1月に初めて会って、その後下田が忙しいということでしばらく会わなくて、また5月ぐらいになって久しぶりに会って、そこで「自主アニメ作ろう」みたいになったっていう感じなんですけど。

迫田

山本さんの中でアニメや映像という表現は、アニメ会社出た後もやり続けたいなと思うところがあったという中で、やっぱ会社に属して何かやるよりも、自分たちでやりたいっていうことがなんか下田さんとの話の中で盛り上がったから自主制作アニメのチーム作ろうっていう形になったんですかね?

山本

いや、まあ、もしかしたら本音としてはそういうのもあったかもしれないですけど、当時はもう技術不足を素直に痛感してクビになって、ただただ人生路頭に迷っていた時期で。どう生きるかわかんないなって思いながら、そうですね、憧れのクリエイターだった当時の下田に声をかけて、なんか人生相談に乗っていただけないか、みたいな感じで。アニメ続けるかどうかも考えてなく、ただただ話しに行ったって感じですね。

迫田

なるほど。その当時は一方的に下田さんを山本さんは観測していて。下田さんは山本さんの好きなクリエイティブをツイッターとかで発表されてたんですかね?

山本

そうです、そうです。で、クビになるちょっと前あたりに下田からフォローが返ってきたので「あ、これは声かけてもいいか」って思って声かけに行きましたね。

迫田

あっ、そこから始まってるんですね。2023年の現在のタイミングでは、アソビヅクリとしてツイッターも含めて様々な活動をやられていて、順風満帆のように見えるんですけど、最初のキャリアのスタート時点ではちょっとした挫折をして、その挫折から立ち直るタイミングで新たな出会いがあり、今に至っているっていうことが分かったので意外だったなっていうのを思いました。

ここで下田さんの方に話をスイッチできればと思うんですけど、そういった形で山本さんから発見されて関係が始まった下田さんですが、いただいているプロフィールですと、定時制高校卒業後、山崎パン工場でバイトしつつ、ふらふらしている時期にツイッターで山本さんと知り合う、というふうにいただいていて、これって時系列としてはさっき山本さんが言われていたタイミングはバイトしながら、ツイッターで色々描かれてたっていう感じなんですか?

下田

そうですね。高校卒業した後、バイトをしばらく続けていて、高校入った頃からツイッターはやっていて、多分そのどこかで晃弘が認知してくれていたのかな。で、バイトをやっている頃に急にD Mが来て「会いませんか?」みたいな。それで「ああ、いいですよ」って、会いに行ったって感じですね。

迫田

会うに至るきっかけって、どんなところがきっかけだったんですか?というのも、やっぱ仲間探しているクリエイーターって多いと思うんですが、なかなか声をかけれないじゃないですか、あと、声かけられる方も、上手く返せないじゃないですか、声をかけられたとしても。だから2人がどういう風なコミュニケーションをして、どういったファーストインプレッションだったからこう柔らかな関係性になったのかなみたいなものはちょっと聞きたいなと思いまして。

下田

もしかしたら参考にならないかもしれないんですけど、「会えませんか」みたいにいきなりきて、で、なんか特に僕も何も考えず、「ああいいですよ」みたいな。多少会話はしたと思うんですけど、なんかやばい人じゃなさそうだなっていうことで、もうそのままなんか会ったていう感じなんです。

迫田

そのとき山本さんはどう考えてコンタクト取った感じなんですか?結構ノリな感じだったんですか?

山本

考えてというか、人生路頭に迷って、なんかどの一手を打てばいいかもわからないみたいな状態で、唯一ちょっと興味があったのが下田にコンタクト取るっていうことだったので、なんだろう、まあウキウキでもないが、とりあえずコンタクト取ったって感じです、それくらいしか面白そうな選択がなかったので。

迫田

でもそれを聞くと下田さん的には「ありがたい」っていうか、嬉しいとこ結構ありますよね。

下田

なんか僕でいいんかなみたいな感じはありますね。

迫田

山本さんはその時、下田さんのどういったクリエイティブを見て「いいな」って思ったんですか?

