乃木坂46メンバーでサッカーチームをつくってみたよ!な話 2023
普段、乃木坂46メンバーを応援している私には、乃木坂46より前から追っている趣味がある。それは欧州サッカー観戦だ。今年、いわゆる “推しクラブ” であるアーセナルFCが2003-04年シーズンに達成した無敗優勝ぶりのリーグタイトルに迫るも、その夢は掌からこぼれ落ちてしまった。
これは余談だが、アーセナルが最後に優勝した19年前といえば筒井あやめの誕生と同時期である。「Special One」の異名を冠するジョゼ・モウリーニョ監督がチェルシーFCを率いて一時代を築き始めた時期に、乃木坂46の「革命児」が誕生し、のちにチェルシーという名の愛犬を飼い始めるとは数奇な巡り合わせである。
何はともあれ、優勝を逃した悔しさとオフシーズンの試合がない週末を穴埋めするには、かわいい界のインヴィンシブルズである乃木坂46メンバーに頼るしかあるまい。というわけで、約2年半ぶりに「ぼくがかんがえたさいきょうのNogizaka FC」を編成してみた。早速紹介していこう。
前回同様の保険をかけておくと、サッカーは好きですが詳しいわけではないのでツッコミどころも多々出てくると思いますので、どうかゆるふわフィーリングで読んでいただけるとありがたいです。
また、このnoteでは各ポジションの適正を裏付けるために、メンバーのパーソナリティやキャラクターを過去の言動と筆者の主観をもとに多少強引に枠にはめこんでいます。しかし、実際の彼女たちは特定の側面に捉われない、多面的・多層的な魅力を持つ人たちであることも合わせてご理解いただきたく思います。
2021年のNogizaka FC はこちら。
GK 吉田綾乃クリスティー
このチームの守護神は3期生の吉田綾乃クリスティー。ドイツの名門で修業を積んでいるかのような名を持つ吉田は、チーム(そして乃木坂46)の最年長メンバーだ。
彼女はゴールキーパーに必要な技術と、冷静さやモチベーターといったメンタル面の素養。その両方を持ち合わせている。
吉田といえば「Apex Legends」「VALOLANT」といった対戦型ゲームを趣味としてプレイし、それを仕事にも繋げている。動体視力と咄嗟の判断力が求められるゴールキーパーと、FPSゲームの親和性が高いことは想像に難くない。
彼女が作り出す空気感や包容力はメンバーからも高く評価されており、久保史緒里は「(3期生の)最年長が吉田でよかった。吉田が一番上だから3期のこの空気ってずっと保たれてるんだろうなって本当に思う(乃木坂あそぶだけ )」と語り、阪口珠美は「いま振り返ると加入当初のクリスティーは大変だったと思います。一人ひとりに『よしよし』と慰めて回っていたから(ENTAME 2022年11月号)」と回顧する。その姿勢は今なお変わらずに持ち続けており、「東京パソコンクラブ」では、プログラミングに行き詰まり涙を流す金川紗耶をそっと「よしよし」して慰める吉田の姿があった。キャプテンの梅澤美波が甘えられる数少ないメンバーであるのも、年齢という記号以外の要素が大きいのだろう。
そんな彼女のキャラクターを表す印象的なインタビューがある。
慧眼の持ち主である齋藤飛鳥が各メンバーを評する企画でも、飛鳥が吉田の安定感や周りからの信頼に一目置いていることが見て取れる。
ライブシーンに目を移すと、2022年頃から彼女の歌やMCにスポットが当たることが多くなったと感じる。歌唱力に定評がある林瑠奈や中村レノと並び、吉田の歌声の"安定感"もまた着実にファンに浸透している。
MCパートでは、時に同期の座長に尊敬と感謝を伝え、時にアンダーライブ初参加の後輩を優しくフォローしながら次のメンバーが喋りやすいような橋渡しをし、時に内輪ノリが加速しそうなタイミングでストップをかける。つまりライブにおける「繋ぎ」の部分においても巧みな技術が発揮されているのだ。
