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乃木坂シネマズ 雑感

 FOD(フジテレビオンデマンド)にてはじまった乃木坂46のオムニバスドラマ『乃木坂シネマズ ~STORY of 46~』の雑感をつらつらと。全10回で構成されており、毎話ひとりのメンバーが主人公となり物語を展開していく1話完結型のドラマ。それぞれの簡単なあらすじと、(FODで)視聴した感想を綴っていこうと思う。



『鳥、貴族』

齋藤飛鳥×柳沢翔

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あらすじ
 人間と鵜人(うじん)が共生する世界。しかし両者には社会的格差があり、鵜人は迫害される日々を送っていた。飛鳥演じる人間ミトラは、かつて王室を批判し落ちぶれた衣装デザイナー。ある日、美しい洋服を身にまとった人形がミトラの目に留まる。それを作っていたのは鵜人のムギ。異なる人種が同じ感性から親交を深めていくが、鵜人への弾圧は過激化していき…。

⊿ 雑感
 『サヨナラの意味』のMVを手掛けた柳沢監督作品ということもあり、若干「棘人」を連想するようなテーマ。物語を構成する世界観であったり、演者や衣装のビジュアルであったり、照明やカメラワークであったり、作品を取り巻く美しさが印象に残った。飛鳥のセリフがないところでの表情や、何気ない一コマを表現する演技は絵になるし個人的に好き。それが悲壮感漂うストーリーともマッチしていて楽しめた。

⊿ 柳沢翔監督作品 
- 『シャキイズム』
- 『ガールズルール』
- 『気づいたら片想い』
- 『私、起きる。』
- 『サヨナラの意味』
- 『ナイフ(伊藤万理華 個人PV)』
- 『トイ(伊藤万理華の脳内博覧会)』


『Perfect I / パーフェクトアイ』

秋元真夏×松本優作

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⊿ あらすじ
 車が空を飛びスマートフォンが時代遅れになっている2040年が物語の舞台。秋元演じる夏海はおとなしく地味な大学生。ある日、友人の由佳とともにナイトクラブを訪れ、そこで出会った拓也から「Perfect I」という錠剤を勧められる。これを口にすれば非現実なバーチャル体験ができるという。「Perfect I」に手を出してから夏海の性格は変わっていき、徐々に現実と仮想空間の判別がつかなくなっていく…。

⊿ 雑感
 ※合法的なトビ方を心得ましょう。クラブでノッてる真夏さんや、堀江翔太のような逞しい真夏さん、熱いキスを交わす真夏さんなど、見たことのない秋元真夏が見られるのは『Perfect I』だけ!主人公の夏海だけでなく視聴者も混乱していく内容で、30分で収めるのが難しいストーリーだと感じた。これから秋元には筋骨隆々なマッチョ姿で乃木坂46を守っていってほしい。


『超魔空騎士 アルカディアス』

松村沙友里×藤井亮

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⊿ あらすじ
 松村演じる沙友里はゲーム会社の営業マン。やりたい仕事は担当できず、同期は冴えない中二病男。行きつけのバーで愚痴をこぼしていると、マスターから怪しげな黒魔術本を渡される。なんでも呪文を唱えれば理想の異性と出会えるという。焼き鳥とビールを供物に捧げた翌朝、沙友里の目の前に現れたのは “中学時代の” 理想の存在「超魔空騎士 アルカディアス」だった…。

⊿ 雑感
 「ア~ アルカディ~ア~ア~ス~」のメロディはずるい。ということで純粋にめっちゃ面白かった!最初から笑えて、途中ほろりときて、最後にまた笑えるようなお話。誰かと出会い、仲違いをしつつも心境に変化が生まれ…というありがちなストーリーだけど、ペラ紙のアルカディアスが常に画面にいるというカオス。世界観を壊さない松村の演技も見れて満足。ガチャ子さんとともにシリーズ化してほしい作品。


『民主主義定食屋』

山下美月×宮部一通

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⊿ あらすじ
 「みんなの声、最優先。」客が食べたいものを注文すると店内で多数決が行われ、過半数が是としなければ食べられない。山下はそんな民主主義定食屋の看板娘、美月を演じる。ある日、従業員の手違いで大量のナスを頼んでしまった民主主義定食屋。来店する客は自分の望む料理を口にすることができるのか。さらには別のトラブルも舞い込んできて…。

