2023年読んだ雑誌とかでいっちゃんいいやつ決めようや!な話
2023年も乃木坂46メンバーが掲載された雑誌等をモリっと買ったので、その中から個人的に好きだったグラビア、インタビューを各5本(+α)選びました。夏休みの読書感想文よろしく先延ばし先延ばしにしていたら2月になっていました。びっくり。居残り授業は甘んじて受けるつもりです。
2022年の総括はこちら。
インタビュー5選
No.1:B.L.T.2023年3月号
久保史緒里(文:小畠良一)
過去にも久保史緒里さんからセンターを目指しているといった発言を見聞きすることはありましたが、ここまでポジション観に深く言及しているのは珍しい気がします。
このインタビューの半年前に開催されたグループ史上最大規模の祝祭、10th YEAR BIRTHDAY LIVE を見ても、既に彼女がグループの支柱になっていることは自明のことでした。それでも久保てゃんはポジションにまつわる文脈から「乃木坂46の大事な局面を任せてもらえる人間でありたい」と語っています。慎重に言葉を紡ぐ人が確固たる決意を伴った言葉で拘りを見せているのは素直に応援したくなります。
そして、久保史緒里さんのインタビューは過去の発言と強く紐づいていることが多く、それが一つの醍醐味となっています。
これが現在まで続いているかは分かりませんが、このような習慣からも本人の思考が整理されていると感じることが多々あります。だから久保史緒里が語る久保史緒里はおもしろいし、線で追うことにバリューを見出せる人だと感じます。
「BRODY 2020年6月号」では、「変わらずにいてね」が好きな言葉だと答えていた久保さんですが、今回同様の話題になり「変わらないね」と言われることが嬉しいと綴られています。2020年当時はその変わらないものを見つけることが目標・課題であると口にしていましたが、3年後の今では活動の中で感じる悔しさを抱えながらも、腐らず、諦めずに続けてきたことを変わらない自分の良さだと語られていました。
また、2019年発売の「blt graph. vol.53」では、 3・4期生ライブのリハーサル中に言葉で周囲のメンバーの襟を正したこと、それに対する自省を零していた久保さん。
そして本号では、改めて言葉ではなく背中を見せるかたちで後輩たちに道標を提示しようとする意思が見受けられます。約4年前に理想としていた先輩像をリトライした結果、実際に後輩の口から彼女を慕うエピソードが散見されていること。そして、上記の思考と合わせて、過去の目標を現在進行系で回収している姿にグッときました。
そんな読み応え抜群のインタビューの締めは「ポジションは諦めていないです!」という宣誓。この一冊が発売された1か月後、彼女が望むかたちで大事な局面を任されたことに胸が熱くなったことは言うまでもありません。
No.2:B.L.T. graduation 2023 高校卒業
筒井あやめ(文:大久保和則)
高校卒業という一つの節目を迎えるにあたって定番の質問ではありますが、彼女の性格を如実に表しているような回答が非常に良かったです。
あやめちゃんは自分がポジティブである(気持ちの切り替えがうまい)ことを自負していますが、猫舌SHOWROOMで清宮レイさんが「ジェットコースターみたいな仕事だけどさ、ずっとそれを体幹で乗りこなしてる感じ。」と分析していたのがおもしろいなーと思った記憶があります。芸能界のグループアイドルという特殊環境下でブレない軸を持ち続けることの難しさは推し量ることしかできませんが、それを体現してしまうところに彼女の器の大きさを感じます。
私が追っているアイドルたちからは、アイドルになるきっかけや、アイドル活動を通して、そして人生における節目で内面的な変化を望む声を聞く機会が決して少なくありません。
もちろん、変わる/変わらない/変わりたいに良し悪しはないですし、これを誇張し全ての事柄に当てはめるべきではないことは理解しているつもりですが、あやめちゃんの上記の回答は乃木坂46というコミュニティにおいて際立って聞こえました。
