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自動運転車Waymo搭乗体験記
アメリカや中国では、すでにレベル4※の自動運転車が公道を走っています。自動車の自動運転は言うまでもなく、少子高齢化、過疎化、団塊世代の退職によるドライバー不足、といった社会課題の軽減・解決につながり社会に大きなインパクトを与えます。2025年1月末にサンフランシスコに行く機会があったので、何回か実際に乗車してその様子を観察、現在の実践的な技術レベルについて考察しました。
※レベル4自動運転: 特定条件下における完全自動運転 (特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施)
2025年1月現在利用可能な地域
アメリカではGoogleのグループ会社であるWaymoがサンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックス、オースティンの市街地で一般向けに自動運転タクシー (robotaxi)の提供を開始しており、今後順次提供エリアが拡大する予定となっています。今年は日本の東京にもやってくる予定です!
サンフランシスコエリアでは、ジャガーのSUVが採用されています。対応エリアは以下の地図のように市街地エリアです。フリーウェイにも乗れるようです (試験走行のみ!?)。橋を渡ったり空港との行き来には利用できません。市街地では24時間365日、300台のWaymo車両が走っており、アプリで呼ぶと数分から10分少しで指定した場所に来てくれます。
費用は、現地のタクシーより安く、Uberとは同じくらい、または少し安くなる場合もあるといった費用感です。
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アプリの設定は、サービスエリア内であればGoogleアカウントとクレジットカードを入力することで簡単に完了します。(サービスエリア外だとセットアップできません)
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場所を検索するか地図上で指定して行き先を決める。Uberと同じ指定方法。
アプリのセットアップが完了すると、サービスエリアの地図と検索ボックスや場所の候補が表示され、行き先を地図か検索ボックスから選ぶことで、その場所に行ける車両が呼び出されます。この時、必ずしも一番近くにいる車両が来るわけではないようで、呼び出したときに近くに見えている車両は来てくれません。
地図上で指定した地点がWaymoが走行可能な道路から少し離れているときは、自動的に場所が変更されます。大抵の場合は一番近い点に修正されますが、大通りの止まりやすい場所に修正されたり、道が細くゴミゴミしていて危険なエリアはWaymoが入れない地域に指定されているようで (例: チャイナタウン)、その場合は結構離れた場所候補に修正されます。
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(右) 場所によってはWaymoが入らないエリアが設定されており (緑色で囲われたエリア)、その外側でいくつか到着場所の候補とその場合の集合時間が表示される。乗車場所についても同様。
また、呼び出した車両が現地に到着すると2分待ってくれますが、現れない場合は行ってしまいます。その際、約$5 USDのキャンセルフィーを取られるので、車両を呼び出すタイミングは注意しましょう。
サンフランシスコの夜の街で呼び出してみると、数分後にジャガーの車両が颯爽と現れました!
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走行中の様子
乗車中の自動運転の様子を動画で撮ってみました。
ちゃんと無人でハンドル回ってるね! (Waymo @ サンフランシスコ) pic.twitter.com/vdbonIWf9a
— 米田 真一 (Shinichi Komeda) (@skomeda) January 31, 2025
車載ディスプレイの様子も撮っています。
車載ディスプレイにはWaymoが周りでどういう障害物を検知しているかが表示される pic.twitter.com/JwHB1884u9
— 米田 真一 (Shinichi Komeda) (@skomeda) January 31, 2025
運転席には座ることはできず、助手席と後部座席で合計4人まで乗車することができます。
4分間にわたり連続でWaymoの自動運転の様子を撮ってみました。凄い! (@ サンフランシスコ、動画は2倍速) pic.twitter.com/nKRACXOnwz
— 米田 真一 (Shinichi Komeda) (@skomeda) January 31, 2025
運転の得意・不得意
約5km、10分くらいの道順で何回かサンフランシスコ市街地で乗車してみて、運転のクセについていくつか気付いた点をメモしました。
サンフランシスコは坂道が多く、急な上り坂で信号待ちをすることもありますが、卒なくこなしていました。
サンフランシスコは大通りでも一方通行のところが多く、そのせいか道順もだいぶ大回りに設定されている気がしました。小道を攻めるということはせずに、あくまでも大通りを中心に走行するスタイルです。
路面電車とも問題なく共存しています。
乗車場所、停車場所は道幅がある程度ある道路である必要があるようです。そのため、乗車場所、停車場所はあまりフレキシブルには設定できず、1ブロックくらい歩くこともあります。地元の人は「バスの停留所まで歩く」感覚だねと言っていました。
車線変更をする場合に、変更先の車両が同じ速度で走っていてなかなかどかない場合は、車線変更できずに通り過ぎるケースも有りました。自分が減速して相手を待って後ろに入るという運転は苦手?なのかもしれません。
これらはあくまでも2025年1月末時点での状況です。今後、AIやアプリのさらなる学習により、順次改善されていく可能性があります。
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2025年、日本・東京への上陸!
さて、これらの経験を踏まえて日本の道路でどのように展開していけるかについて考察してみました。
2024年12月17日に、GO、Waymo、日本交通がプレスリリースを出し、2025年より東京における自動運転技術のテストを行うことを発表しています。今年中に東京都内でWaymoによる自動運転が見られるようになると思うと、ちょっと興奮しますね!
ただし、Waymoが東京の道路を走るようになるには、いくつか追加で解決しなければならない課題がある可能性もあります。
離合困難な道路の走行: 相互通行だけど離合(すれ違い)困難な道路が東京の山の手地域や特に西部地域には結構あります。離合可能な場所を目視で見つけて、向かってくる車両の人間のドライバーとも息を合わせながらうまくすれ違ったり、時にはバックをして道を譲るといった運転は、なかなか高度です。これを避けるためにこのような道は進入不可にする手もありますが、利便性とのトレードオフになります。将来的に郊外でサービス提供する場合にも、この問題は大きく課題として残る可能性があります。
人混み近辺の走行: アメリカの都市と比べて、東京の都心部は時間帯によっては人混みが凄いところがあります。(渋谷スクランブル交差点、原宿竹下通り、銀座四丁目交差点など) 人間が路地をランダムに歩いていることが多く、これを避けながら走行する、という技術は、サンフランシスコ市街を走行中にはお目にかかれませんでした。アメリカでも鳥の群れに囲まれてWaymoが固まってしまうということが起こっていたようですが、歩行者や自転車とのアイコンタクトも取りながら? (同乗者が?) 走行する必要があるかもしれません。
道路標識と交通ルールが複雑: 日本の道路標識は、特に東京都心部ではたとえば駐停車禁止規制に時間帯や特定条件の付加など、補助標識に文字で書かれた細かいルールが設定されています。しかも標識の数が多くて人間でもどちらの車線に設定されているのかが分かりにくい場合もあります。これらのルールを完全に遵守させるには、場所に応じたかなり特殊な学習が必要になると思われます。
このように色々な課題はありそうですが、Waymoも日本のタクシー会社やアプリの会社とタッグを組んで課題を潰していくということだと思いますので、東京でのサービス開始を楽しみに待ちたいと思います。サービスエリアがどのように設定されるのかが楽しみです。
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参考: 東京都の自動運転推進区域
2027年度末までにレベル4の社会実装が見込まれる東京都の自動運転推進区域は、ベイエリア (江東区・港区・品川区の一部) と西新宿エリア (新宿区の一部)です。推進区域参画事業者には2025年1月現在、Waymo関係の事業者 (Waymo、GO、日本交通) は名を連ねていません。Waymoが東京に進出するとすると、同じエリアが期待されるでしょうか!?
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最後までお読みいただきありがとうございました!