パフォーマンスのムラが試合の勝敗に直結するポジションかつ、攻撃の始点になるポジションにおいて、吉田のスタビリティや舵取りは武器になるはずだ。
そして、言うまでもないことだがGKの役目はゴールを「守る」こと。吉田も参加した30thシングルのアンダーライブは、アンダーの支柱となっていた1期生の和田まあやが参加する最後のライブであった。そんな節目を迎えるにあたって、吉田は次のような意気込みを語っている。
前述のインタビューにもあるように、補佐的な役割が好きだという吉田だが、それは決して消極的なものではないことを意味している。GKはピッチで唯一得点を狙えるポジションではない。しかし、彼女のように安定したパフォーマンスで周りを支え、守るための行動を取れる人が殿を務めてくれるなら、このチームが負けることはない。
CB 松尾美佑 / 梅澤美波
今回も引き続き梅澤美波にはセンターバックを担ってもらいたい。前回は3期生のまとめ役を経験していることについて触れたが、今、彼女の腕にはキャプテンマークが巻かれている。
2023年2月をもってグループを卒業した秋元真夏に代わり3代目乃木坂46キャプテンに就任した梅澤だが、それ以前の副キャプテン時代から秋元を含むメンバー個々のフォローをしたり、高い視座でグループを見たりと、その素質を感じることは少なくなかった。
2022年5月に行われた10th YEAR BIRTHDAY LIVE のMCでは、緊張のあまり秋元が段取りを飛ばして捌けてしまうという出来事があった。このハプニングに助け舟を出したのは梅澤だ。事前に秋元の進行まで確認していた梅澤は咄嗟に、そして自然にMCを代行し、そのカバーリング能力が一級品であることを証明した。秋元も卒業を発表する直前に「梅には全幅の信頼を寄せています(日経エンタテインメント 2023年2月号)」と太鼓判を押している。
そういったキャプテンとしての梅澤がいる一方で、2023年には帝国劇場を皮切りに舞台『キングダム』で楊端和役を演じるなど、個としての実力や迫力も増している。
そして右隣に位置する一ノ瀬美空は、梅澤が番組開始当初から月曜レギュラーを務めていた「THE TIME,」のバトンを渡した後輩である。レギュラーの交代が決まった際、梅澤は一ノ瀬にアドバイスや励ましの言葉を送ったという(ENTAME 2023年6・7合併号 , 日経エンタテインメント!2023年6月号)。サッカーでは相手マークの「受け渡し」のミス一つで失点を喫することは珍しくないが、どうやらその心配はなさそうだ。
◇
そんな梅澤とコンビを組むのは4期生の松尾美佑。梅澤美波・中村レノに次ぐ高身長メンバーであり、グループの中でも特に身体能力が高いことでも知られている。松尾は2022年に開催された「乃木坂46時間TV」内の運動会で、50mを8.12秒で駆け抜け、グループトップの成績を残したうえ、同イベントで大会MVPを獲得している。左サイドバックの五百城茉央は時に「どんくさいおき」という一面が透けて見えてしまうが、松尾の俊足が助けになってくれるはずだ。また、五百城と一ノ瀬は32ndシングルでポジションが隣ということもあり、歌番組の本番前に緊張をほぐしたり相談に乗ったりしたとのことで、ディフェンスリーダーとしての萌芽も感じさせてくれている。
トップに位置する清宮レイとはラジオ「乃木坂46の乃木坂に相談だ!」で2年ほど時間を共にしており、ここでは松尾の歯に衣着せぬ物言いから「松尾が代わりに物申す!」というコーナーも誕生した。リスナーや世相にズバッと意見するように、後方からズバッと楔のパスを入れ込む松尾の姿は容易に想像できる。
