ニキビができ始めの小学校高学年の子のお父さんお母さんに。真剣なお願いです。
これは私が皮膚科医人生を通して言い続けたい事の一つです。
思春期はもちろん全ての年齢のお子さんをお持ちの保護者の方に知っていて欲しい事です。
小学校高学年の子がニキビで受診します。
よく「朝晩2回、洗顔料を使って洗顔してる?」と質問します。
「ほら、正直に言いなさい〜」とお母さんに言われながら、
「入浴時の1回だけかな、朝は水でちょいちょいっとするだけ」
と恥ずかしそうに笑いながら教えてくれます。
その姿はとても可愛く微笑ましい。
でもニキビ肌には洗顔は必要です。
小学校高学年のニキビは、きちんと洗顔するだけで改善する事も結構あります。
この頃のニキビは、小さい頃は少なかった皮脂が、思春期になり急に分泌されるようになったのが主な原因。
皮脂をしっかり洗い落として毛穴が詰まらないようにするだけでも、すごく良くなる事があるのです。
もう少し年齢が上がると、寝不足やストレス、髭剃りや性周期、メイクやクレンジングなどの影響、など様々な要因が絡んできます。
ニキビは繰り返すうちに、大きいニキビができて痕が残るようになります。
高校生くらいになると顔全体に赤いニキビ痕がある子がいますが、ニキビ痕には通常のニキビ治療ではほぼ効果はありません。
10代後半は、他者の目に映る自分への意識が最も強い年齢です。
目立つニキビやニキビ痕は、人間関係はもちろん学業やスポーツに対する積極性にも影響を与えます。
ですからお父さんお母さんにお願いです。
ニキビは「たかがニキビ」ではありません。
小学校高学年のニキビ初心者の時期に「たかがニキビ」と考えずに、ぜひ治療を受けさせてください。
軽いうちに治した方が後遺症は少ないのはどの疾患でも同じ。
ニキビも例外ではありません。
お父さんお母さんに「ほら、ちゃんと薬塗らないと!」と言われて素直に聞けて、一緒に洗顔料を選んだりできるうちが絶好のチャンスです。
軽いうちに治すことの大切さ、正しいスキンケアと治療法。
これらをニキビ初心者のうちに身につけて欲しいのです。
ニキビで重要なのは痕が残るか残らないか、です。
私は大人になった後に、ニキビ痕に対して自費の美容治療を受け、今は気にならない程度になっています。
皮膚科医である私は正しい情報が入手できますが、一般の方が美容治療を受ける時のハードルは高いでしょう。
どんな事をされるのか、恐ろしく高額なのではないか(実際は聞いて決めれば良いと思いますが)、色々考えて二の足を踏んでしまう人も多いでしょう。
だから痕になる前に治療を受けて欲しい。
ニキビは治療を受けるべき皮膚疾患だとお子さんに教えてあげて欲しいのです。
皆さんのお子さんが、将来ニキビ痕に悩む事がないよう、心から願います。