【しおひがりの旅 #02】 最終的にはたとえ話のみで話をしたい
Twitter発のクリエイターが盛り上がって来ていた流れに乗れた
迫田
一般のクリエイティブではないルートで生活をしてきて、学業を積まれてきたしおひがりさんが、今クリエイティブの道でお仕事をされているわけなんですが、こういった経路をこう求める方というか、漠然と何かしらそういったクリエイティブな事したいな、だけどどうすればいいんだろう、と思っている方にとっては、しおひがりさんの体験談が非常に聞きたい話なのではっていうところがあるので、引き続きこのあたり掘っていければと思っております。
大学卒業されて、素材メーカーの方でお仕事されながら、同時にイラストも作られていたという話なんですが、これって投稿の頻度とかはどんな感じだったんですか?
しおひがり
あ、でも当時は、結構毎日に近かったかもしれないですね。
迫田
やっぱ毎日投稿するって大事だったと思いますか?後から考えると。
しおひがり
そうですね。今思えばそうですね、大事ではあったと思いますね。やっぱり毎日見るとかっていうのでね。それで知ってもらったっていうのはあると思うんで。やっぱり確率を上げるっていうのがとにかく大事だと思うんで、そういった意味では、毎日投稿するっていうのは、有効な手段ではあると思いますね。
迫田
ただ、その時はやっぱり仕事しながらなんで、やっぱり毎日できるぐらいに自分的にも楽で、投稿したいという内容をやったりしてたということですよね?
しおひがり
そうですね。時間はそれなりに作りやすかった、それなりにあったっていうことと、やっぱりパッションがありましたよね、当時はね。とにかくそれで何かこう、反応もらえるっていうのもただただすごく嬉しかったので、だから別にその毎日やるみたいなことも、特にその苦行ではなかったというか。それ、毎日描いて投稿して反応もらうっていうのが楽しくてやってたって感じですかね。
迫田
やっぱりあの先ほど言われてた素材メーカーでの仕事自体は、あんまりこう自分に合わなかったとか、つまらなかったっていうことがあったと思うんですけど、その仕事を何年か続けてみて「絶対にクリエイティブの道に一本で行こう」と思ってたのか、とりあえず仕事を続けていく中で意外ともう素材の方でやっていくのもいいかな?みたいな思った瞬間とかってあったりしました?ちなみに。
しおひがり
あー、そうですね。どっちかっていうと、いつかはやっぱりクリエイターとして一本でやって行けたらっていうのはずっと思ってましたね。ただ、一方で現実を見たら、そこまでやっぱりその昔から描いてるわけではないから、そういうイラストの強度みたいなものはないし、そうですね、だからまだそういう仕事についても、どういうことができるかみたいなことも漠然としてたし、そこのトレードオフがすごく悩んでましたね。
迫田
そのクリエイティブがどういう作業をして、どういうものを作れば、どういうお金になるのかっていうところがなかなか想像しづらいっていうのがありますよね。
しおひがり
本当にそうですね。
迫田
これが結構クリエイティブでのお仕事を目指す上で難しいポイントだと思うんですよね。サラリーマンやってると、まぁ、会社に就職して、指定された時間に言われた通りにやっていれば、毎月にこれぐらい給料をもらえる、みたいなものがなんか計算式が立つんですけど。クリエイティブの場合、そうじゃないっていうのがやっぱこう目指す時の難しさはあると思います。
しおひがり
そうですね。やっぱりそこはラッキーだったなって言うのがあって、Twitter発のクリエイターっていうのが盛り上がってる時期だったんですよね。今で言えば、ちいかわみたいな。あれは巨大なすごいコンテンツになってるけどああいう感じで、SNSからキャラクターだったりとイラスト・マンガを発信する人って言うのはいっぱい出てきて、でそこにいろんな広告代理店だとか、そういう人たちがこう見つけてくれて、声をかけてくれる。すごくそういう時代だったんですよね。
あとはLINEが普及して、LINEスタンプっていうものが販売できるようになったんですね。LINEクリエイターズスタンプっていうものができて、今までその企業や会社しか作れなかったのが、個人のクリエイターでも審査を通して、自分の描いた絵だとか、写真だとかっていうものでええ、LINEスタンプを作れるよっていうものができてきた。で、なんかそういうので一気にクリエイターとして食べて行く手段っていうのが増えたのかなとは思いますね。