高校を卒業するにあたって綴られたこの一文も、彼女のパーソナリティに通底しているように思えます。
思い返せばあやめちゃんは大園桃子さんへの好意を何度も口にしていましたが、卒業にあたって認められた思いにも好きな人の在り方を通して自分を眼差す様子が見受けられました。
そして彼女らと同じ輪の中にいるであろう清宮レイさんとあやめちゃんが特別な関係を築いていることは改めて自然な結びつきであるように思います。私は自分の価値観や感性に意識的で、それを大事にできる子をアイドルという枠組みを取っ払って尊敬してしまうのです。
No.3:B.L.T. 2023年5月号
池田瑛紗・一ノ瀬美空・小川彩(文:小畠良一)
あやみくぱんのテンポの良い会話劇、そして出てくるエピソードも情景が浮かんでくるようで読んでいて楽しかったです。
そのなかでも、三人が互いの性格や仕事への姿勢を語っているパートは特に読み応えがありました。小川彩さんや池田瑛紗さんが努力家であることに議論の余地はありませんが、そこから池田瑛紗さんが「自分は努力で得意を伸ばすタイプ」で、小川彩さんは「努力で苦手を克服するタイプ」といった努力観の違いを分析しているのがおもしろい。そして、他誌での発言を見ても納得できる部分が大きいと感じます。
そして一ノ瀬美空さんの視野の広さや対応力の高さも、もはやパブリックイメージとなりつつありますが、そこに対して各々が思いを肉付けしていたのもよかったです。小川彩さんが「俯瞰的に見れるからこそ損な役回りも多く引き受けているんじゃないか」と考えを巡らせている点も印象的でした。
それに対する一ノ瀬美空さんのアンサーは、過去のブログと繋がっているように思います。
表舞台に立った時の振る舞いを見ていると非常にクレバーな印象を受ける彼女だからこそ、こうした愚直な一面は輝きが増して見えます。
また、二人から「たまに悩んでいる姿を見る」と明かされた一ノ瀬美空さんが放った「そりゃ落ち込むこともありますよ、人間だもの(笑)。なんでも思い通りになるような、ぬるい人生を歩んでいる人なんていないですから。」という飾らない言葉もめちゃくちゃ好きでした。なんでも思い通りになることを「ぬるい」と表現していることからも、彼女が通ってきた道程には、轍などではなく多くの足跡が刻まれているのだろうと想像できます。
そして本号では小川彩さんから、「アップトゥボーイ 2023年6月号」では田村真佑さんから、自分が思い描く理想像がはっきりしている子だと評されている一ノ瀬美空さんですが、「EX大衆 2023年3月号」では「私が理想としているアイドルに、そういう(注:落ち込んでいる姿を見せる)部分はいらないかなって(笑)」とまで答えています。
影の努力や沈む気持ちを抱えながらも、それをあまり表出させないことが彼女なりのポリシーなのかもしれません。しかし、このような側面を持っていることを知れるだけでもインタビューに特別な価値が生まれると実感します。し、一ノ瀬美空さんはそのあたりの等身大の感情を雑誌のインタビューでは語ってくれるのが個人的に嬉しいです。
というわけで、自分の話題になると謙遜の言葉が目立つのに仲間のこととなると饒舌になる。そんな愛おしさに溢れる彼女たちの軽快かつ芯を食う発言も見られた鼎談は非常に満足度が高かったです。
これ余談なんですけど・・・小川彩さんから割を食うことが多いのではないかという思いやりを受ける一ノ瀬美空さんですが、「新・乃木坂スター誕生 #36」では、菅原咲月さんを「投げられたパスに全力で返すから責任を負わされることがある」と紹介していました。プロセスは違えどどこか共通点を感じるような。そして「EX大衆 2023年 3月号」や「月刊エンタメ 2023年6・7合併号」では、さっちゃんと自分は似たタイプだから真面目な話や本音で話すことが多いと語られており、二人だけで共有される繋がりが少し見えた気がしました。