梅澤と松尾の相性の良さにも注目してみよう。このコンビといえば、「乃木坂工事中」恒例の後輩が先輩へバレンタインチョコを渡す企画で両想いになったり、ブログやメッセージアプリで度々互いの名前が聞けたりする仲だ。上述の運動会で行われた綱引き対決では、松尾チームに欠員が出た際、別チームの梅澤を助っ人として呼び込み、その理由を「大好きだから」と、数千人の前で愛を伝えている。
梅澤と親交が深い飛鳥も、この2人の組み合わせには期待を寄せている。
また、32ndシングル『人は夢を二度見る』で松尾が初めて選抜入りした時、戸惑う気持ちを抱えていた彼女に寄り添ったのは梅澤だった。
このチームはボール保持をベースとしており、被カウンター時には主に中盤で人数をかけた即時奪回を想定している。ただし、裏に長いボールを蹴られた際のリスクは非常に属人的で、この2人にかかる負荷は大きくなることが予想される。だからこそ、舞台の殺陣で身に着けた対人能力やいい意味の圧を持つ梅澤と、グループきってのアスリート能力を持つ松尾。そして、日々連携を密にしていく2人の『シンクロ』が重要となってくる。
RB 一ノ瀬美空
右サイドバックは非常に悩んだが、5期生の一ノ瀬美空に任せたい。このチームの右サイドは連携を重視した仕組みになっており、ユニット面での貢献(後述)が望めるほか、相手の陣容によっては、ボール保持時に五百城・松尾・梅澤の後ろ3枚と、アンカーの田村の脇に一ノ瀬を押し上げた「3-2-5」の配置で優位を作り、ビルドアップをスムーズに進めることを想定している。
その際、近くにポジションを取ることになる田村は、気になる後輩に一ノ瀬の名前を挙げている。
頭の回転と対応力はまさに可変式のビルドアップに求められるところである。そんな彼女の対応力を池田瑛紗は同期の視点で次のようにみている。
このような評価を受ける理由の一つとして、彼女の視野に注目したい。一ノ瀬と仲が良いことでも知られる川﨑桜は、ブログで彼女の特技を「人間観察」であると紹介し、その能力を高く買っている。
また、「新・乃木坂スター誕生」での一幕も印象的だった。ここで一ノ瀬は、5期生の魅力が表に出ていないことに不満を漏らし、「小川彩の陰の努力を世界中に伝えたい」「中西アルノはカッコつけてるけど繊細だから、一気に壊れてしまう前に普段からもっと弱さを見せてもいい」「菅原咲月は投げられたパスに全力で返すから責任を負わされることがある」といったように、その観察眼の鋭さや視野の広さを示してみせた。因みにそんな一ノ瀬のことを、同期の井上和は「彩と美空は5期生の中でも努力家ツートップなんですよ」と評している。
右のウイングに位置する川﨑とは、性格や食の趣味が合うこと、顔が似ていることから「ちょっぴり双子」を称しているほか、川﨑は一ノ瀬に対して「私にとってすごく大切な存在」とブログで告白しており、純粋な縦関係でも相性の良さが窺える。
そして奇しくも彼女は前任の右サイドバック同様、必殺技の持ち主である。彼女の「み~きゅんきゅん」は、ジャパン・ミュージックエンターテイメントFCに移籍してしまった秋元真夏の「ずっきゅん」と同じく、弾丸ミドルのメタファーであることは言うまでもない。
懸念材料があるとすれば、一ノ瀬はホームスタジアムでの活躍は折り紙付きだが、アウェイゲームになると若干猫を被ってしまうきらいがある。「THE TIME,」月曜レギュラーとして、「週末のスポーツまとめ」のコーナーで取り上げられるほどの活躍を望みたい。
LB 五百城茉央
5期生イチの高身長を誇る五百城が左サイドバックに鎮座する姿は、さながら兵庫のダン・バーン。彼女は5期生の運動能力テスト「走り高跳び」部門で120cm(女子高生平均114cm)を記録しており、攻守におけるセットプレーや、同数プレスをかけられた際のビルドアップの出口としても機能してくれるに違いない。そして五百城は乃木坂46では数少ない左きっきである。
