生理だって十人十色
「生理をハッピーで快適に!」
「多い日だって余裕★」「二日目でも安心♪」
日本のテレビで流れる生理用品のCM、皆さんも一度は目にしたことがありますよね。
果たして生理中に「快適」で「安心」した日々を送れてる人はいるのか…?
きっと少ないはず。
初潮を迎えてから私たちが何十年もの間付き合わなければならない生理。女性と男性間、また女性間において生理に関する認知の相違はまだまだ根深いものですが、せめて私たち女性間でのわだかまりは無くしていけたらいいなと考えています!
・生理は辛くて当たり前!
ここで、韓国の生理用品のCMをシェアします。
日本企業のCMからは「生理は快適に過ごせるんだ!」というポジティブな印象を受けますが、こちらのCMは真逆といってもいい程。
というか、そもそも生理とは本来そういうものなハズ…。
日本の生理用品のCMは、「毎日快適に!」「生理の日もすっきり過ごそう!」といったキャッチコピーがほとんど。まるで月経の辛さを無視しているように思えませんか?
(普通に考えて24時間血液垂れ流しているんだから、生理用品一つで快適に⭐︎なんてそんなことありえないよね。)
CMはもちろん男性も見るので、男性の生理への関心や認知が低いのはこのような広告の影響も大きいと思います。
もう一つ考えられるのは、幼い頃からの教育です。日本の保健体育の授業では、女だけが集められ、生理について教えられた人が多いと思います。男だって生理のことは最低限知っておくべきなのに。
・認識の違い
友人から聞いた、当時付き合っていた彼氏との会話です。
二人で自宅で過ごしていた際、生理中だった彼女は「あ、今血出たかも。服に漏れちゃってない?」と心配そうに彼に確認したそう。すると彼は「漏れてないよ、大丈夫。」と答え、彼女が安心したのも束の間。「てかさ、それ我慢できないの?俺の部屋で漏らさないでよw」と続けたそうです。我慢できないの?漏らさないでよ?嘘でしょ…と彼女は絶句したそう。
これを読んだあなたも「は?!そんなことある?」と思いましたよ。
あるんです。実際に聞いたお話。
それくらい男性は生理に関する知識をほとんど持っていません!
それもそのはず。授業で性別によって分けられてしまうような性教育をしている国では、女兄弟がいない限り男性は、生理について知る機会があまりにも少ないのです。
生理用品は、日本で税率が10%にあがったときに軽減税率の対象外となりました。
全ての生活必需品(トイレットペーパーやティッシュなど)が軽減税率対象なわけではありませんが、少子高齢化を問題視している日本において女性が生きやすくなるような取り組みをしているとは到底思えません。
これは「女性は辛いんだぞ!贔屓しろ!」ということではなく、男性と女性の身体には決定的な違いが生まれた時からあって、普段の生活を送る上で必ず辛く痛い思いをする期間があるということを知ってもらいたいだけ。
もし、あなたに彼氏やパートナーがいて、その人が生理について何も知らなかったらこの記事を読んでもらってください!
「生理はしんどいし、痛いもの。前の彼女/姉妹は平気そうだった?知るか!私は毎月毎月痛くて辛いのを耐えている!」
これは紛れもない事実ですし、生理用品のCMで謳われているような快適さは、生理中には全くもってないと知ってもらうことが重要です。
同じ女性でも、辛さの加減は人それぞれ。
そこの理解もとても必要だと感じています!!
・生理との付き合い方
まだまだ生理は、男性には理解され難い状況が世の中には沢山あります。
筆者である私もこんな経験があります。
生理期間の2日目が一番身体が重く、休暇を頂かなくてはならないほど辛い日が多いのですが、数ヶ月前に別の仕事で「毎月これでは困るから何か対策をとれるといいねえ。」と男性の仕事仲間に言われてしまいました...。
私は仕事を休んだ罪悪感に追い討ちをかけられた気がして、精神的にもしんどかったです。
こっちは10年以上生理と付き合ってんのに!!
一度も生理のきたことのない男性に「対策を」だと?!?!
とただでさえ不安定な期間なのにめちゃめちゃイライラしました😭
結局私は「月によって体調の良し悪しは自分でコントロール出来るものではないですが、仕事に支障をきたさないように努めます」と、オブラート100枚重ねで返信しました。
(既読無視されたけどね)
しかしこの返信以降、次にお休みの連絡をした際は体調を気遣ってくれるような返信がありました。思わずびっくりしましたが、言ってみるものですね。
学校や職場で、私と似たような嫌味を言われたなどの経験をされた方は少なくないと思います。その時は勇気を振り絞って反撃してみて!生理の辛さは男にはひっくり返ってもわからないんだから。
月経は女性にとって生理現象です。当たり前のことなんです。お腹が空いたりトイレに行きたくなったりするのと同じことで、自分の努力で月経を止めることはできません。
あなたの痛みはあなたにしかわかりませんし、それを誰かに咎められたり責められたりするのは間違っていると断言します!月経痛が辛い時は思い切って休息をとりましょうね。。。
性別は関係なく、人はみんな生理と戦ってきた女性であるお母さんから生まれてきます。ですから、生理に対しての理解は必要不可欠なのです。
大切な家族や友人や恋人、その人が女性である限り必ず毎月辛い日があります。気遣いの一言でも掛けてあげるだけで、その人は安心できます。
いつかは、身近な男性が体調の辛い女性の為に生理用ナプキンを買いに行ってあげるのが当たり前の、理解のある世の中になったらいいですよね。生理は決して恥ずかしいことではない!女性にとって、とっても大事な生理現象なんですから。
・専門家の先生とのQ&A
今回は、産婦人科専門医の三輪綾子先生に生理あるあるなことをお聞きしてみました!「そんなのもう知ってるよ〜」って人も、もう一度確認してみてください。安心出来ることがあるかも!