No.4:乃木坂46新聞 2023
遠藤さくら・賀喜遥香・井上和(文:横山慧)
周囲から彼女への信頼に基づいたイメージ、そして何よりも本人の責任感の強さとそれらを真正面から受け止めていたことで作り上げられた井上和像があるが故に、彼女は後輩ならではの未熟さよりも異質な風格が目についてしまいがちだと感じます(注:最近は自らの感情にフォーカスを当てたり、周りが多角的に彼女のパーソナリティを引き出そうとする機会が増えたように思います)。
そんななかで、「できる」イメージの根幹に触れてくれる賀喜遥香さんは素敵先輩だと感じました。ディティールは異なれど、なんでもできる「ミスパーフェクト」なんて十字架じみた二つ名をつけられたことのある人だからこその説得力もあります。また、和ちゃんの「大丈夫です」に対して「大丈夫じゃないでしょ?」と踏み込んでいるのもよいです。「大丈夫じゃない人こそ『大丈夫』って言葉を使う気がして…(笑い)」という言葉や、井上和さんに対する賀喜遥香さんのフォローを見ていると、まるで過去の自分をトレースしているようにも映ります。
そしてもう一人のお相手、遠藤さくらさんは「大丈夫だよ」とスッと傍で寄り添うかたち。乃木坂工事中の「お歳暮企画」や「BUBKA 2024年2月号」で五百城の茉央さんも同様のアプローチを受けたことを明かしていましたが、お世話になった人との別れを経た遠藤さくらさんに、その ”タイミング” が訪れていることに感慨深くなりました。(偏向的抜粋)(そして昨年あたりから遠藤さくらさんの頼もし前向き発言が顕著に増えてないですか?)
他にも井上和さんが神宮公演では雨が降ってほしいと語っていたエピソードもおもしろく、その理由を次のように語っていました。
神宮の雨といえば乃木坂46の一つの定番ではありますが、それを通過儀礼として捉えているのは象徴的だなと。以前、久保史緒里さんが「3期生で過酷なヒット祈願をしたい。最大級に大変なのをやるべきなんだよ。それでやっと一員として感じられる気がする(『久保工事中』)」と零していたことに通ずるものがあると感じました。
そういったものを契機に自分が憧れていたグループの一員であることに納得感を持たせようとする気持ちは想像できますが、当然ながら滝行をせずとも、神宮で雨が降らなくとも、乃木坂46としての存在意義が問われるわけではありません。実際に雨、降らなかったしね。ただ、そこに縋る気持ちを持っている人がいたからこそ、キャプテンの口からまやかしではない意志を含んだ「私たちが乃木坂46です!」という宣言が発せられたことがとても意義深いことであり、真に必要な通過儀礼だったように思います。
そしてキャプテンといえば、同誌に掲載されている梅澤美波×山下美月対談で触れられているエピソードも目に留まりました。
こちらのブログと合わせて、当時の温度感が伝わってきて、それだけでもジーンとくるものがあります。私はアルノのどこまで計算され修飾されているか分からない不器用でカッコつけな言葉たちにどうしようもなく魅了されてしまうのです。
アルなぎの関係性といえばしばしば恋愛トークショーを見ているかのような文脈で語られたりもしますが、この二人からは如何とも形容し難い特別な紐帯を感じます。雑誌関連で言えば、B.L.T. 7月号・8月号の「5期生メンバーのイケメンエピソードを教えてください」という質問に、互いの名前を挙げていたことも記憶に残っています(「弱っている人に奮い立たせるような言葉をかけてくれる」井上和さんと、「へこんでいる時に何も言わずにそばにいてくれた」中西アルノさんという各々のパーソナリティが表れているのも好き)。