⊿ 雑感
 一人ひとりの登場人物が個性的なコメディ作品。乃木坂46舞台組ではお馴染みの柿丸美智恵さんも出演している。民主主義定食屋の設定は面白く、来店客で話の展開はいくらでも広げられそう。30分だけでは設定を活かしきれていないようにも思えたので、これっきりというのはもったいない。映像作品に多く出演している山下は、強烈な訛りを持つキャラクターもナチュラルに演じていた。客を誘惑するシーンはプロ。山下プロ。


『結道』

北野日奈子×小山巧

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⊿ あらすじ
 「結道(ゆいどう)」女子4人が1組となり、2チームが様々なルールのもと、いかに男子に魅力的な告白ができるかを競う競技。北野演じる結道部の「さき」たちは、持ち前のチームワークを武器に全国高校結道選手権出場に王手をかけていた。そんな彼女たちの目の前に立ちはだかるのは、さきにとって苦い思い出を回顧させられる特別な相手だった。果たしてさきたち結道部は全国への切符を手にすることができるのか…。

⊿ 雑感
 あまずっぱい!ダイレクトに「青春」がテーマになっているけれど、ドキドキ演出やトキメキ修飾で作品をより良いものに昇華させた点が素晴らしい。中でも、自分を奮い立たせる場面で『虹を待つ人』が耳に流れてきたときの高揚感は格別。乃木恋のCMを彷彿とさせるようなシーンは、「結道部の工藤さき」と「乃木坂46の北野日奈子」、両方の魅力が詰まっていた。たった2文字の台詞で多幸感を与えてくれる北野日奈子は本当に偉いと思う。


『納品ウォーズ』

堀未央奈×曽根隼人

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⊿ あらすじ
 
特番の放送を夜に控えた番組制作会社にトラブルが発生。編集作業を終え、完成したテープをテレビ局に納品するところを、何者かに襲われ邪魔されてしまったのだ。頭を抱える製作スタッフたちの前に現れたのは、時給6,500円で番組制作をサポートするという「スーパーAD 凛子」。堀演じる凛子は襲い掛かる刺客たちを退け、テープを納品することができるのか…。

⊿ 雑感
 
堀待望のアクション作品。クールな役柄+アクションということであまり台詞は多くないが、初期から貫く特技やお得意の早口は健在。カメラワークや殺陣の力もあるけれど、堀がこのドラマために1,2ヵ月間励んだという練習の成果を感じることができてよかった。好きが高じて仕事に繋がるというのは素晴らしいし、これからも邁進していってほしい。


『嗚呼!素晴らしきチビ色の人生』

与田祐希×アベラヒデノブ

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⊿ あらすじ
 与田は、[ピー]部に所属し[ピー]甲子園、果ては[ピー]留学を目指す戸田ユーキを演じる。ナルシストでやさぐれ女子のユーキは、「バラ色」の人生を歩むことを確信していた。しかし現実は厳しく、友人関係も恋愛も[ピー]も、すべて思い通りに進まない。そこでユーキは自分なりの道、「チビ色」の人生を歩むことを決意する…。

⊿ 雑感
 ちょくちょく挟み込まれる小ネタや、インスタグラムを使った現代的なストーリー、ぶつくさ言いながら一人語りで進むは展開はテンポが良く、見ていて飽きなかった。コンプレックスと向き合ったり、夢を妥協した人生を歩んだりという、多くの人が経験するであろうことが一つのテーマになっているので、刺さる人も多いのではないかと思う。ユーキは普段の与田とは正反対のキャラクターだけど、生意気なチビはとても可愛かった!