山本

えっと、まあ下田がまさに僕が描きたいような絵をいっぱい描いていて。で、まあさらに年齢も近いっていうところであって、これが本物の天才かぁ、みたいなものは当時感じて、まあ自分じゃないんだなみたいな。なんかこう絵描きとして成功していくのは自分じゃなくて、こういうやつかって思いながら……え、どんな質問でしたっけ?(笑)

迫田

その当時見たクリエイティブでピンときたものというか。

山本

そうですね。そう、まあそこら辺で、ピンときました。

迫田

アソビヅクリとして作ろうとされている『ガラクタ町』って、僕も結構好きなコンセプトで、でも僕だけじゃなくて、多分なんかこのなんだろうな、人生を生きている人間は、一度はこのようなの世界観とか物語をなんか夢想したことがあるんじゃないかなって。まさにその子供の頃の夢っていう感じで。その言葉がまさに示すような絵になっているなと、今のアソビヅクリさんが出されているクリエイティブを見て思うんですけど。であった当時、下田さんが描かれていたのもなんか近しいことだったんですか?

山本

あ、そうですね。ファンタジー系のイラストだったんですけど。あとは、なんだろな、ジブリであったりとか、そういったビジュアルが好きだったんですけど。下田の作る世界観とかもまさにそういった国民的な世界観で..。そんな感じでした。

迫田

下田さんはお聞きしたいのですが、その話を聞きつつ自分で分析するのは難しいかもしれないんですけど、我々日本国民が「なんか国民的だ」と感じる記号ってあるじゃないですか。まさにジブリが作っている記号ってあると思うんですけど、どういったニュアンスやどういったアクセントが自分のクリエイティブにそういった国民的な記号性を帯びさせてるって思いますか?

下田

記号性…。なんだろう。でもまあ僕も結構ジブリ作品好きなので、多分自分で見つけてきたってよりか、そういう作品から知っていたりとか、好きな作品をとにかく無意識にたくさん見て、なんかチャージする感覚があって、そういうので蓄積されていったものがなんか描いた絵に出てくるみたいな感じがありますね。

迫田

そもそもインプットやチャージは相当してきた感じなんですか?

下田

そんなに数は多分してないかもしれないんですけど、まあ、ジブリ作品だったりとか、海外のファンタジー作品っていうか、ああいう感じもすごい好きで高校の卒業したあたりとか、卒業する前あたりとかからD V D借りて見て模写したりとかもしていて。なんか割とアニメっていうよりは、割とそういうファンタジー映画とかからの蓄積が多いかもしれないです。

迫田

例えば今思い浮かぶエッセンスを摂取したなっていう海外のファンタジー作品って何があったりするんですか?

下田

パッと今出てくるやつだと『ヒューゴの不思議な発明』だったかな。ちょっとタイトルがあやふやなんですけど。なんか割と見てるけど、すぐ出てこないですね。ファンタジー作品って割と見てるんですけど。

迫田

なるほど。今、wikipediaでカンニングをしてるんですけど、マーティン・スコセッシ監督の初の3D映画なんですね。

下田

はい、あ、3Dだったかなあ。実写で結構たくさんCG使われてたやつなのかな?

迫田

もしかすると、劇場で見るときには3Dメガネとかで見ることができたのかもしれない。

原田

うん、確かそんな触れ込みだったような。

下田

ああ。えーそうなんだ。

原田

だからそれを意識した奥行きの絵づくりが結構あったような。

下田

確かに、初耳です。当時、リアルタイムで見てたってよりかはDVDで見ていて、高校の頃で18、9歳とかそこら辺です。

迫田

そっかそっか、まあでもアニメはジブリは中心だが、海外の作品でも実写アニメ問わずファンタジー系とかアドベンチャーファンタジーとかそんな感じのジャンル感はすごい好きで、いっぱい見られてたっていうことですね。

下田

はい、そうですね、はい。

迫田

なるほど。摂取されたものが下田さんのフィルターを通じて、フィルムに投影された時に、やっぱちょっとどこか不思議で今の世界の延長線上にありそうだけど、ちょっと違う世界の話だったりひと夏の冒険のようにちょっとした遊び心があるっていうところに心に子供を抱える大人はワクワクするんだろうなっていうのがあって。

下田

確かに。

迫田

お2人の出会いが、山本さんが観測していた下田さんのクリエイティブを見て声かけられたところから、意気投合してっていうところであったということがわかってきたんですが、一旦ここでエピソードワンの前半を終了させていただきたいので、後半に向かうために一曲紹介をしていただければと思うんですけども。

山本

わかりました。映画『サマーウォーズ』より「The Summer Wars」お願いします。


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