2023年は井上和さんの年でした。様々な媒体で彼女の気持ちを見聞きする機会も多かったのですが、それと比例するように周りの人々との繋がりを感じる機会も多かったように思います。前述のかきさくやアルノをはじめ、菅原咲月さんであったり、梅澤美波さんであったり、久保史緒里さんであったり、与田祐希さんであったり、見えないところでもきっと。様々なかたちの優しさに触れ、井上和さんが言うところの「1人じゃないと気づいた」尊い年でもあったのだろうと感じます。
大賞:月刊エンタメ 2023年12月・2024年1月合併号
柴田柚菜(文:大貫真之介)
このインタビュー単体でも申し分ないのですが、これまでの語りを総括したような内容と、そこに至るまでの2023年に訪れた柴田柚菜さんの心の移り変わりを感じられたことが大賞の理由になります。
ここ数年の柚菜ちゃんのインタビューを読んでいると、(インタビュアーの関心もあり)毎回と言っていいほど「歌」と「自信」が紐づけられており、彼女自身そのことに頭をもたげていた印象があります。
このように、とにかくめちゃくちゃ多いのです。ライブで歌唱パートを任され、ファンからの期待に十分応えているように見えても、彼女の内面では自信のバイオリズムが上下していることが見て取れます。しかし今回、少し違った毛色の思いを聞くことができました。
このマインドセットに至るまでのヒントは本号の序盤にも見られました。ひとつ念願だった『Never say never』を神宮で披露できた喜びを語っているのですが、それと同時にやりたいことは「無理だろうな」という思いが先行してしまうこと、そんな後ろ向きな思考から脱却している途中であることを明かしています。
そして、時計の針を年明けまで戻すと、彼女は成人式の絵馬に「今、たのしむ」と願いを込め、その理由を次のように答えていました。
この絵馬を認めるにあたって、アイドルとしての在り方について自問自答していたことが後に「B.L.T. 2023年10月号」で明かされています。
ツアー終わりのブログからも、絵馬の目標を意識し活動に落とし込んでいることが伝わってきます。こうしたことからも、自分との対話を経て導き出したアイドルとしての生き方が、彼女の歌へ向き合う姿勢にもゆっくりと、しかし確実に反映されていったのではないかと推察できます。
10月に配信された「のぎおび」では依然として「歌に自信はない」と感情の揺れを口にしていた彼女ですが、同時に歌うことが好き、楽しいという思いや、自分の歌声が以前よりも好きになれているといったポジティブな言葉も聞くことができました。
そうして自信とはまた別の、今を楽しむことに軸足を置いた言葉に、そして視界が広がったかのような言葉に胸を打たれましたし、これから更に彼女のステージ上での煌めきは増していくのではないかとワクワクします。そして何よりも、この1年を通してアイドルを楽しむ気持ちが根ざしたのなら、それほど喜ばしいことはありません。
このインタビューをもってここ数年の柴田柚菜さんをめぐる「歌」と「自信」についての考えに一つのピリオドが打たれたように思いますし、彼女のアイドル史を振り返ったとき、2023年がある種ターニングポイントになるのではないか、そう感じる一冊でした。
これ余談なんですけど・・・上記のインタビュー群の中には、オーディション以前に感じていた歌うことや、更に根源的なアイドルになりたかった頃の気持ちを引用されていることも多いのですが、7月に更新されたブログでは「最近私らしさを取り戻してきたような気がします/ポジティブな明るい私」と綴られています。このことから、今回の心境の移り変わりは「変化」というよりも「回帰」に近いのかもしれません。
これ余談の余談なんですけど・・・最後には同期の清宮レイさんの話題から、彼女の「好き」や「自信」を口にできるところを尊敬する様子が語られています。私はレイ・セイミヤの自己受容精神に何度も心を動かされているオタクなのですが、そういったマインドを周囲に波及させる力であったり、彼女が持つ陽の伝播力だったりはやはりスペシャルなんだなと実感させられ、とっても嬉しくなっちゃいました。
次点
B.L.T. 2023年4月号
岡本姫奈(文:大久保和則)
