iPhoneとカメラレンズ
スマホカメラでカメラで撮ったかのような──表現が難しい(^^; 被写界深度が浅いとか、交換レンズの焦点距離効果が活かせるとか──ないものねだりのような撮影願望です。
すぐ思いつくのはDOFアダプタですが、高額そうだし、レンズ側マウントも限定されそうなので、他の方法で考えてみました。
MILTOL スコープアイピースキット
KENKO (今はKENKO TOKINA)にスコープアイピースキット という製品があります。以前はNIKON Fマウント用 / CANON EOSマウント用 / Tマウント用の3種が販売されてましたが、現行はTマウント用のみ、接眼レンズも付属のMT22(焦点距離22mm)以外は入手が難しそうです。
交換レンズ焦点距離 ÷ 接眼レンズ焦点距離(22mm) × 2.4 = 倍率
天体望遠鏡の倍率計算と似たような式ですが、最後の×2.4はアイピース前の補助レンズとか正立プリズム部分の数値かと。
手持ちのカメラレンズでフィールドスコープを楽しみましょうというコンセプトなので、×2.4がないと50mmだと2.3倍、屋外スコープとしては物足りないということでしょう。計算上50mmレンズで×5.45倍、90mmレンズを付ければ ×10倍近いスコープになります。
にしても、本体だけだと240gくらいのもんですが、NIKKOR-S F:1.4/50mm付けて 550gほど、手持用のグリップとか付けると600g超えます。全長で約16cm、太い部分で直径6.8cmほど。
単眼鏡としては大ぶり。屋内でオペラグラスがわりには大層で重い。
ますます大層になりますが、上写真のTASCAMレコーダーはバンド練習時に使っていたもの、野鳥観察とかの趣味があれば、観察しながら録音というスタイルです。
まぁ、そういう趣味も機会もなく死蔵品となってしまっていたわけですが、スマホでコリメート撮影みたいに使えないものかとふと思った次第です。
先述の通り、50mmレンズを付けると約5.45倍。iPhone 12miniのカメラ(換算26mm)に無理やりマウントできれば140mmくらいの中望遠効果が期待できそうです。500mmだと実用性はともかく、その10倍 1400mm相当。
スマホレンズ用クリップ(37mm径) +ステップアップリングをガイドにして、望遠鏡用スマホアダプタで押し付けているだけなので光軸とか接眼レンズからの距離とかアバウトです。ちょっとしたばずみでスマホとの位置がズレて画像がケラれたり歪んだり。もっとしっかりとスマホ取り付けできるアダプタがあるのかもしれませんが、製品情報をみる限り、スマホ撮影は考慮されてないようです。
なにより重いし、デカいしで、スマホカメラとしてお気楽に使うには少々難ありです。
もう少しイメージサークルが広ければとは思いますが、これはMT22アイピース視野の問題で、他の選択肢がないのであきらめます。
ただ、これをヒントにもう少しコンパクトなアダプタを考えてみました。
L39スマホ用アダプタ
勝手にネーミングしてますが、対物レンズ(この場合カメラレンズ)と接眼レンズをセットしてコリメートで撮影できるもの──それもなるべくコンパクトに──ということであれこれ試してみました。
組み合わせるだけなので自作アダプタという程のものでもないです。
材料と手順は
L39マウントのレンズ + L39→M42変換リング
1.25インチアイピース(今回は焦点距離:15mm)
M42延長チューブ(今回は長さ28mmのもの)にアイピースを取り付け
延長チューブ内部にアイピースを固定。(レンズをセットした時に無限遠が出る位置に。ヘリコイドで調整するので多少オーバーインフでもOK)
M42ヘリコイドリング(25-55mm)
アイピースをセットした延長チューブとレンズをねじこむ
スマホレンズ用クリップ(37mm径用)+ 37-42mmステップアップリング
M42ネジとステップアップリングのネジピッチが違うが、動かなければいいかなという程度
必要であれば、望遠鏡用スマホアダプタでさらに固定
③のアイピース固定といっても、薄いクッションシートを巻いているだけなのでかなりアバウトです。精度を出すなら、ネジ穴でもあけて3点保持とかの必要があります。
これで本体200g程度、INDUSTAR-69 f:2.8/28mm みたいなパンケーキレンズだと付けた状態でも240gちょっと。クリップ除いた全長で7cmほどに収まります。
ヘリコイドが3cm延長可動なので、かなり近接もOKです。
ちょっとデカいスマホ用レンズと見えなくもないですが、iPhone 12miniくらいだとレンズ側だけを持っていてもなんとかクリップで保持できてます。
(落下には注意が必要ですが)
難点は、正立プリズムがないので天体望遠鏡と同じように180度回転の倒立像になること。アプリ側で正立に戻さないと使いにくいです。
フランジバック(以下:FB)の差を埋めればM42のレンズでも同じことはできそうです。M42マウント(FB:45.5mm)、L39マウント(FB:28.8mm)と結像ポイントの差が16.7mmあるので、ヘリコイドの可動域の大きいものか、その分のチューブを追加すれば、M42のレンズも利用できそうですが、それだけ大きく重くなるので、またの課題にします。
接眼レンズ側はSVBBONY 15mm
Kenko ScopeEye Kit のT22アイピースよりはケラレも少ない。
先頭からIndustarの28mm + アイピース15mm + iPhoneの4.2mm(35mm換算26mm)と広角を重ねてるからか綺麗なボケとはいかないが、これくらい寄ると背景分離するくらいにはボケてくれます。ヘリコイドチューブをかましているおかげで、もっと至近まで寄れますが、それだとスマホ用マクロレンズで写すのと大差ないので使い方は悩むところです。
少し引いてケラレ分デジタルズームイン状態(×1.2)
換算60mmくらいの画角、F2.8開放ですが、カメラの標準単焦点レンズのようにはいきませんね。F8あたりまで絞った感じ?
ノーマルiPhone 12miniで26mm相当、右は40mmレンズ付けて換算約70mm相当。約2.67倍の望遠となりますが、単に大きくという話だったら、スマホ用×2とか、さらに高倍率のテレレンズもあります。
レンズ交換ができるところが取り柄、といっても広角向きではないですし、標準域〜中望遠の望遠効果を狙うとか、レンズの味みたいな自己満足ができればいいのかもしれません。
上は富士のデジカメ(APS-C)+フォーカルレデューサーありで換算52.5mm
下は今回のアダプタ + F4の40mmレンズ
それほど明るいレンズではありませんが、それなりに背景ボケしてくれます。
焦点距離50mmのレンズだと3.33倍、iPhone 12mini に付けて換算約87mmの画角。だいぶ中望遠ぽくなってきます。
「スマホでも交換レンズ!」には違いないのですが、「それがどうした(^^;)」と自問しないといけない遊びではあります。