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2024年を振り返る~社会への「ウソの飽和攻撃」時代の幕開け
2024年もまもなく終わります。皆様の1年はどういう年でしたか?
私自身は転職、父の他界、実家じまいなど、公私ともに変化の年でした。
世の中も能登半島地震に始まり、史上最高に暑い夏、日米や各国のリーダーの交代、マイナス金利解除・円安・株高・新紙幣発行、ウクライナ・イスラエル・シリアでの戦争、パリ五輪や大谷フィーバーなど、色々なことがありました。2024年のニュースを振り返ったときに何が一番気になったのか、人それぞれにあると思います。
色々ある中で私がひとつだけ選ぶとすると、2024年は日本でも「ウソの飽和攻撃」が政治を左右するレベルまで大きなインパクトを持つようになってきたということです。
"ウソ" が世論を動かす
2024年には日本でもいくつか重要な選挙がありましたが、斎藤元彦兵庫県知事の失職・再当選劇はいままでの日本における選挙とは一線を画す異色なものでした。
11月17日に選挙が終わって1ヶ月以上経っている現在でも、斎藤知事近辺の "スキャンダル" について公開されている情報をどう組み合わせても合理的な説明ができない、という前代未聞な状況となっています。
斎藤知事も当初から一貫して主張を曲げていないし、百条委員会が進めば状況が収拾するのかどうかも不透明に見えます。このような状況の中で、「真実」が明らかになる前に斎藤知事が一度失職し、選挙戦が行われました。
マスコミ、SNS、第三者 (立花氏など) がそれぞれの持論「オルタナティブ・ファクト」を展開し、最終的にはSNS上で斎藤知事擁護派が優勢になり、斎藤知事再戦という結果になりました。真実がわからない状態で「オルタナティブ・ファクト」が世論を動かした結果となりました。
しかし、いままでの報道によると、擁護派、反対派ともに「話を盛っていた」ことが判明しています。反対派は「パワハラを見聞きしたという回答が4割を超えたという県職員アンケートはひとり何回も回答できる」ことが明らかになり、擁護派は「立花氏が拡散した元県民局長の“ウワサ話”は物的証拠がなく尾ひれ背びれをつけた」ことが明らかになりました。
私は兵庫県民でもなければ近辺に関係者もいない完全な部外者ですが、部外者目線で見ると未だに「完全にわけがわからない」状態です。この状況にはかなり驚いています。
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オルタナティブ・ファクトは昔からあったが…
「オルタナティブ・ファクト」という言葉はドナルド・トランプ氏の一期目のアメリカ大統領就任式の空撮写真に関連して2017年初頭に生まれた言葉で、明らかに虚偽であるものを「オルタナティブ・ファクト」として正当化したことを指します。
アメリカにおいては、この頃から事実に基づかない "曲げられた" 情報がSNSなどを通じて発信され、多くの国民がそれを信じる状況になっていましたが、日本でも2024年になって同じようなことが政治で見られるようになってきたことは個人的には特筆すべきことと考えています。
オルタナティブ・ファクトのような「真実」に基づかない情報による政治決断自体は、恣意的かどうかにかかわらず、この言葉が生まれる遥か昔から存在していました。科学が発達する前の政治では神託、祈祷、占いにより重要な決定が行われていた時代もありましたし、戦争では意図的にデマを流すことにより戦局を大きく変えることも行われていました。
民衆指導者を偽り、煽り立てて民衆を動かす扇動政治家による衆愚政治も紀元前から存在していました。第二次世界大戦前には日本でも扇動が行われ戦争に突入し、戦後はそれを二度と起こすまいという精神が日本人に根づきました。
しかし、特筆すべきは、情報の民主化が行われ、国民ひとりひとりが欲すれば様々な情報を入手できるようになった現代でも、オルタナティブ・ファクトが通用してしまうことが分かったことです。今回の兵庫県知事選挙は日本における一種の社会実験であったと言えるでしょう。情報が民主化され、国民ひとりひとりが義務教育を受けて賢くなった日本の現代においても扇動政治家による衆愚政治が行われる可能性があることを意味しています。
「ウソの飽和攻撃」に対する社会の脆弱性、これを防ぐには…
今回の件の特徴は、コトが単純ではなくいくつもの、何重もの事件が複雑に絡み合い、コトの真偽や善悪が分かりにくくなっていることです。登場人物とその関係についてドラマの相関図のような簡単な図表で整理することが未だに出来ない状況です。
このような情報洪水の状況下では、人は正しい判断がかえってできなくなってしまいます。そして、それを見越して人にたくさんのウソの情報を与えることで、人を騙すことが出来てしまう…これを「ウソの飽和攻撃」というそうです。現代の情報過多社会の脆弱性です。
これを防ぐには、ひとりひとりが「ウソの飽和攻撃」がかけられていることを見越して個人の良識をもとに正しい判断をしていく必要があります。しかし、個人に依存する解決策は穴だらけであり、社会的な "仕組み" での解決が必要です。
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IT、マーケティング、コミュニケーションに携わるものとして、「ウソの飽和攻撃」という社会問題への対策には何かしらの貢献をしていかないといけないなと思う年末でした。どのように出来るかはまだわかりませんが。
ということで、2024年も皆様には大変お世話になりました。良い正月をお迎えください。そして2025年が良い年になりますように!