迫田
スマホが出てきたときに、結構日本の産業が分水嶺迎えたタイミングかなと思いまして、やっぱこう自由競争をスマホで加速させることができたのに、日本のプラットフォームは自由競争側に乗って行かなかったというのは結構あるなと。つまりそのLINEのスタンプなんかもそうですし、当時そのドコモのiモード(アイモード)が様々なゲームや様々なこのサービスを出している一大プラットフォームだったんだが、ユーザーが自由に入って投稿するっていうところはやっぱ許してなくて。
しおひがり
そうですね、確かに。
迫田
やっぱそこで、あのUGCって言われたりしますけど、ユーザーが生成したコンテンツがやっぱりこうリーダーになっていく時代に対して対応できなかったっていうのがあるなあ、と思ってるんですけど。そこに対してやっぱり時代が変わりゆく中で、同時にそのしおひがりさんは2010年ぐらいから投稿し始めていたものが、どんどんこう影響力を増していって、それが数にも表れていたので、フォロワー等も含めて数に表れていたからこそ、新しい時代のそういうネットのデジタルエージェンシーみたいな人たちが、一緒にお仕事しましょうよって声かけてくれたっていうところに繋がったんですね。
しおひがり
そうですね。まさにそういうことですね。
パチンコ台を変えていく
迫田
あの数字の部分って、最初からいきなりは作れないじゃないですか。しおひがりさん的にも結構積み上げて作ってきたって感覚がありますか?それともなんかいつの間にか一気に増えてた感覚なんですか?
しおひがり
やっぱり数をばら撒くっていうのはかなり意識してますね。それは今もですけど、とにかく基本的には、成功って運だとは思うんですよね。とにかくでかい運。運っていうのは大事で、その別になんかその運を上げようとかそういう話じゃなくて、要は偶然ですね。偶然、誰かの目に留まるとか、そういったことが大きいわけですよ。成功って。だから必ずしも良いものが見つけてもらえるとは限らない、そこはもう本当運ゲーなので。
僕はよくパチンコ台を変えるっていうような言い方をしてますけど、パチンコやんないんで詳しくはないんですけど、とにかく同じ台で打ち続けても当たらないわけですよね。たぶん当たる台っていうのは、たぶん決まってる。なのでとにかくその同じ台にしがみついて、回し続けながら「当たんないなぁ」って言い続けてももしょうがないんで、パチンコ台を変えて回してみる、っていうのが大事なのかな、とは思ってますね。
迫田
なるほど。その合理的思考が、SNSから出てきているクリエイターさんの共通項である気がします。
しおひがり
ああ、それは思いますね。やっぱみんな結構クレバーに自分の売り方だとか、したたかさみたいなものがあることをすごく感じますね。
迫田
多分、彼らが既存のクリエーター像と違うところが一つあるとするならば、ユーザーに対して「直接的に届けてる」っていう実感がすごいあるからだと思うんですよね。
しおひがり
ああ、そうかもしれないですね。だからこそ、手の鳴る方に行きやすいっていうのはあるかもしれないですね。
迫田
なんかそうやって、出すものに対して見てくれたひとがどう反応してくれるのかも、もう本当に直線的に、瞬発的に見ることができるから、それを見ながら変更していくとか、様子を伺っていくってことができる。ですので、テレビ用に何かを作るとか、劇場で何かを作るっていうのは、やっぱりその一発の中での観客とのコミュニケーションなので、直接ユーザーがどのような体験をしているのかっていうのを、肌感で観測しづらいみたいなところがなんかあって、やっぱここがSNS時代のクリエイティブとの断絶ポイントというか、振る舞いの違いの最たるところだなぁって、なんか思うんですよね。
なんかそんな話をして行きつつなんですが、一旦曲に入って、また後半お話深めていければと思いますけれども。しおひがりさんから聞いてもらいたい曲あればおすすめお願いいたします。
しおひがり
はい、ONIGAWARAで「ロマンティック時限爆弾」をお願いします。
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