35歳、ひとり、おじさんの天国のような食堂で呑む
・血で血を洗う休日出勤
業務に追われる金曜日。
今日はどこに飲みに行こうかと考えていた。
あそこでもない、ここでもないと考えている間に定時を迎える。
すると一本の電話が入った。
女性社員が電話に出るも、先方がえらく急ぎの用事があるそうだ。
代わりに電話に出ると確かに超絶急ぎ案件。
それなりの売り上げも見込める。
「では週明けにでもすぐ資料を提出します」と伝えるも「明日何とかなりませんか?」とのこと。
通常であれば「ならねーよ!」と申し上げるところであるが、我が部署の今月の予算を達成するためには超重要。
月末を迎えるにあたり、血の涙を流しながら休日出勤するハメになった。
その休日出勤届を作成しながら冒頭を書いたのは言うまでもない。
・Yeah! めっちゃホリディワーク
翌日土曜日。
本来であれば休日であるはずなのに平日と同じ時間に起床。
ため息を吐きながら出社。
がらんとした人のいないオフィスでひとり、カタカタと資料を作る。
ビールでも飲みながら仕事してやるか、と思うも監視カメラが目を光らせているのを忘れてはならない。
なんとか理性を保って仕事をこなす。監視によって与えられたものってほんとに理性?
なんだかんだと15時ごろに先方にメール連絡を終え終了。
Yeah!めっちゃホリディの開幕である。
そんな流れで昼飲みへGO。
・おじさんの天国
休日出勤後の昼下がり。
チェーン店でちょっと一杯、もいいがこんな日は食堂に限る。
ざわざわとした喧噪に追われるのではなく、ゆるりとした時間を忘れられるような空間、そんな空間がここにはあるのだ。
その名もみやこ食堂。
相変わらず良い面構え。
店内には作業着姿の男性、妙齢の3人グループが先客として鎮座している。
もちろん皆、テーブルには大瓶や氷の入ったグラスが。
食堂という名の立派な酒場である。
とりあえず入店。テレビ前の特等席に陣取ることができた。
ショーケース代わりの冷蔵庫から焼酎ハイボール缶とマカロニサラダをチョイス。
缶を手にすると素早く氷の入ったジョッキを持ってきてくれる。
その準備たるや早すぎて目に見えないほどスムーズである。
ラップをはがしウスターソースと七味で化粧。
まずはなにもかかっていない部分を一口。
あぁ、しみじみと美味しい。
少し薄めの味付けであるがこれがいい。
そこにウスターソースと七味が刺さる。
思わずこれだよなぁ、と漏れてしまいそうだ。
背後では3人グループが今日のパチンコの結果を報告しあっている。
あの台はダメ、最近は全然でないとかどの業界も値上げの影響を受けているのか。電気料金も上がってるし。
そんななか嬉しいのがこの棚。
煮物や揚げ物、すべて¥200、驚きの税込料金である。
ここから選んでレンジで温めてもらうのだ。(温めは店員さんがやってくれる)
筑前煮、てんぷら、鯖醤油煮などの中から唐揚げをチョイス。
ついかでトリスハイボール濃いめを追加した。
祭りの屋台系からあげ。
この値段ながらもも肉が使用されている。
衣をしっかり纏った屋台系からあげだ。
もったりジューシーでどこか懐かしい濃いめの味付けである。
となりに備え付けられた味なしスパも良い味を出してる。味無いのに??
壁面のメニューはどれも激安でしっかりとボリュームがある。
価格がバグっているとしか思えない。
こんな食堂をつづかてくれているオーナーには頭が上がらないわマジで。
・こうでいい。これがいい。
今日はこれでごちそうさま。
¥1000ポッキリ。マジかよ。
(酒類¥300、アテ¥200税込)
今はどこでも美味しく安いものが食べて飲める。
その背景にはもちろん資本がある。
しかし令和の世にも一本独鈷、気概のある店もあるのだ。
こういった食堂や町中華を捕まえて「こういうのがうまいんだよ」って人が多い。
それって見下してる様で嫌なんだって思うし、何目線?
こういうお店が残ってくれてるのが嬉しいし、値段も味もその通りなのである。
チェーン店も勿論良い。
でもこんなお店も大事にしていきたいよね。
雑な閉め方なのは前日飲み過ぎたからですごめんなさい。