⊿ アベラヒデノブ監督作品
- 『日本ボロ宿紀行 8話,11話


『ツダモモエ』

生田絵梨花×山岸聖太

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⊿ あらすじ
 
特技はピアノとイリュージョン。生田演じるツダモモエは恋愛経験のない奥手女子。そんな彼女は採用試験の際、面接を担当した部長に一目惚れしていた。「誕生日には好きな人と海に行きたいです。」24回目の誕生日を迎えようとしてるツダは、その願いを叶えるべく大胆な行動に打って出る…。

⊿ 雑感
 
独特の世界観を生み出すことに定評がある山岸監督だが、今作も視聴者側が想像を巡らせたくなるような設定や表現で彩られている。音の使い方が非常に巧みで、特に「静」の部分で惹きつけられるようなシーンが数多くあった。生田が包丁を持つと悪い意味でドキドキしてしまうし、豆腐に横の切目を入れるときは、手首側から指先側にスライドした方がいいと思う。

⊿ 山岸聖太監督作品
- 『別れ際、もっと好きになる』
- 『シークレットグラフィティー』
- 『あの教室』
- 『ないものねだり』
- 『逃げ水』
- 『路面電車の街』


『脆弱性』

久保史緒里×谷川英司

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⊿ あらすじ
 
舞台は2026年。テクノロジーの発展により、AI技術が人々の生活に寄り添ったかたちとなり浸透している時代。そんな中で、久保演じる生活支援アンドロイド「メシア」の登場により、日々の暮らしはより豊かになる、はずだった。救世主の名を授けられたはずのアンドロイドが、関わる人たちの人生を次々と狂わしてゆき…。

⊿ 雑感
 尊敬や憧れは妬みや嫉みと表裏一体となる。完璧な存在は鏡となり自分の欠点を映し出す。そんな日常が続けば、人としての尊厳が奪われる感覚に陥ってしまうのだろうか。というわけで、近未来的要素を抜きにしても、色々と考えさせられるメッセージ性の強い作品だった。2026年になった暁には我が家にもメシアを招き入れ、乃木坂46のライブ鑑賞会を開きたい。作中のそれとは違い、めっちゃ早口で感情的なアンドロイドになりそうだけど。


『街の子ら』

白石麻衣×山田智和

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⊿ あらすじ
 
ある晩、白石演じる武井由梨は一台のタクシーに乗り込む。おしゃべりな運転手の隣には無口な少女が座っていた。その子は運転手の娘とのことだが、預け場所がないため会社に秘密で同乗しているという。そんな中、運転手から少しの間だけ子どもを預かってほしいと頼まれる。断り切れない由梨はその子と水族館に行き交流を図るが…。

⊿ 雑感
 
オチを知った後にもう一度を見たくなる作品。不条理な過去に毒を吐くことで自己防衛をして、本心を殻の中に閉じ込めている。しかし過去の自分と向き合うことで、未来を大切に想う意思が確立される。というのが個人的解釈。由梨の未来の姿は現実なのか想像なのか。謎は残されたままだけど、現実世界での白石がお茶目で可愛い素敵なママになることだけはハッキリと分かる。

・ 山田智和監督作品
- 米津玄師『Lemon』『Flamingo』『馬と鹿』
- あいみょん『マリーゴールド』
- 水曜日のカンパネラ『松尾芭蕉』『メロス』
- サカナクション『years』『ナイロンの糸』 他


あとがき

 20分強の1話完結ドラマという制約の中でも、ダークなものからポップなものまで幅広く、どれも違った良さがあり楽しめた。乃木坂46ということで贅沢な個人PVという印象も受け、今後の映像作品でもまた見たいと思える監督もいた。明るい雰囲気の作品が好きなので、松村・北野・与田の作品は特にお気に入り。

 心残りがあるとすれば、個人的に17thシングル特典の『バージン・ブリーズ』からひっそりと推している大園桃子の作品が無かったのは残念。彼女のハスキーな声と3年経っても抜けきらない鹿児島訛りはクセがあるけど、ナチュラルな演技と合わさることで良いアクセントになっていると思う。監督でいえば湯浅弘章作品も見たかった。彼が携わった乃木坂46のMVや個人PVはどれも傑作なので、また次の機会があることを期待したい。

 あと眼鏡女子すちすちマンとしては、飛鳥・秋元・北野・生田の貴重な眼鏡姿を見れたのはシンプルに最高だった!

2020年2月26日
エメりんご


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