Q:基本的に生理が軽い人と重い人の違いはなんですか?
A:一概に生理が軽い人重い人と言っても、月経血の量の違い、痛みの違い、生理に伴う症状の違い、などいくつかの項目に分けて考える必要があると思います。
子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの子宮に疾患のある人はそれが原因で月経が辛いと感じている可能性があります。一方で子宮には何も見た目の異常が確認できないけれど月経が辛い人もいます。
また痛みに弱い人強い人、月経周期でのホルモン変化に対する体調の変化が著明な人そうでもない人、など月経にまつわる症状は多種多様です。それ故、他の人と比べるものではないのです。
「私はあの子より月経辛くなさそうだから私は我慢しないといけないな。」「お母さんも生理痛辛かったけど我慢してたって言ってたな。このくらいは我慢するべきなんだ。」なんてことはありません。
我慢しても大きな改善はありません。子宮に疾患のある人は症状がひどくなることも考えられます。辛いと思ったら一度婦人科で相談してみると良いでしょう。
Q:普段生理痛が重いのですが、たまに軽い月があります。これは何が原因ですか?
A:月経も毎回同じというわけではありません。生活リズムの乱れが月経に著明に現れる人もいれば、たまにある無排卵周期でいつもとの違いを自覚する人もいます。しかし普段月経痛が重いのであれば、軽い月があるにせよ、一度婦人科の診察をおすすめします。
Q:生理前にどうしてもイライラしてしまって、周りの人に当たってしまいます...。イライラや食欲が爆発してしまうのは何故ですか?
A:排卵してから月経が始まる前にかけてプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが分泌されています。このプロゲステロンは気分変動や食欲の増加、浮腫、軟便や便秘、乳房の張りなど様々な体の変化をもたらします。
月経前とそうでないときの自分の体調の違いが自覚できていることはとても大切です。自覚があるからこそ「この時期には注意しないといけないな」と自分で判断し、コントロールできるようになるわけです。
運動やアルコールを控える、規則正しい生活を送るなどである程度改善できると言われています。それでもなかなか改善がみられない場合は低用量ピルも有効ですよ。
Q:生理中のむれやかぶれの対策を教えてください。
A:月経中はどうしてもナプキンかぶれがひどくなる人が出てきます。特に夏。汗や月経血でかぶれを起こしてしまう人がいます。自分に合うナプキンを見つけることや、こまめにナプキンを変えるのも良いでしょう。
石鹸でゴシゴシ洗うのはよくありません。また痒みで引っ掻いてしまい、真っ赤になって婦人科を受診される方をお見受けします。
あまりかぶれがひどい場合は弱いステロイドが有効です。
治りにくくなる前に一度見てもらうと良いでしょう。
Q:生理中の入浴の注意点はありますか?
A:月経中に入浴していただいて問題ありません。
月経血は水圧により基本的には湯船に出てくることもありません。外陰部に付着している血液はしっかりと落とし、入浴しましょう。湯船から出た瞬間に出血することがあるので注意しましょう。
むしろ湯船に浸かることで全身の血流がよくなり、月経痛の原因である痛み物質の代謝も促進され、痛みが緩和される可能性もありますよ。
Q:医師から見て、男女間での生理への理解について何か感じてらっしゃることはありますか?
A:月経は生理現象です。しかし世の中には月経について話したらいけない、触れてはいけない、といった拒否反応があるように思っています。この現象は男性だけでなく、女性も一様にあると感じています。
そして毎月辛いのに「生理ってこんなもんだろう」と決めつけて我慢している人が多いように思います。
女性は月経と共に生きていかないといけません。
どのように月経と付き合っていくのか決めることは、自分の人生を決める上では避けて通れない部分だと思っています。また女性の社会的な活躍により出産の回数、年齢などが変化し、私達の親世代よりも月経の回数は格段に多くなっています。それに伴い女性特有の疾患を発症する人が多くなってきています。
我慢し続けるのは長期的に見ても良いことではありません。
月経に関しての悩み相談をすることにためらいがなくなるような世の中になってほしいと思っています。
三輪先生、ありがとうございました!
辛かったり痛かったり予定通りに物事が進まなかったり…、生理中は本当に気分が晴れないことが多いですよね。
でも、「何故そうなってしまうのか」「じゃあ対策は?」と、生理についての見識を深めていけば、これから先もうまく付き合っていけるのではないでしょうか!先生も仰っていた通り、パターンが読めてきたらある程度はコントロールが可能なんです。
男性からの理解、そして同じ女性でも症状が軽い人と重い人の間でのわだかまりが徐々に減っていき、決して一人で我慢するのではなく周りの理解のもと、過ごしやすい生活環境が訪れることを願ってます✨
監修:三輪綾子
札幌医科大学医学部医学科卒業後、順天堂大学産婦人科学講座に入局。産婦人科専門医、マンモグラフィー読影医、FMF認定超音波医取得。産業医。
その他一般社団法人予防医療普及協力 理事など女性の味方になりたいというミッションをもとに女性のヘルスケアリテラシー向上に従事。
Editor:M.