岡本姫奈さんが舞台に立つ感覚は、他のメンバーからは聞くことのできない独自のものがあると感じました。インタビュー後半を要約すると、ふとした時に他人に見られるのはあまり得意ではないけど、カメラやライブでは集中してゾーンに入り、「見られる」より「見せる」意識が働く。それは幼いころから変わらず、バレエの練習中は「見ないで!」という思いがあったけれど、本番は多くの視線を集める状況でも楽しめる、といった話でした。
彼女のアスリート的思考は加入前のキャリアを見れば説得力がありますし、そういった経験と思考の積み重ねが舞台上で立ち現れるからこそ、岡本姫奈さんのパフォーマンスに惹かれてしまうのだと感じます。また、「アップトゥボーイ 2023年3月号」で語られていた「私にとって努力は報われるためにするのではなく、自信をつけるためのもの」という考えと合わせて、表現者としてのバックボーンが見えた気がします。岡本姫奈さんや川﨑桜さんといった人から聞くアスリート由来の考えや、それをアイドル活動と交差させたインタビューは読んでいてシンプルおもろい。
TRIANGLE magazine 01
山下美月・賀喜遥香・井上和(文:宮田英一郎)
三人ともにデビュー前のパーソナルな(それでいて現在のアイドル活動の根幹となるような)部分に触れられている良いインタビューでした。ちなみにグラビアは良くも悪くも「THE 講談社」。
山下美月さんパートは、今の立場に相応しいような堂々たる受け答えが聞ける一方で、AKB48(大島優子)に目を輝かせていた小学生時代の個人史まで聞けたのが嬉しいところ。
俳優業での躍進については、年明けのモデルプレスの記事と合わせて、アイドル活動と両立させることへの拘りとグループを引っ張る存在としての矜持を強く感じました。また、同誌に掲載されている後輩二人にも思いを寄せているのですが、賀喜遥香さんについて最後に「身体に気を付けてくれたら、ほかに何も心配することはないです」と語られていたのが印象的で、他意はないにしろ現場レベルではどの程度見えているんだろう、と思った覚えがあります。
賀喜遥香さんパートは、序盤にアイドルを夢見ていた子ども時代から、その気持ちに蓋をして生きてきた思春期、そして乃木坂46との出会いなど語られているのですが、晴れて乃木坂46という環境に身を置くことになって「だいぶ生きやすくなりました(笑)」と零していたのがとても響きました。少しでもこの思いに共鳴するメンバーがいたら嬉しいし、応援する人が属するコミュニティは、そういった人をすくい上げる土壌が形成されていてほしいとも思います。
他にも、過去の自分を肯定できるようになった経緯を他人への優しさに見出しているところも賀喜遥香さんらしい。また、自分を含めた4期生が「普通の子」「まとめ役がいない」といったことは「B.L.T. 2023年10月号」でも語られていますが、4期生が中心となり物事に当たる場面が出てきたときには、「さくちゃんに声をかけて巻き込むと思いますよ。さくちゃんと一緒ならできる気がするんですよ」とコメントしているのもアツい。
この一冊に限りませんが、井上和さんは自身を「面白みに欠ける」「ザ・平均」と評す場面が割と多く見受けられ、適切な自己評価ができているか些か疑問符が浮かぶことがあります。ただ、彼女の言葉の端々からは決してネガティブではない冴えた分析をする人でもあることが伝わります。
また、井上和さんの真面目イメージを解きほぐす5期生の存在についても語られているのですが、「優等生でもないし、しっかり者でもない。じつは抜けているところがある天然タイプだよね」という同期からの言葉を想像した時、彼女が持つ別の側面を共有させようとする純粋なタイプと、優しさの中に嫌みのない冷笑を混ぜこむタイプ、どちらも想像できてしまうのが5期生の好きポイントだったりします。
