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瀬織津姫からのプレゼント

■岩園天神社を毎日掃除する謎の女性

岩園天神社は兵庫県芦屋市の高級住宅地のど真ん中に鎮座する小さな神社だ。御祭神は、名前に天が付くことでも分かるように菅原道真。

その他、天照皇大神、秋葉大神、春日大神も祀られている。

その神社の境内を、十年以上毎日欠かさず掃除をされている女性がおられた。それが、ご近所にお住まいの方ではなく、大阪の豊中市に住んでおられる方だと言うのだ。

豊中からわざわざ始発で芦屋まで来て、駅から2kmの道を歩いてやって来られ、毎日六時間かけて境内を掃除をされていたそうだ。

ほぼ毎日!一年のうち364日来ていたそうだ。

と聞くと「さぞ信心深い方で、きっと静謐な雰囲気の方だろうな」と想像するだろうが、実際は全く違う。何度かその掃除の様子を目撃したことがあるのだが、神社とは全くかけ離れている雰囲気なのだ。街を歩いていたなら誰もが振り返るような奇抜な格好と化粧で、例えると、アフリカのどこかの部族の方のような風貌かつ出で立ちなのだ。

その方の名前はH子ちゃん。
H子ちゃんの存在を教えてくれたのがM氏だった。

■M氏と仙人

M氏とは、知り合いに紹介してもらった不思議な人だ。

剣山と玉置神社、そして兵庫県の千ヶ峰を結ぶ、まるで六芒星の一片のよう一辺が160kmのトライアングルがある。その先端が千ヶ峰なのだが、そこにある知られざる白龍神社をずっと探していたのだが、その場所を教えてくれた人がM氏だったのだ。

キリストの謎が隠されているという謎のトライアングル

ある日、そのM氏に突然話しかけてきた老人が居た。こんな言葉をかけながらだ。「君は自分の生まれてきた理由を知っているか?」と、

突然知らないおじいさんに声を掛けられたあげく、唐突に思いがけないことを聞かれたM氏は、もちろん戸惑った。

しかし、生まれてきた理由なんて知らないし分からないので「いや分かりません」と答えた。すると、そのおじいさんは意味不明の言葉を話し出した。

それは聞いたこともない言葉のようであり、どこかで聞いたことのある言葉のようでもあった。

よくよく聞くとなんとなく古代の日本語のようだった。

しかし意味は全く分からない。M氏はそのおじいさんの意味不明の言葉をしばらく聞いていたのだが、意図せず突如涙が溢れ出し、止まらなくなってしまった。

そしてその言葉を聞きながら理解したのだという。「ああ、この言葉はまさに自分が生まれてきた理由なのだ」と。

その後M氏は、その仙人を慕うのも自分の定めとばかり、和歌山にお住まいの仙人のもとにせっせと通ったそうだ。

ある時、その仙人が「なんとなく呼ばれているような気する」といつのもように言い出した。

そしてM氏と共にやってきた場所が岩園天神社だった。その時にH子ちゃんが居て声を掛けたそうだ。H子ちゃんは「私は、何故毎日ここに来て掃除をしているのですか?」と仙人に聞いたそうだ。つまり自分でも理由が分からず、わざわざ豊中からやってきて六時間も掛けて毎日毎日掃除していたのだった。

■岩園天神社でH子ちゃんに出会う

岩園天神社は芦屋の山手にあり背後には雄大な六甲山脈がそびえている。六甲山は淡路島と同様に磐座が多い場所でも知られている。山頂付近にある六甲比命神社は巨大な磐座がご神体の神社であり、廣田神社の境外末社である六甲山(むこやま)神社の拝殿下にも大きな磐座が鎮座している。

さらに西宮側にある越木岩神社にも巨大な磐座があるのだが、何年か前に、マンション開発のために磐座を撤去するしないとかなり問題になっていた。結局はまるで何かの力が働いたように撤去せずに済んだのだが。どれもオススメの素晴らしい雰囲気の神社だ。

その中の六甲比命神社は、謎多き神様として知られる瀬織津姫の墓だと云われている。また西宮の地名の由来ともなった廣田神社の御祭神である天照大神荒魂は瀬織津姫の別名だ。

つまり、六甲山はとても瀬織津姫に縁が深い地であり、岩園天神社もその流れにある神社で、いわばその結界的な地に立つ神社なんだとか。

であれば、大切にしていかなくてはならないはずだが、ずっと荒れ放題だったそうだ。

そんな中、H子ちゃんが「自分でもなぜ毎日掃除をしているのか分からないが」岩園天神社の掃除をするようになったのだ。

■美しい女性がプレゼントを持ってきた

そしてある日、H子ちゃんがいつものように掃除をしていると、どこからともなく品のあるキレイな女性が現れた。

「お寒いでしょうから、これを差し上げます」と言って、H子ちゃんに大きな紙袋を手渡そうとした。

見るからに高価な品だったので、何度か断ったそうなのだが、どうしてもというので、手に取って中を見ている間に、その女性の姿は風のように消えていたという。

後で中を確認すると、それは有名ブランドの高価なマフラーだった。

そしてしばらく経ったある日、M氏があるイラストに描かれた女性をH子ちゃん見せた。すると「私にマフラーをくれたのはこの人だ!」と言ったらしい。そのイラストに描かれた女性はなんと、瀬織津姫の墓とされている、六甲比命神社の境内に飾られている「瀬織津姫」のイラストだったのだ!

六甲比命神社に飾られている、天照御大神と瀬織津姫のイラスト

そして、岩園天神社にて熊野から仙人の弟子をお呼びし、神事を行ったそうだ。結界を解くというか封印を解くための「磐座開き」の神事だ。

もちろんH子ちゃんはそのマフラーをつけて参加された。

神事が行われたのが2020年の3月。

ちょうどコロナ騒ぎが始まった頃だった。
その時の写真もM氏に見せてもらった。

ただ、神事が終わって半年ほどしてからお姿を見かけしなくなってしまった。きっとお役目を終えたんだろうな。

■H子ちゃん後日談

知り合いの何人かは、H子ちゃんのことを知っていた。
みな芦屋に住む方で神社好きの方。

その方もいろいろで、
H子ちゃんの様子を見て怖くて逃げ出す人もいれば、話しかけたら無視された人もいたり、H子ちゃんと仲良く何度も話をした人もいた。

自分自身は何度か実際に掃除されている様子を見たことがあるものの、とても話しかけられるオーラではなく、遠くからそっと見るしか出来なかった。

一度こっそり動画が撮ったのだが、なんとなくお姿がわかる程度のもの。

何度もH子ちゃんと話をしたという知り合いと話をしていて、H子ちゃんは大阪難波の雑貨屋さんで働いているとか、いろんな情報を教えてもらったのだが、その中で驚愕の事実があった。

それはなんとH子ちゃんは男性だということ。

そう言われてみれば、髪も長く女性っぽい格好はしていたものの、かなり背が高く体格も良かったので、男性だったとは言われれば、そうだったかもとも思える。

しかし、なんという不思議な人だ。

訳も分からずわざわざ遠くの神社までやってきて意味も分からず毎日掃除をし、磐座開きを終えたら、姿が消えていたと・・・。

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