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【しおひがりの旅 #01】常にエピソードトークを狙う姿勢


チープアーティストとは?

迫田
よろしくお願いします。えっと、じゃあ、さっそくしおひがりさんの簡単なプロフィールを読みながら話に入っていければと思います。

1989年生まれ、東京都在住。淡いタッチで描かれたユーモラスでロマンティックなセリフを言う女の子のイラストが特徴。「チープアーティスト」を自称。というところなんですけど、今回の収録では過去にさかのぼって、そのクリエイターの方がどういう過去を通じて今に至っているのかを聞いていくところなのですが、ここで過去にジャンプしたいところではあるんですけども、一旦この「チープアーティスト」を解明してから行ければと思ってまして。

しおひがり
あははは、はいはいはい(笑)。

迫田
この名前自体がもうしおひがりさんの表現を表してるわかりやすい言葉かなと、僕はやっぱクリエイティブを見てて思うんですけど、どうですか?

しおひがり
そうですね。だからえっと僕がその活動を多分始めたのがほぼツイッターと同時みたいな感じだと思うんですけど、2011年とか2012年とかなのかな?で、その時からツイッターを始めて、最初はそんなにイラストとかも描いてなかったんですよね。子供の頃からイラストを描いてましたみたいなタイプではないんですよね。で、えっとツイッターでなんかオモシロ投稿みたいなのなんかやるようになって、でそこでイラストを描き始めたら、ちょっと伸びるようになったりとかして。で、だからなんか「イラストレーター」とか「漫画家」って自称するのがちょっと恥ずかしいって言うのがあったんですよね。そういうアイデンティティとして、自分がガッツリイラストとか漫画を描いてる人ではなくて、そういう人たちに対してなんか失礼みたいな、ちょっと気持ちもあり。

でだったらこの安っぽいこの世界観の絵は、チープだしっていうことで、「チープアーティスト」っていう、ちょっとオリジナル肩書でやらせてもらってましたね。最近はちょっと恥ずかしいから、あんまり言ってないんですけど、「チープアーティスト」。もう普通に「イラストレーター・漫画家」って自称してますけど、最近は。分かりやすいし。

迫田
一周回って「チープアーティスト」の方が恥ずかしくなってきたんですね。

しおひがり
もう今さらね、なんかオリジナル肩書の人ってあんまりいないじゃないですか。ハイパーメディアクリエイターみたいなね。

迫田
あ、確かにハイパーメディアクリエイター時代ありましたよね。

しおひがり
そうなんですよね。だからあの時代なんですよ、多分。

迫田
ああ、なるほど2010年代の中盤とかですかね。

しおひがり
もうちょっと前なんじゃないかな。2010年とかなんじゃないですかね、多分。でそこでやっぱオリジナル肩書が面白いじゃんって、当時思ってたんですよね。

迫田
メディアに触れてるとね、オリジナル肩書き新しく開発しようっていうマインド生まれてきますよね。

しおひがり
言ったもん勝ちですからね(笑)。でそうですね、そういう流れもあって、やっぱそういう恥ずかしさもあり、今もなんかこう、僕がイラストレーターや漫画家を自称していいんかいなっていう気持ちはまだね全然あるんですけど。でも仕事をね、させていただいてる以上、「チープアーティスト」ってなんか謎の肩書の人に仕事頼みにくいかもってのもあるんで、だからちゃんとメールでは、「イラストレーター・漫画家のしおひがりです」って最近は言ってますね。

迫田
ああ、なるほど。肩書については、日本だけじゃないかもしれないですけど、肩書に「家」がつくように、なんかその人は元々持って産まれた何かしらの特性みたいな、そういうニュアンスが日本って強いかもしれないですね、まぁ、海外も名前についてますけど、どこで生まれた誰誰さんっていう宿命みたいなものが元からあって、なんかそういうもので自分の人生を決めていたっていうのがたぶんあるのかもしれないから。なんか結構その「漫画家」って名乗ることへの一定のこのリスペクトとなんかこう大仰さというか、そういったものありますよね。

しおひがり
そうですね、ありますね。確かにね。

迫田
なるほどな、「チープアーティスト」の謎が解明されました。

しおひがり
まあ、そうですね。今も別に愛着がないわけではないんでね。こう聞かれた時は、そのように風に答えるようにしてますね。

USTREAMを楽しむ大学生時代で生まれた表現欲

迫田
2011年にあたりからTwitterで発信され始め、そのタイミングで最初は、絵などは投稿されずに主に文字だけでっていうことだったと思うんですが、その時期っていうのは、しおひがりさんの中でどういった時期だったんですか?

しおひがり
そうですね、2010年、僕が大学生だったんですよね、当時。僕は2011年卒だったので、えっとだから3年生、4年生ぐらいっていう時期だったんですけど。で、僕はその時はもう特に何もしてない、普通の大学生で、ただ一方で、なんかその時代っていうのはなんか面白いことやってる人と友達になりたいなっていう、そういうなんか欲求がすごくあったんですよね。えっとTwitterでバンドマンとか。当時USTREAMっていう配信サービスがあって、今もうなくなっちゃったんですけど。

迫田
いや、分かりますよ、僕もUSTREAMずっと見てたんで。

しおひがり
あ、本当ですか?