そんな彼女は自分自身を「私は意識しているわけではないんですけど、自然と周りのペースに合わせられるって最近友達から言われて、たしかにそうだなって思いました(BOMB! 2023年1月号)」と語っている。さらに中学では関西の強豪剣道部に所属していたということも相まって、相手FWと正対した際にDFに求められる間合いの取り方やツッコミ方などは熟知しているものと思われる。
過去にはブログで好きな言葉を聞かれ「大切なのは何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」とアドラーの一節を引用した五百城だが、このマインドはピッチにおいて「大切なのはパスを受けることではなく、受け取ったパスをどう使うかである」と置換することができる。乃木坂46きっての綺麗なセイカクの持ち主である彼女ならば、憧れを口にする最前線の清宮レイへ綺麗でセイカクなボールを供給してくれることだろう。
縦関係にもフォーカスすると、五百城は尊敬する先輩に山下美月の名前も度々挙げており、ブログでは一緒に写真を撮ろうと声をかけてもらった時の喜びや、山下の先輩としての姿を手本にしたいなどと綴っている。全国ツアーでは、中西アルノが喉の不調を抱えながら歌唱する姿を見て涙を流していた五百城だったが、その様子を見て声をかけたのも山下だった。これらの優しさや、多忙の中でも明るく振舞う姿に五百城は憧れを持っていると話す(日経エンタテインメント 乃木坂46 Special 2023)。
こちらも一つ懸念点を一つ挙げるとすれば、五百城は加入後すぐにシングルのヒット祈願でタチウオを釣りに行くロケに参加しているが、その際、釣り上げたタチウオに裸締めをキメてしまっている。ピッチ上では某フランスのような狼藉は避けてほしいところである。
DMF 田村真佑
アンカーは4期生から田村真佑を推薦したい。乃木坂46屈指のコミュ力の持ち主である彼女ならば、メンバーからトークを引き出し会話を展開させていくように、最終ラインからボールを引き出し前線へ展開してくれることだろう。
そんな田村は、グループでの自分の役割を次のように考えている。
グループを円滑にする田村のキャラクターは、チームの攻撃も円滑にしてくれること請け合いだ。そして田村は「『期の垣根を越えてほしい』と言われているので、これからもっと積極的に話しかけに行こうと思っています」と続けている。このチームの両翼に位置するのは5期生の川﨑桜と3期生の山下美月。間に挟まれた4期生のなかでも、このようなマインドを持つ田村からは、期の垣根を、そして5レーンの垣根を超えるロングレンジのパスも期待できそうだ。
また、彼女は「ノギザカスキッツ」や「乃木坂電視台」で激辛、ゲテモノ、ビリビリ椅子などを体験している。そういったことから物理的な耐性を備えていることが推察でき、強度が求められるアンカーに向いている考えた。おそらくサポーターの目に見えないところでロドリもタガメを食べているし、トーマス・パーティもワサビ寿司で日々鍛錬を積んでいるはず。
また、同誌で田村は2023年の目標を「今年はすべてのイベントにしっかりと出られるように、健康に気を付けたいと思います。」とも語っている。オプションとして選手を入れ替えることはあるが、基本的にこのポジションはシーズンを通して固定されることが多い。代替不可能な彼女だけのアビリティを武器に、すべてのイベント、そしてすべての試合に出場することを願っている。
最後に、特徴的な声を持つ彼女だが、梅澤や久保は田村の声帯模写を会得している。これにより、あらゆる方向から聞こえてくる「田村真佑です」により相手を撹乱させる作戦も取ることができる。
IH 久保史緒里 / 池田瑛紗
