35歳、ひとり、日本にたった4軒しかない回転寿司店で呑む
・自分で自分を褒めたいです
冬と呼ぶには暖かく、春と呼ぶには寒い日。
今日は土曜日だが、いつも通り朝5時に起床。
特に予定もないので、冷蔵庫から缶ビールを取り出したが踏みとどまってコーヒーを淹れた。
お腹が減ってはいるが作るのが面倒くせぇのとシンクに洗い物が溜まっているのがめっちゃ不愉快である。
昨日の自分サボってんちゃうぞと。
しかし昨日の自分は明日の自分任せた!と言っていた。
これぞ不毛な争いである。誰の頭が不毛だと?試される大地。
ともあれ喧嘩両成敗ということにして心を無にし、空腹感を抹殺した。そんなんできんの??
嫌々シンクの洗い物を片付け、ジャケットとパンツをクリーニング店に持って行き、帰って洗濯物を洗って干した。
めちゃくちゃ偉くて、思わず心の中の有森裕子がスパートをかけ飛び出し見事にゴール、自分で自分を褒めたくなった。
いよいよ本格的に空腹が迫ってきて、ヨガの達人こと片岡鶴太郎の如くお腹と背中がくっ付いたので外出。
え?あの人の本業ってお笑いタレントだったの?
最近、通勤用に自転車ガチ勢の方々が乗っているハンドルがぐるんっ!となっている自転車を友人から格安で譲ってもらったので、それに乗って行こうかと思ったのだがアルコールが飲めなくなるので即座に中止。
こんな時の決断は迅速である。
時間は土曜の昼前となっている。
ならば寿司だ。寿司に決まっている。知らんけど。
コスト面を考慮すると選択肢としてはいつものはま寿司となる。
しかし今日はコスト面は心配ない。
思わぬ臨時収入(先日の飲み会の後、同僚と行ったパチンコでたまたま勝った)があったのだ。
ならば、とダウンジャケットを羽織り颯爽と駅へ向かった。
徒歩で。
・ここが噂のNFP!
大阪メトロの御堂筋、NFPsta.ことNorth Flower Paddy field、そう北花田駅に馳せ参じた。
このDEEPでDOPEな駅の1番出口より徒歩3分でお目当ての店がある。
日本で4軒しか存在しない店。
大都会にしか存在しない店なので地方の方もショックを受ける必要はない。
え?東京にないの?マジ?田舎やん。
その名も無添蔵。
言わずと知れた、かの巨大回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司(株)が別コンセプトで出展する店舗である。
メニューも通常のくら寿司とは異なっており(一部同じ)一品メニューから天ぷら、高価格帯のメニューなどが揃っている。
なんと言っても、キャッチコピーが「くつろぎ三昧」マジか。
ちょっと眠いし横になってやろうか。
いやいっその事、縦になってやろうか。
・色黒歯白の反社的発想
店に入ってすぐ自動受付機がある。
もちろん1名で受付を済ませるとカウンターへ案内される。
この辺は通常のくら寿司のオペレーションと同じ。
カウンターの一番奥の席。宜しい。
タッチパネルの配線のいかつさに目を取られがちではあるが、カウンターが茶色い。
というか店内が茶色い。
そしてサングラスが絶妙にノイズである
あとやっぱり配線はいかつい。
公式では古民家風のコンセプトと謳われているが、天カセがバンバン稼働し、ダウンライトが所狭しと配置されている古民家は見たことがない。
まぁそれは良し。
テーブルにはこんなメニュー
これが新定番。マジか。
肉でも魚でも見境なくウニといくらをのせる奴は色黒歯白の反社だけだと思っていた。
まず一撃カマされた形である。
とりあえず平常心を取り戻して呑んでいこう。
補足しておくと色黒歯白とは、肌が黒くて歯だけが異常に白いやつの通称である。
読みは「イログロハシロ」
・生か死か、生きるか死ぬかのDead or Alive
メニューの隅々まで目を通す。
