22、深夜三時

死にたくない、と思った。ただ、生きていたくない、とも思った。

どこかに行きたい、と思った。でも、どこにも行けない、とも思った。

大人にならなくては、と思った。まだまだ私は大人になれなかった。


ただ漠然とした不安に襲われて、夜眠れないで昼はずっと眠っているような日々を続けている。休みが続くとすぐこうなってしまう。人生最後の夏休み、こんな風になるとは思っていなかったし、でも想像通りにいかないことをちょっとだけ楽しいとも感じた。

以前に比べて、友達、と呼んでもいいのかな、連絡を頻繁に取り合ったり、日常の些細すら伝え合いたいような大切な人も、少しだけ増えた。私は私のために怒ってくれる人を大切にしたいし、どうしたらいいのか分からない時に「どうしたらいいのか分からない」と言えるようになった。

最近よく、夢はあるのか、やりたいことはあるのか、と聞かれる。考えるそぶりをして、まだ分からないですと苦笑いで答える。そんなやり取りを繰り返すなかで、そうじゃないんだよな、ってずっと思っている。やりたいことなんかない。夢なんか大きなこともない。ただ、ずっとこういう、何かを考えなくてはならない気がしていて、でも何も考えなくても済むような日々が続いていたらいいのにと思う。それが逃げでしかないことは十分に理解しているからこそそう思う。実際に悩んでいることがあって、誰かに相談というていで予定を作っても、結局それも「悩んでいるフリ」でしかない、と自分に向けてじっとりと思っている。自分の中で出ている結論の審議に誰かの意見を用いようとしている。「埋める?」って言ったから、ダメだって言った。それぐらいは出来るようになったけど、やっぱりまだ苦しい。ずっとずっと苦しい。やりたいことなんかない、ただ、でも、もし望んでも良いのなら、私は、生きていたいと思えるようになりたい。ずっとずっと許されたい。誰かに。最早誰でもいいのかもしれない。目の前の、確かに大切な友達に対して、あなたでなくてはならない理由なんて説明できない。めぐりあわせで、たまたまここにいるだけの私達が、今、偶然手を取り合っているだけのことを、どうして、どうやって説明すればいいのだろう。私はなんにもまだわからない、わからないはずなのに、わかってきたことの中で世界を歩こうとしている。


生きていたいと、思えるようになりたい。でも、そのために自ら行動したりしない。流れるように生きていたら、それこそやっぱり、流されるだけなんだ。ひとりぼっちで涙を流す人がいなくなればいいとおもう。傲慢でも、せめて自分の周りには、と、思う。そのために何が出来るかはこれから考える。ただ、そういう、それしかない。それしか持ってない。


折り合いなんか付けられないことばっかりだ。私よりも年上の大人に向かって、「あいつ矛盾だらけじゃんね」なんて思うけど、絶対私もそうなっていくことが分かっているから、やっぱり大人になりたくない。放っておいても大人になってしまうから、大人になりたくない。ずっと楽しいままでいたい。でも楽しいだけじゃダメで、楽しいままでいたいなら、「楽しさ」を創り出すことと真剣に向き合わないといけない気がする。どこまでだって真面目にしか生きられない。自分のゆがみが、いろんな歪みが、誰のせいでもない、だれのせいにも出来ない、それを、自覚させられることばっかりで、ずっとずっと、ずっと苦しい。

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