サッカーはしばしば4つの局面(ボール保持・ボール非保持・攻→守・守→攻)に分類されると言われているが、久保史緒里は乃木坂46の活動において、4局面に収まらないほど様々なシーンで活躍するメンバーである。
ライブシーンでは、歌唱でソロパートを任され、ダンスナンバーでセンターを務め、言葉で乃木坂46の方向性を顕示し、モチベーターとしてメンバーの士気を高める。
俳優としては、舞台『夜は短し歩けよ乙女』で京都の夜を闊歩し、映画『左様なら今晩は』でピュアな幽霊として部屋に住み着き、大河ドラマ『どうする家康』で織田信長の娘として戦国の世を生き、先輩を送り出す余興で口達者な論客を演じている。
欧州サッカーファンダムには馴染みのあるミッドウィークの夜には、自堕落な様子を告白し、自堕落な生活を脱却したとうそぶき、野球愛を滔々と語り、ラジオドラマで美術の素晴らしさを電波に乗せ届けている。
誌面に目を落とすと「Seventeen」専属モデルとして、ありとあらゆるシチュエーションに沿ったコーディネートに身を包むほか、インタビューでは久保自身のことやグループについて、その時々の心情や価値観を過去から未来まで地続きで紐づけ記録している。
また、彼女は横に並ぶ同期だけでなく、卒業した先輩から多くのものを受け取り、後輩に大きな背中を見せ尊敬の念を集めている。「久保史緒里の乃木坂上り坂」や「久保チャンネル」といった番組がメンバーとの関係性を深める助けになっていることは確かだが、裏を返せば彼女が他者との繋がりに重きを置く人物であり、そのアイデンティティを確立しているからこそ生まれたコンテンツであるとも言える。チームの連係・連帯を強化するという点において、久保の右に出る者はいないと言っても過言ではない。
このようにあらゆる局面・ポジションで軸となり、プロップスを獲得している彼女が今回のチームにおいても心臓であることに疑う余地はない。
そして、グループの内側だけでなく外に飛び出して活躍の場を広げる久保には、中盤から飛び出して結果を残すフィニッシャータスクも十二分に見込むことができる。大外に位置する強烈なゴールゲッターである山下美月と肩を並べ、戴冠という夢への道を作ってくれることだろう。
◇
そして右のインサイドハーフには5期生の池田瑛紗を特殊召喚。彼女は他にない創造性や独創性を持つクラックである。例をひとつ挙げると、初のソログラビア撮影時に表現や仕草を褒められた池田は、その要因を次のように分析した。
また、同誌で池田は「客観的に自分や周りを見たり、自分の魅せ方をイメージするのは得意だと思います。」と自負しているほか、先輩の黒見明香からは池田の“目”を讃する意見を聞くことができる。
彼女ならば独自の視点から繰り出されるアングルをつけたパスや、自分の周りを、そしてピッチ全体を俯瞰する空間認知能力で、得点に繋がるチャンスクリエイトを重ねてくれるはずだ。
次に中盤の選手に求められる運動量にも注目してみよう。2023年3月に東京藝術大学に合格したことで衆目を集めたことは記憶に新しいが、それに加えて彼女は2月のバースデーライブや4月のアンダーライブ東名阪(さらにはレギュラー仕事やイベント、齋藤飛鳥卒業コンサートのリハーサル)をこなしながら、メッセージをほぼ毎日10通以上送信し、ブログを月平均で16回更新している。当然どちらもグループトップの数字であり、そのバイタリティは異次元というほかない。
そして池田がひときわ異彩を放つ場としては、上述したブログが一番分かりやすい。彼女のブログは更新回数もさることながら、その筆致から多くの人の興味を引き付けている。個人的に印象的だったものをいくつか紹介しよう。
このように読者の関心を引きつけるスキルを持つ彼女ならば、相手プレイヤーを引きつけ、後方からのパスコースを開けたり、バイタル付近のスペースメイクをしたりするといった役割もこなせると思われる。
