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Vol.5 スタートアップM&Aの組織開発

PMIを実施するにあたり、一番大事なのは組織開発だと思います。

なぜなら、異なる文化の企業が交わり、同じゴールに向かって切磋琢磨していく必要があるからです。

1つの企業の中でさえ、組織運営は難しいと言われるのに、2つの企業がクロスしながら運営していく状況です。また、売り手側の社員に関しては、いきなりM&Aとなり、日々不安を感じてます。

組織開発とは、組織がWorkするための意図的な働きかけであり、組織内での求心力を醸成する手法です。組織開発がないと、従業員の遠心力が発生する。いわゆる、多様性の増大により、各個人の動く方向性がバラバラになる。


組織開発とは

組織開発のプロセスには、2つあります。

  • 診断型組織開発

  • 対話型組織開発

診断型の組織開発とは、有効なデータを収集し、客観的な問題解決方法を用いて、計画的な変化をもたらす。アセスメントやインタビューの結果を整理し、フィードバックする取り組み。

対話型の組織開発とは、「問うことによる組織変革」
人々の語り方や会話のパターンを「変革すること」を通して、
組織をも「変革すること」ができるものだという考え方に基づいている

PMIの組織開発とは

PMIの組織開発は、親会社と子会社の間にて、求心力と遠心力のバランスの取れた状態を作ることになります。

「求心力と遠心力が最適化した状態」はどのような状態なのか。

子会社からは
・市場の情報/技術動向/商品知識は現場にある。その情報を、親会社が活用できる形で子会社から親会社への情報発信をする

親会社からは
・親会社が良きパートナーとして子会社を理解する感性・包容力を、
子会社に感じさせる行動を。
・子会社が大胆に活動できるメッセージを発信する。
・子会社からの現場の情報を活用しながら、さらなる収益機会を作る。

組織開発をする上で、まずやるべきなのは組織診断になります。

Day1~Month1が勝負

「対象会社の社員の不安の払拭」と「経営陣との信頼構築」、この2つを忠実に実施します。

M&Aを発表した初日は、従業員が一番不安に思うタイミングです。
「自分がいる会社はどうなるのか?」
「今の自分の仕事はどうなるのか?」

買い手としては、買収後にグロースさせて、しっかり利益を出してもらいたいと考えるが。まずやるべきなのは、関係性の構築になります。

①相手(対象会社・社員)を知り興味を持つこと
②共感の接点を探ること
③「利他」と「自利」を統合すること

「働きかける主体」と「働きかける対象」という切り分けを考えるのではなく、あくまでも「関係性」の視点、つまり両者の間に何を生み出すかをという視点で、PMIを行う。

PMIを行う上で大切な心構え

  • 視界の個別性

  • 多様性の理解

  • 感情人の理解

  • 関係性の理解

  • 学習と動機づけ

  • 人間のモチベーション

上記を前提を意識しておくべきです。

視界の個別性

人の視界は異なります。視界とは、距離感×角度×時間感の掛け算で構成されます。異なる視界をどの程度共有できたか、また共有した視界のマッチ度合いが重要。

多様性の理解

ひとことで言うと、対象/ターゲットは画一的ではなく、さまざまなタイプがある。相手のモチベーションタイプを見極めるべき。

感情人の理解

人は感情人であり、「バイアス」がかかる生き物。
加えて、人は「ピーク」と「エンド(最後)」しか覚えていない

関係性の理解

組織を要素還元的な見方をせずに、組織は本数で考え、関係による構築物と考える。

学習と動機づけ

個人の行動はそれと結ぶついた報酬によって強化され、その行動を続けるとされる。

「良い結果なら、欲しいものを得るために頑張る」=誘意性に近い
「悪い結果なら、嫌な目に合わないために頑張る」=危機感に近い

人間のモチベーション

人のモチベーションは、「期待=達成可能性」+「誘意性=目標の魅力」+「危機感」で構成されます。


こういった前提を理解した上で、対象会社の代表と社員と関係性を構築していくべきです。