読書記録 銀行を淘汰する破壊的企業
2025年の金融業界はどうなっているのだろう。あと4年後のことだが、経験したことがない大変革が起きるのだろうか。
本書では、金融取引に革新的なサービスを提供する企業を紹介しているが、どれもこれも利用者にとっては魅力的なものだと感じる。
これらのサービスの利用が拡大することで、その次のテーマに掲げるメガトレンドが現実のものとなる。中でも、銀行手数料が「0(ゼロ)」となることに興味がそそられた。
振込手数料
かつて、「振込に手数料を支払うのはなぜか?自分のお金を動かすだけなのになぜ手数料を払わなければいけないのか?」という疑問をぶつけられたことがある。それに対しては、「支払いのために、①現金を持参する、②現金書留で送るなど、複数の方法があるが、その中でも最も安価で、安全な方法が振込。送り先に確実に届くように作業する手間賃が手数料。」が回答だと認識していた。その後、ネット銀行などITを駆使して手数料を安くできるられる企業も現れている。ユーザーが自らアプリを操作して手振込手続を行うのが主流になれば、手数料は更に引き下げられるだろう。
海外送金手数料
これは、振込手数料とは比べ物にならないくらいに高かった。送金するときの通貨が米ドルなどの海外通貨であれば、円から外貨に換算するときの相場に銀行の儲けが含まれていた。加えて送金手数料を数千円単位で請求していた。また、送金が円建で行われるときには、円から外貨に換算することがないので、その分の儲けが無くなる。そのため、「円為替取扱手数料」という手数料を設けていた(今でもあるかわからないが)。
それが、FacebookのMessengerでは、ほぼコストゼロで送金できるという。これが普及すれば、銀行窓口で高額な手数料を払おうとする人はいなくなるだろう。
その他にも、投資信託や生命保険、損害保険などの販売手数料があるが、わざわざ銀行の窓口に行かなくても、ネットで買うことができる時代になった。投資信託は手数料の安いインデックス・ファンドでもそのパフォーマンスは手数料の高いアクティブ・ファンドのそれに劣らないか、むしろ上回ることが複数の著作においても証明されており、わざわざ高額な手数料を支払うことで得られるメリットはほとんどない。生命保険、損害保険商品もネットで商品を比較したり、AIなどで必要な補償金額・内容を確かめられるようになってきている。
手数料「0(ゼロ)」の時代は予想よりも早く到来するかもしれない。