また、ボール保持時に一ノ瀬をにセンターハーフに入れることにより、池田のポジションを中盤からあげ、そのクリエイティビティや運動量をよりゴールに近い位置で使えるのもポイントだ。
RWG 川﨑桜
ピーキーなプレイヤーでありながら、この攻撃力を使わないのはもったいない。というわけで5期生の川﨑桜は右のウイングで起用する。
川﨑は5期生の体力テストにおいて50m走で1位を獲得し、持久走ではトップタイ(五百城・一ノ瀬)の好成績を残している。身長は155cmと小柄なものの、フィギュアスケートを10年間続けたことで身についた体幹と、得意とする回転を活かしたマルセイユルーレットは必見。また、レッドブル(シュガーフリー)の愛飲家でもある彼女ならば、レッドブル系列クラブのお家芸でもあるプレッシングの習得も期待できそうだ。
そして彼女の動向を追っているオタクなら感じるだろうが、川﨑は独自のフィールドを展開することでも知られている。
彼女が初めて客前に登場した「第2回 5期生お見立て会」から、その片鱗は顔を覗かせていた。自己紹介で「お菓子のASMRを披露したいと思います」と前置きをした川﨑は、エアーでお菓子を口に運び「おもち、もちもち。おまんじゅう、もぐもぐ。クッキー、さくさく」と、オノマトペや幼児語とも取れるトリッキーなズルASMRを披露している。
最近では「乃木坂工事中」で地獄の料理人になったり、バナナマンへ個性あふれる誕生日プレゼントを渡したりと大忙し。極めつけはSHOWROOM配信「のぎおび」にて、課金アイテムが続々と投げ込まれる様子を「レインボータイムだ!」と無邪気に喜んだのも束の間、「また始まった……」「わざとやってます?これ?」「レインボータイムが終わらないよ?どうして?」と、トークに集中できないという理由で投げ銭にキレ始めるという前代未聞のムーブをかましている。
そんな川﨑の個性は同期の目にもユニークに映るようで、奥田いろはからは「天然クレイジー」と言われ、池田瑛紗が5期生の名前をもじったオリジナル競走馬名を考案した際には「サクサククレイジー」と命名されている。
これらのことからも分かる通り、一度彼女のフィールドに足を踏み入れた者は、その奇想天外なチャームに釘付けになり、気づけば彼女に主導権を握られてしまう。努力で身についた身体能力×予測不可能なプレースタイルが織りなす火力は、見る者を楽しませてくれるに違いない。
また、右サイドは人をかけて攻略すると前述したが、その主な担い手たちこそ、川﨑・一ノ瀬・池田の3人である。彼女らは11th YEAR BIRTHDAY LIVEにて、ユニット曲『Threefold choice』を披露している。「誰を愛しているの?」と三者択一を迫る彼女たちにオタクが頭を抱えるように、守備者もこの3人に迫られた際には「誰をマークすればいいの?」と思考を放棄せざるを得ない。他にも31stシングルに収録された5期生楽曲では、川﨑桜をセンターに池田と一ノ瀬がシンメのポジションを務める。この3人の連携のとれたプレーは、『17分間』で試合を決めてしまう力を秘めている。
ちなみに前回のNogizaka FCではスタメンだった筒井あやめだが、再三述べているように右サイドはユニットを重視したため今回はスタメンに置くことが出来なかった。それでも筒井が「切り札」として出場した暁には「右と言われたら左へ行くんだ」と相手を手玉に取り、暴れてくれるに違いない。なにせ彼女は『ジャンピング “ジョーカー” フラッシュ』のセンターなのだから。
LWG 山下美月
山下美月は「anan No.2287」で「乃木坂46を一言で表すと?」という質問に「銀河」と回答している。これは乃木坂46がアイドル界における銀河系軍団であることを示している。
