雪を見て思うこと

今期最強の寒波が来た。
外を見るとさっきまでチラチラと降っていた雪も、粒が大きくなり始めた。

実家は山間部なので県内でも降雪量が多い。
小さい頃は雪に喜んだだろうけど、「雪=寒い危険嫌い」といったマイナスのイメージが強いので雪を喜んだ自分を思い出すのが難しい。

小学校から大学1年生まではバス通学だった。
まだタイヤの跡も少ない真っ白な道路をバスがゆっくりと走ってくる。
私たちを温かい車内に乗せて、運転手は「ちょっと待っててね」と一言アナウンスして外に出る。
曇った窓を拭いて外を見るとタイヤにチェーンを巻いている。
私の実家から小学校まではずっと下りの山道。
カーブも多いし、ずっと下りなのでそれなりにスピードも出る。
そして雪道だ。
しばらくして運転手が戻り、「お待たせしました」とアナウンスし、ゆっくりゆっくりバスは発車した。

ある時は、学校まで父が迎えに来た。
軽トラックやちょっと大きいトラックに乗って。
父は雪道は慣れているのでいつも安心して助手席に乗って帰った。

そして、ある時は父が会社帰りの道の途中まで迎えに来てくれた。
というのも、私の車は車高が若干低いので実家までの道の降雪量では運転しにくい。(少し埋まってしまう)
そういう時も父は迎えに来てくれた。
会社帰りの真っ暗な雪道を走って迎えに来てくれた。
車は翌朝、父の車に乗って迎えに行った。

車を持つようになってから、冬は毎年スタッドレスタイヤに交換している。
家族でお世話になっているガソリンスタンドのおじさんは、毎年タダでタイヤ交換してくれた。
大変なのに。
でも、おじさんが交換してくれると安心感があった。
そんな優しいおじさんも実家を離れている間におじいさんになっていて、もう会えない人になってしまった。



頭に雪を被りながらチェーンを巻いて走ってくれたバスの運転手。
どんな時も迎えに来てくれた父。
毎年お世話になったガソリンスタンドのおじさん。

雪を見て毎年思い出している。

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