ファーストチョイスをしくじれば終わりだ。
生か死か、生きるか死ぬかのDead or Alive。
全部意味は同じである。
そしてこれがマイファーストチョイス。
出汁巻き(うなぎ¥350)とハイボール(¥450)。
このノーマルくら寿司には無い一品メニューからスタートしよう。
プレーンの出汁巻きもあるのだが、ガツンと効くことで有名なくらハイボールを受け止めるにはプレーンでは心許ないよね。
結果、この選択が成功。
出汁がじゅわっと溢れてきて美味しい。
そこにうなぎの甘辛いツメとこってり味が後を追ってくる。
それをガツンとハイボールで流し込んだ。
大正解、の3文字を記念にタトゥーで刻もうとは決して思わなかった。
・死に至る油断
初手の成功。
これは今日の呑みが成功したと言っても過言ではない。
この思い込みが仇となり死地に送られることになる。
そんなことも知らないアホが次に選んだのはこれ。
刺身盛合せ(¥980)である。
まず盛り付けが良くない時点で嫌な予感がした。¥980もするのに。
盛り付けに両線がなくペターっと置かれているだけ。¥980もするのに。
内容も絶妙。あ、絶対に微妙の略です。¥980もするのに。
味は悪くないのだけれども視覚効果でガッカリ。¥980もするのに。
料理は盛り付けも大事。勉強になるなぁ。¥980もしたから。
2戦目にして大きな痛手を負ってしまった。¥980かー。
・落ち着いて一本いこう
油断と思い込みに気をつけろ、という勤務2年目の社員が大して何もしないベテラン社員に2000万回は聞かされる言葉通りとなってしまった。
しかしまだあわてるような時間じゃない。落ち着いて一本いこう、と今は亡き陵南高校のエース、仙道を憑依させることに成功した。
まずは落ち着いて一本取る。
そして最適解を探し出した。
そう、芽ねぎ(¥260)
あえてここで魚以外を挟むことで気分も舌もリセットして新しい私デビュー!である。
古のCMを引用するんじゃないよ。
そしてこの選択が正解。
生物が続いていたところにバチっとハマり、素晴らしいリセット効果を発揮した。
ありがとう仙道、成仏してくれな。
・全国チェーンの激辛と特盛は9割嘘
落ち着いて一本取れた後、本格的に流れを取り戻して勝負を決めたい。
本マグロの大トロやボタンエビ、ノドグロの炙りなど、メインディッシュには事欠かない。
悩み抜いた結果、勝負を託したのは…
特盛うに(¥440)
専門店以外の「激辛」と「特盛」は9割方嘘という統計が出ているので期待はしていなかった。
が、予想以上に立派な盛りでまさに特盛であった。
味ももちろん文句なし。
コッテリとしたウニの旨みが舌に残って、それをおかわりしたハイボールで洗う。
最&高。最も高いと書いて最&高。
脳裏には、どん兵衛を手にした美輪明宏が佇んでいた。
・普通 of 普通
さぁ、かなり取り戻した。
この辺りで〆よう。
やはり〆といえば巻物が良い。
ということで頼んだのはこれ。
鯖しそ巻き(¥260)
これが最後にして普通。
普通というと伝わらないが、しめ鯖と紫蘇を海苔で巻いた食べ物そのものである。
一体感がなく、あぁしめ鯖と紫蘇を食べてるなぁ。という感想。
しまった、ウニを食べて帰っておけばよかった。
美しい思い出を胸に店を出ていればどれほど良かったか。
全てにおいて選択ミスであった。
ご馳走様でした。
・反省と学び
店を後にした後、暫し歩いた。
駅とは逆方向、川沿いを行く。
そして今日の感想戦をひとりで黙々とこなす。
敗北から学ぶことは勝利から学ぶことよりはるかに多い。
いつかこの敗北が財産になる。
そんな言葉はもう聞き飽きた。
ん?
あれ?
それでは皆様、最後ははま寿司のイカ天ガーリックマヨ寿司を食べて帰ります。
どんな寿司よりも美味しい。
ごっそさんでした