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Vol.1 スタートアップM&Aの潮流


今後増えてくる、スタートアップM&Aについて

2024年頃から、「スタートアップM&A」という言葉をよく耳にするようになりました。スタートアップが他社をM&Aする買い手側の文脈も、売り手側の文脈でも、話題に上ることが増えています。

従来、スタートアップは買収される側であることが一般的でしたが、最近では買収する側として検討するケースが増加しています。この背景には、スタートアップの成長戦略にM&Aを組み込む企業が増えていることが要因として考えられます。

2024年6月、経済産業省より「スタートアップの成長のための調査報告書」が発表されました。

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/r5reportforstartupgrowth/index.html

報告書では以下のような指摘がありました

スタートアップの成⻑に資する選択肢としてM&Aが考えられるが、IPO前は様々な要因により実施できないとの声を聞く。本調査では実現に向けたポイントを調査した。

IPO前の他社M&Aも、上場準備に関わるいくつかの留意事項を踏まえることで実⾏可能となることが確認された。

スタートアップの成長に向けた調査報告書

これまでIPOを目指す企業にとって「IPO前のM&A」は困難とされてきましたが、近年その認識が変化しつつあります。

上場準備中のM&A推進事例 出典:経済産業省「スタートアップの成長に向けた調査報告書」

2023年には上場準備中にM&Aを実施する事例が増加し、スタートアップの成長戦略にM&Aを組み込む流れが形成されています。

スタートアップにおけるM&A推進の課題

スタートアップの成長戦略の中に、M&Aが入っていくことは分かりました。
今後でてくる話題としては、以下になります。

  • スタートアップでM&A推進する体制をどうすればいいか?

  • 買収した後、PMIはどのようにすればいいか?

  • スタートアップでM&A進めていくにあたり、「誰が」進めるのか?

特に重要なのは人材面での課題です。スタートアップにおいて誰がM&Aを推進すべきか、どのようなスキルセットを持つ人材が適切かが問われています。

PMI統合推進者(マージリーダー)の重要性

M&A後のPMIでは事業計画の達成が重要です。そのため、ファイナンスや事業開発のスキルが必要とされます。しかし、事業計画の達成には組織的な観点での推進が不可欠です。

財務面での調整(PL/BSの調整)により営業利益を改善し、数年かけて買収金額を回収するケースはありますが、財務的な施策には限界があります。そのため、事業面からの改善を図るPMIが重要となります。

しかし、企業というものは、外部から見えづらいものです。

  • 共通言語

  • 理想の人物

  • 会社内での運用ルール

  • コアカルチャー

  • 商品サービス

  • 人材スキル

  • ビジネスモデル

  • コアバリュー

特にコアカルチャーやコアバリューは可視化が困難です。そのため、組織の見えない要素を見極められる「組織を考える」スキルセットが必要となります。

PMI統合推進者(マージリーダー)に必要なスキル

  • ファイナンス

  • 事業開発(営業、マーケティング)

  • プロダクトマネジメント

  • 採用(アクイジション)

  • 組織開発

になります。

今後どこかのタイミングで、M&A統合推進者(マージリーダー)について詳細に書こうと思います。