迫田
はい、ビューワーとして見てました。

しおひがり
うん、でそういうところで配信してる人は、USTREAM配信者っていう人たちがいて、その人たちはなんかゲームを、今でいうゲーム実況みたいなことやったりとか、歌を歌ったりとか、ギター弾いてとか、なんかいろんなことをやってる人たちがいてで、そういう人たちと友達になったりとかして、Twitterとか、そういう配信を通じてですね。

で、そういう中で僕もこういう人たちみたいに何かこう表現していきたいなっていうなというようなものが出てきたんですよね。で、その中で友達の配信に出るとか僕も配信をしたりとかっていうのをやってて、同時にツイッターでそういうネタツイみたいなものですかね、そういうツイートするようになったりとかっていうのをしてましたね。

迫田
なんか、ちょうどその時期って、さっきちょっと話しましたが、震災があるタイミングで僕もすごくよく覚えてるんですけど、2011年の3月11日ですよね。その時、僕、東京にいて、やっぱその当時、Twitterをそんなにやってる人って多くなかったんですが、そのタイミングで、一気にその地震の情報みたいなものをホリエモンさんとかがツイートする、で、それをキャッチするためにTwitterのユーザーが爆増えしたような印象がありまして。

しおひがり
あー、確かに。そうか、あれで増えたってのもありますよね。そうですね。

迫田
はい、それを観測してすごく思ったんです。なので、やっぱその前と後で多分しおひがりさんも体感されていたと思うんですけど、Twitterってちょっと内輪だけの盛り上がりってあったじゃないですか?そのタイミングで、なんかこう本当にこの内輪だけで盛り上がっているワイワイ感みたいなものから、一気にお茶の間に行って、影響力も強くなってきたっていうタイミングだったなあっていうのをすごい覚えていて。なんかやっぱその頃って、でも本当面白いことをやってる人多かった。今も多いですけど、でも、ものすごいTwitter、ユーストで面白いことやってる人多かったですよね。

しおひがり
そうですね、本当にそうで、なんか僕も本当に正に内向きの、学校のそのクラスのみんなを笑わせるみたいなノリで書いたそういうイラストとか漫画とかそういうものをTwitterに上げ出して、自由帳に書いてみたいなノリですよね。で、そういうものを上げだしたら、自分の思った以上に拡散されるっていうことがあって。うまく時代に乗ったっていうのがあると思いますね。SNSで、特に、Twitterですよね。Twitterの急拡大、普及の波に乗れたっていうことが、そういうきっかけにはなったかなと思いますね。

迫田
面白いことやってる人と繋がりたいっていうところを掘っていきたいんですけど、その当時、しおひがりさんが面白いと思われていた事象だったり、人ってどういう人達だったんですか?

しおひがり
えっとそうですね、やっぱり、えっと自分で何かを作っている人たちですよね。漫画もそうだしで、当時ニコニコ動画がすごく流行っていて。うん、だから本当ゲーム実況がかなり盛り上がってる時代だったので、そういうものをやってる人だったりとか、あとはもう本当、音楽作ってる人とかね、動画作ってる人とかね。

そういうやっぱクリエイター、僕は普通の4年生大学なんですよね、文系の。なんで、ええっと軽音楽部にいたんですよ、当時は。だからそういうバンドマンみたいな人とはちょこちょこ知り合いはいたんですけど、どちらかと言えば、やっぱりあんまりそういう絵を描いてるみたいな人とかっていう知り合うことはないんですよね。基本的には、だからそういうところをそういうことをやってる人たちっていうのは、やっぱりなんか憧れがあって面白いなっていう風に感じてましたね。

迫田
うん。 そんな中で多分、僕もやっぱニコニコ動画のムーブメントで弾いてみたとか、ユーストも結構そのライブをされてた方が多かったですしね。僕よく見てたユーストの配信はお絵かき配信だったんですよね。

しおひがり
ああ、お絵かき配信ね、そうですね、僕も見てましたね。

迫田
なんかそういったクリエイティブをする人たちに、僕もこう憧れがある中で、なんていうのかな、ある程度、ボリューム感があったり成果物が明確に定義されているようなクリエイティブってアニメやマンガなどが在ると思うんですが、その隙間で、もうちょっとふわっとしてるんだけどなんかクリエイティブに成り得るよな、みたいなものってすごくあるなとおもっていて、定義がされてないだけだよなあっていうのが思っていて。例えばゲーム実況もニコニコ動画を見てて思うのが、ゲーム実況もそのゲームをする人と、つまり実況者とゲームの関係性があって、そこで新たなクリエイティブになってるじゃないですか、見せ方とかで。ニコニコ動画もそのコメントの弾幕が貼られることでクリエイティブになる。なんか総合芸術じゃないですけどそんな感じで。

しおひがり
あー、確かにね。面白い文化ですよね。

迫田
はい、本当に映画館で観る映画を作ることもすごく大事、すごいことだと思うし、それがすごい一つの成果物だと思ってはいるんですけど、なんか僕はやっぱネットに触れた時に感じたのは、同時に一緒に作り上げていく、それで刹那的なものを捉えていくっていうことが、なんかすごくネットならではの面白いなと思ったんです。で、その匂いが今もなおしおひがりさんのクリエイティブに感じるんですよね。

しおひがり
ああ、そうかもしれないですね。なんかだから本当正しくチープアーティストじゃないですけど、なんかもう雑でもいいんだっていうか、なんか、そういうDNAはあるかもしれないですね。

迫田
また後半に細かく聞いていければという話なんですけど、あの空気を捉えながら一言、それを言い表す、みたいなこととかがなんかすごくネット的な振る舞いだなっていうのを思ってます。

えっと、というなかで、一旦ここで後半に行くために曲を一度挟めればと思うんですけれども、しおひがりさんのおすすめで聞いていただきたい曲などありますでしょうか。

しおひがり
はい、ええ、JUDY AND MARYの「LOVER SOUL」です。


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