ちなみに「EX大衆 2024年1・2月号」で34thシングルのポジションについて問われた際に、「安心感のあるポジションではあるけど、表題曲でシンメができたことがないのは寂しいですね(笑)」というパンチラインを放てる人が「ザ・平均」であってたまるかいという思いは、無粋な上にそうじゃないだろ感が強いので捨て置きます。
東京カレンダー 2024年2月号
山下美月(文:Yoshie Chokki)
インタビューはウェブからも読めます。なんといっても一ノ瀬美空さんとのエピソードが感動的でした。一ノ瀬美空さんといえば、山下美月さんと食事に行く車中、緊張のあまり呼吸すらままならないといった話を告白しています。それだけに、手をとって励ましの言葉をかけることが彼女にとって気軽な行動ではないことが想像できますし、そうしたなかでも憧れの人のためならば一歩を踏み出せる人であるという事実に胸を打たれました。
そして山下美月さんが、かけられた言葉以上の一ノ瀬美空さんの真意まで汲み取っているからこそ誕生した美談だと思います。仮にその瞬間が収められた映像があったとしても完全には伝わらない、彼女たちの関係性や当時の心境までを包括的に見たからこそ心に染み渡る温かいエピソードでした。東カレは結構良質なインタビュー提供しがち。
グラビア5選
No.1:B.L.T. 2023年3月号
久保史緒里(撮影:前康輔)
インタビュー部門でもノミネートした一冊はグラビアも素晴らしかったです。「ヤングジャンプ 2023年6月号」の久保史緒里(なつのすがた)と迷いましたが、久保史緒里×雪という逃れられない親和性の高さに屈しました。写真集『交差点』でも似たシチュエーションのカットがありますが、それぞれカメラマンの色が出ていておもしろいですね。どちらも秀作です。
「Love Letter 今、伝えたい想いがある」というコピーも、『今、話したい誰かがいる』じゃん。久保ちゃんといえばお手紙じゃん。『ラブレターの代筆』じゃん。『Love Letter』といえば岩井俊二じゃん。ブログで『ラストレター』のお話してたじゃん。と連想できてよかったです(?)
No.2:B.L.T. graduation 2023 中学卒業
小川彩(撮影:HIROKAZU)
3月時点で「これ今年のナンバーワンが決まってしまったのでは?」と冗談半分で言っていましたが、結果的にワンツーを争うくらい良かったです。単なる同級生ではなく学生寮を離れ上京するという要素を加えることにしたのですが(したのですが?)(新解釈)(以下略)。
純粋なかわいさでぶん殴られ続けるのはもちろんのこと、彼女の実直なパーソナリティを知っているが故に切ない表情を見ると本当に切なくなりました。「君と別れる1日前」というコピーは卒業をテーマにした特集では比較的ありがちではありますが、小川彩さんが被写体になることで写真たちに奥行きが生まれて、笑顔のカットでさえ胸が締め付けられます。3年後の高校卒業も楽しみですね。
No.3:B.L.T. 2023年6月号
冨里奈央(撮影:HIROKAZU)
はじめはノミネート候補ではなかった(失礼)のですが、この記事を書いている途中に何度も望遠鏡を掲げ遠くを見つめる冨里奈央さんの表情が脳裏をかすめ、記憶に残る1ページがあるということは良いグラビアだったのだろう!と考え選出。彼女の場合、写真家と被写体という二つの顔が相互作用していたりするんでしょうか。彼女の名刺にもなるような笑顔のカットはもちろん、その他の表現も目を引くものがあり、彼女が生み出す振れ幅が魅力の大きさに繋がっています。
ちなみにインタビューでも笑顔以外の表情についても自信を持っている様子が窺えるのですが、それを2か月後に公開された『考えないようにする』a.k.a 2023年ベストMVで余すことなく証明しているのもよいです。
No.4:B.L.T. SUMMER CANDY 2023
菅原咲月(撮影:HIROKAZU)
