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光造形3Dプリンターを効率的に使いこなそう|意外と知られていない小技セレクション
光造形 3Dプリンターは精密な出力が可能である反面、印刷時のミスや後処理の手間が発生しやすいという一面もあります。そのため、光造形3Dプリンターに対して「なんだか難しそう」というイメージをお持ちの方もいるんじゃないかと想像します。
確かに、光造形3Dプリンターを使用する上ではFDM(熱溶解積層方式)3Dプリンターとはまた異なる手間も必要になりますが、コツをおさえ、小技を習得していくことで、誰でも効率的に光造形3Dプリンターを使いこなすことができるようになります。
そこでここでは、意外と知られていない光造形3Dプリンター使用のコツや小技を紹介し、失敗を減らし、後処理を効率的に行うための方法を紹介したいと思います。
1. 出力精度を向上させるベッド調整のコツ
ベッドレベリングはFDMプリンターほど頻繁ではないにせよ、光造形プリンターでも重要です。プリント開始時のZ軸ゼロ点の微調整を行うことで、プリントの最初のレイヤーがしっかりと接着され、反りを防ぐことができます。
小技
ベッドレベリングの際、プリントする素材や樹脂の種類に合わせてわずかにZ軸の高さを変えることが有効です。樹脂によって硬化速度や収縮率が異なるため、素材に応じた調整が反り防止や出力精度向上に繋がります。
2. レジンの温度管理を徹底する
SLAプリンターで使用するレジンは、温度に非常に敏感です。低温環境ではレジンの粘度が高まり、層の硬化が不均一になることがあります。結果として出力が失敗する可能性があります。
小技
レジンウォーマーを使用して、レジンを常に25〜30度に保つと、硬化が均一になり、層間の精度が向上します。専用のウォーマーがなければ、ヒートパッドや温かい環境でプリンターを稼働させるのも効果的です。
3. ラフトとサポートの最適化
ラフトやサポート材の配置は、プリント後の品質に大きく影響します。サポートの位置や太さを適切に設定することで、不要な跡が残るのを防ぎ、後処理を減らすことができます。
小技
軽量サポートを選択し、モデルと接触するポイントを極力少なくすることが重要です。サポート同士が密集しすぎないよう、間隔を広めに取ることで、サポートの取り外しが楽になります。ソフトウェアでサポートの配置を手動調整するとさらに効果的です。
4. 洗浄プロセスの効率化
光造形プリント後の洗浄は重要なステップですが、しっかりと洗わないと未硬化のレジンが残り、仕上がりに悪影響を及ぼすことがあります。
小技
2段階洗浄プロセスを導入します。最初はイソプロピルアルコール(IPA)で軽く洗浄し、その後、新しいIPAで再度洗浄することで、よりしっかりと未硬化レジンを落とすことができます。さらに、超音波洗浄機を使うと、微細な部分も効果的に洗浄できます。
5. 最適なUV硬化方法を探る
プリント後の硬化(キュアリング)は、仕上がりの強度や透明度に大きな影響を与えます。硬化が不十分だと、モデルが柔らかく脆くなることがあります。
小技
樹脂の色や透明度に応じて、UVランプの距離や時間を調整することが大切です。特に透明レジンの場合、回転式プラットフォームやアルミホイルで覆ったボックスを使って、光を均等に当てることで、黄ばみや不均一な硬化を防ぐことができます。
6. 効率的なサポート材の除去
サポート材の除去は慎重に行わないとモデルに傷をつけてしまうことがあります。特に細かいパーツが多いモデルでは、サポートを簡単に取り除く方法が役立ちます。
小技
サポート材を除去する前に、モデル全体を温水に浸けることで、サポート材が柔らかくなり、取り外しが容易になります。また、カッターやピンセットを使用する際は、細部を保護するために小さな接点部分から切り始めるのがコツです。
7. レジンの保管方法と再利用のポイント
未使用のレジンを正しく保管しないと、品質が劣化し、次回のプリントで問題が発生する可能性があります。また、残ったレジンを再利用する際には、適切なフィルタリングが必要です。
小技
レジンは遮光容器に入れ、直射日光を避けた冷暗所に保管します。使用前にはフィルターを使ってレジンを濾し、固まった粒子を取り除くことで、次回のプリントの品質を維持できます。使い切れなかったレジンもフィルターを通せば再利用可能です。
8. 表面仕上げを滑らかにするテクニック
光造形プリントでは、表面が少しざらつくことがあり、仕上げのために研磨が必要です。特に透明なモデルでは、表面を滑らかにすることが重要です。
小技
細かいサンドペーパー(1000番〜2000番)で優しく表面を研磨し、その後透明コーティングスプレーを使用すると、表面が滑らかになり、光沢が増します。特に透明レジンの場合、この方法を使うとクリアな仕上がりが得られます。
9. 精密パーツの後処理を楽にする方法
細かいディテールを持つパーツは、後処理が難しいことがあります。特に手作業でのヤスリ掛けなどは、時間と労力を要します。
小技
電動ヤスリやダイヤモンドファイルを使うことで、手作業よりも短時間で精密な研磨が可能になります。また、超音波洗浄機を併用することで、微細な箇所もスムーズに処理できます。
10. レジンの種類に応じた特別なケア
光造形プリンターで使用するレジンは多種多様で、それぞれの特性に応じたメンテナンスが必要です。特定の用途に合わせたレジンを使う場合、使い方に合わせた工夫が重要です。
小技
耐衝撃性レジンや高温耐性レジンを使用する場合、硬化後に再加熱処理を行うことで、さらに強度を向上させることができます。また、フレキシブルレジンの場合、硬化時間を短めに設定し、柔軟性を保つことも効果的です。
まとめ
あらためて、光造形 3Dプリンターを効率的に使いこなすためには、いくつかの工夫と適切なメンテナンスが欠かせません。ここで紹介したコツを理解し、小技を実践することで、出力の精度を上げ、失敗を減らし、後処理を効率化できるはず。日々のメンテナンスやプリントプロセスを見直し、最適な方法で光造形プリンターを活用していきましょう。