そんな銀河系軍団のなかで山下は新たな可能性を切り開くメンバーであり、数多の結果を残しているメンバーでもある。それはすなわちボールを受けた彼女がゴール方向に向かって切り込み、得点という結果を残すグループ屈指のストライカーであると解釈することができる。
思い返せば3年前、写真集の巻末インタビューで山下は次のようなコメントを残していた。
この言葉に代表されるように、彼女はその後「有吉ゼミ」の激辛企画や「あざとくて何が悪いの?」内の連ドラ企画に自ら出演を希望し、いわば逆オファーというかたちで出演権を勝ち取っている。その情熱は俳優業にも注がれ、BSテレ東からTBSプライム帯、朝の連続テレビ小説と着々と経験を積み続けた。そして彼女は今現在も俳優として、そしてグループを引っ張っていく立場として飽くなき挑戦心を燃やし続けている。
まさに乃木坂46の切り込み隊長である(そして物理的な斬り込み隊長でもある)。
山下がドラマで演じた役柄も振り返ってみよう。朝ドラ『舞いあがれ』では、結婚を考えていた相手に身分の違いから婚約破棄されるという辛い経験をし、反対に『弁護士ソドム』では変装や駆け引きを得意とする元結婚詐欺師を演じ、悪徳詐欺師と視聴者を骨抜きにしている。つまり、山下は芝居を通して、強い忍耐力と相手を翻弄するスキルを手に入れたのだ。そんな彼女と正対したDFがどうなるかは火を見るよりも明らかである。
そして駆け引きといえば、2021年に放送された「オールスター感謝祭'21 春」も忘れてはならない。彼女は高橋光臣、山崎銀之丞、山田裕貴とともに「本物の激辛麻婆豆腐を食べているのは誰?」というクイズ企画に参加。激辛を食べながらも控えめなリアクションをブラフに、多くのスターたちを欺いている(この並々ならぬ気概と演技力を纏ったフェイントに対応できた選手は、阿部寛、阿佐ヶ谷姉妹の江里子さん、ラランド・サーヤ、平手友梨奈の4人のみであった)。そして彼女はこの放送で総合優勝という名の個人タイトルを手にしている。山下は、Nogizaka FCが頂に立つことも夢物語ではない。そう思わせてくれる存在である。
CF 清宮レイ
清宮レイが天性のボックスストライカーであることは前回のnoteでも触れたが、今回は彼女の別の側面にスポットを当てよう。
清宮はしばしば「CM」と関連付けられることがある。「乃木坂どこへ」や「ラヴィット!」で満面の笑みで食リポをする彼女を見た さらば青春の光・森田や、麒麟・川島は「お前はCMきそうな笑顔してるな」「2本くらいCM決まったんちゃうか」といったコメントを寄せている。「乃木坂スター誕生」では名前を清宮と間違えられやすいという悩みに、ぺこぱ・松陰寺が「クリーンエネルギー清宮」というあだ名を授け、ゲストで出演していたサンプラザ中野くんは「たくさんCM来そうですよ」と評した。そして2022年に清宮は、遠藤さくらと共に「ディズニー★JCBカード」のCMに起用されることとなる。
これがサッカーと何の関係があるのかと疑問を呈する人もいるだろうが、サッカーにおける「CM」が指すもの。そう、セントラルミッドフィルダーである。強力なウイングと得点を狙えるインサイドハーフがいるからこそ、トップの清宮が中盤でボールを捌いたり、ゲームメイクに参加したりする「CM的」な働きは、チームにプラスの作用をもたらしてくれるはずだ。
今思えば2023年4月に行われたアンダーライブでセンターを務めた『自惚れビーチ』も示唆的なものだった。曲中では清宮が「カモン!カモン!カモン!」と会場を煽り、ファンがそれに呼応するという演出があった。これをCMタスクに置き換えると、清宮がトップから降り、前述した「乃木談」ラインや五百城からのパスをカモンカモンカモンと引き出したり、相手のセンターバックを「こっちおいで」と釣りだすことを暗示していたのではないかと思われる。