これはもう菅原咲月さんが纏う青春の磁場が強すぎます。特に前半の都会のビル群に囲まれながらハンディファンを手に涼む姿は彼女の解像度が高すぎて最高。また、半袖のカッターシャツに汗を拭う姿から容易に夏が連想されますが、菅原咲月さんが持つカラッとした特性がそれを更に後押ししており、誌面から夏の空気まで伝わってくる感覚を味わえます。
菅原咲月さんといえば個人PV『何も知らないくせに(笑)』で多くのオタクたちにありもしない過去の記憶を植え付けたことで知られていますが、このグラビアでも遠い存在でありながら近くに感じてしまう、彼女にしか成しえない不思議な引力がありました。
大賞:B.L.T. 2023年10月号
柴田柚菜(撮影:小財美香子)
2023年の大賞はこちら。2年連続で(そしてインタビュー部門も)柴田柚菜さんを選出しているのは個人の嗜好が色濃く反映されている気もしますが、贔屓目抜きにしても素晴らしいグラビアでした。
まず1ページ目(Xリンク画像3枚目)から柚菜ちゃんの綺麗な顔立ちを際立たせるような陰影の美しさに魅せられました。アイドルグラビアにおいて、レタッチされた綺麗すぎる質感は時に綺麗ではないと思うことがあるのですが、このグラビアはざらついた質感を含むカメラマンの趣向と、被写体からスタイリング、ロケーションまでもが全体を通して無駄なくマージされていると感じました。
乃木坂46関連ではお名前を聞いたことがなかった小財美香子さんを知るきっかけにもなったのも嬉しいところ。こちらの久保史緒里さんもとってもいいよ!優勝!
次点
BUBKA 2023年5月号
五百城茉央(撮影:HIROKAZU)
下手に味付けをすれば本来の魅力が霞んでしまう(なのでメンバーが撮る五百城茉央さんがめちゃくちゃ良い)、乃木坂46の中でも撮るのが難しいであろう五百城茉央さんですが、このグラビアでは余計なものが削ぎ落とされたうえで、彼女が持つ唯一無二の佇まいを巧みに掬い上げているように思います。
装苑 2024年1月号
池田瑛紗・井上和・川﨑桜(撮影:矢吹健巳)
エレガントな装いと三人のお顔の強さがシンプルに美しくて目を奪われます。特にベビーフェイスな川﨑さくたんさんとヘアメイクのギャップは強烈で、これまでとはまた異なった意味で有為な人だと思わされました。また、三人と衣装やアクセサリーとのバランスも絶妙で、モデルとしての本分を十二分に果たしているように思います。
B.L.T. 2024年1月号
筒井あやめ(撮影:細居幸次郎)
一枚のカットから物語が生まれるんじゃないかと思う写真の連続。そして細居さんの光のあしらいとあやめちゃんの憂いの空気感が見事に混ざり合っていて最高でした。ちなみに2023年の表紙 of the yearを決めるとしたら、あやめちゃんが表紙を飾った「bis 7月号」と「B.L.T. 2024年1月号」は確実に優勝候補として挙げるでしょう。
あとがき
写真集と同様に選考外にしましたが、インタビュー集である『10年の歩み』は簡約ではありますが、タイトル通りグループの歴史や個々人の心境を体系的に追えてよいです。特に4期生ライブ2020で起こった11人と5人の気持ちの擦り合わせや、後輩が加入する際の各々の気持ちなどは、当時語られていなかった部分まで補強できて読み応えがあります。そして、全体的に山下美月さんから俯瞰した語りが見られるのですが、その中でも「おわりに」で語られている4期生評に鋭さと心強さを感じました。
ということで今年もインタビュー、グラビア共に「B.L.T.(東京ニュース通信社系)」が他誌と比べ頭一つ抜けたクオリティでした。ちなみに2023年のベスト絵本賞は『いろ達のなまえ(作・編集:北川悠理 絵:遠藤さくら)』なのですが、こちらの書籍化もマジのガチで切望しています。あと乃木46公式Twitter(現X)はメンバーが雑誌の表紙飾った時くらいはちゃんと告知しよな!おしまい!
2024年2月15日
エメリンゴ
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