コンビネーション面に焦点を当てると、インサイドハーフの久保とは「女子三人旅全国ポスター貼り」で裸の付き合いをした気心が知れた仲であり、直近の「久保チャンネル」では久保が清宮に対して繰り返し好意を伝えている。また、左のウイングに位置する山下とは「チームヤマケン」の絆で結ばれている。右の5期生ユニットも強力だが、特別な関係を持つこちらにも注目だ。
そんな清宮だが、勝負ごとに真剣に向き合う姿は変わらず見せ続けている。件の運動会での闘志あふれる活躍ぶりは多くのファンの記憶に残っているのではないだろうか。「ラヴィット!」では、プロゲーマーの高橋名人と「Nintendo Switch Sports」のチャンバラ対決を行い、敗北。勝負にこそ負けてしまったものの、その時に見せた悔しさを隠そうともしない彼女の表情(と笑顔のギャップ)は、歴戦の目にも印象的に映ったようだ。
最近では「乃木坂工事中」のゲーム企画で、チャレンジ成功のために早川聖来と前のめりに作戦会議をする様子がカメラに映し出されたが、その様子はまさに2人のキャラクターを象徴するかのようなシーンであった。そして、2020年や23年に行われた4期生ライブでは、ライブの質を高めるために率先した働きかけを行ったこともMCで明かされている。
そんな「ガチ」が清宮の一つの魅力となっている一方で、このところの猫舌SHOWROOMや雑誌のインタビューでは「5年目でやっと働き方をちゃんとできるようになったの。うまく、疲れすぎず。」といったことや、目の前の仕事には全力を出す心意気を持ちながらも、今は無理なく自然な心持ちで活動できているとも明かしている(アップトゥボーイ 2023年7月号)。ゴール前で全力で足を振り抜く豪胆さも必要だが、ポゼッションを志向するこのチームでは、無理にシュートを撃ちボールロストをするのではなく、機を見て自然と巡ってきたチャンスをものにすることも大切になってくる。
ストライカーとしての天賦の才を持ちながらも、チームの攻撃を最大値に持っていく利他的な動きや、ピーキングを含めたセルフマネジメントの塩梅も掴んだ清宮。CFとしての幅が広がった彼女には、この先も「ぼくがかんがえたさいきょうのNogizaka FC」のトップに君臨し続けてほしい。
あとがき
以上が「ぼくがかんがえたさいきょうのNogizaka FC ver.2023」となる。前回に続き多くの楽しみと僅かな虚無が混ざった執筆期間ではあったものの、オフシーズンの気持ちを紛らわすという意味では価値あるものであったと思いたい。
一番苦慮したのは右のユニット。小川彩と一ノ瀬美空の強力ユニットを採用するか否か。中西アルノを巡る井上・川﨑との三角形も捨てがたいなど、ビッグクラブのマネジメントの難しさを痛感することも少なくなかった。
また、新たに加入した5期生で身長が160cm以上あるのは、五百城・冨里・池田の3人のみ。しかし、冨里の先輩にも物怖じしない積極性は前線に活かしたい。比較的高身長メンバーが多い4期生は中盤向きの選手が多い、などの理由から乃木坂46メンバーにはセンターバック向きの人材が不足していることにも気づかされた。来る6期生オーディションではセンターバック審査も実施してほしいところである。
現在、乃木坂46は久保史緒里や黒見明香を筆頭とした「乃木坂野球部」が精力的に活動している。一方サッカー関連は、ブログで川﨑桜がチェルシーとハフェルツを紹介をしたり(移籍しそう)、岡本姫奈が横浜・F・マリノスのベンチコートを着た写真を掲載したり(言及無し)、早川聖来が唐突にカヴァーニと自撮りしたがったり(4年前)と、細い糸をよすがとしているのが現状である。いつの日か「乃木坂サッカー部」が創設されることを夢見て、このnoteを終えたいと思う。
2023年6月22日
エメリンゴ
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