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サポート材の除去を成功させるためのコツと手順

SLA(光造形)方式3Dプリンターは、液体樹脂を硬化させて高精細な造形物を作り出す技術です。その際、複雑な形状やオーバーハング部分を支えるために、サポート材を使用します。

しかし、造形が終わった後、このサポート材を適切に除去しないと、造形物が破損したり、表面に傷がついたりすることがあります。本記事では、サポート材の除去をスムーズに行うためのコツと具体的な手順について解説します。


1. サポート材の役割と除去の重要性


サポート材の役割

SLA方式の3Dプリンターでは、造形物の一部が宙に浮いている状態(オーバーハング)や、複雑な形状の場合に、樹脂を支えるためのサポート材を追加します。これにより、造形物が正しく形成され、形状の崩れを防ぐことができます。

サポート材除去の重要性

造形が終わった後にこのサポート材を取り除くことが必要ですが、適切な方法で行わないと造形物に損傷を与える可能性があります。特に、細かいディテールや薄い部分では、注意が必要です。除去作業を丁寧に行うことで、造形物の表面品質を保ち、美しい仕上がりを実現できます。


2. サポート材除去のための準備


必要なツール

サポート材を安全に除去するためには、以下のツールを準備します。

  • ニッパーまたはカッター: サポート材を切り取るために使用します。刃が鋭く、操作しやすいものを選びましょう。

  • ピンセット: 細かい部分のサポート材を摘み取るために便利です。

  • デバリーツール(バリ取り工具): 小さなバリや残ったサポート跡を取り除くために使用します。

  • サンドペーパー: サポート材を除去した後の表面を滑らかにするために使います。目の粗さが異なるものを揃えておくと良いでしょう。

  • アルコール(イソプロピルアルコール): 除去作業後に造形物を洗浄し、表面の残留物を取り除くために使用します。


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環境の準備

除去作業は慎重に行う必要があるため、明るい場所で作業することが重要です。また、小さなパーツやサポート材が散らばらないように、作業台の上にシートを敷くと良いでしょう。


3. サポート材の除去手順


ステップ1: 大まかなサポート材の切断

まず、造形物から大きなサポート材を切り離します。ニッパーやカッターを使って、サポート材の根元から慎重に切り取ります。このとき、造形物に直接力がかからないように注意してください。特に、薄いパーツや細かいディテールがある場合は、力の加減に細心の注意を払う必要があります。

ステップ2: 残ったサポート材の除去

大まかな部分を除去したら、次に細かいサポート材を取り除きます。ピンセットやデバリーツールを使って、造形物に残った小さなサポート材やバリを丁寧に取り除きます。このときも、造形物を傷つけないように、慎重に作業を進めてください。

ステップ3: サポート材除去後の表面処理

サポート材を除去すると、造形物の表面に小さな凹凸やサポートの跡が残ることがあります。これを滑らかにするために、サンドペーパーを使って表面を研磨します。最初は粗めのサンドペーパー(120〜220番程度)を使い、次に細かい目のサンドペーパー(400〜600番程度)で仕上げます。この工程を丁寧に行うことで、造形物の表面が滑らかになり、見栄えが大きく向上します。


4. サポート材除去のコツと注意点


コツ1: 適切な切断方向と角度を選ぶ

サポート材を除去する際には、切断する角度や方向が重要です。造形物の形状をよく観察し、最もストレスがかからない方向からサポート材を切り取るようにしましょう。これにより、造形物の破損リスクを最小限に抑えることができます。

コツ2: 力加減を調整する

サポート材を除去する際、力を入れすぎると造形物が破損する可能性があります。特に薄い部分や細かいディテールがある場合は、力加減を調整して慎重に作業を行うことが重要です。作業中に造形物が動かないように、しっかりと固定しておくと良いでしょう。

コツ3: 適切なツールを選ぶ

作業に使用するツールは、造形物のサイズや形状に応じて適切なものを選びます。小さなパーツにはピンセットを、大きなサポート材にはニッパーやカッターを使用するなど、用途に応じたツール選びが重要です。

コツ4: 造形物の設計段階でサポート材を最小限に抑える

サポート材の除去が難しい部分が多い場合、造形物の設計段階でサポート材を最小限に抑える工夫をすると良いでしょう。造形の方向を工夫する、オーバーハングの角度を変更するなどして、サポート材の必要性を減らすことで、後処理の手間を軽減できます。


5. サポート材除去後の仕上げとチェック


仕上げの確認

サポート材の除去が完了したら、造形物全体をチェックします。特に、サポート材があった部分の表面が滑らかになっているか、傷がないかを確認します。必要に応じて、さらにサンドペーパーで仕上げを行い、満足のいく仕上がりに整えます。

最終洗浄

最後に、アルコールで造形物を洗浄し、除去作業中に付着した汚れや油分を取り除きます。これにより、造形物がクリアで美しい状態に保たれます。


6. 失敗しやすいポイントとその対策


サポート材の過度な除去

除去作業に集中しすぎると、必要な部分まで削ってしまうことがあります。除去する前に、どの部分がサポート材であるかをしっかりと確認し、作業を進めるようにしましょう。

力の入れすぎは厳禁

造形物を破損させる最も一般的な原因は、力を入れすぎることです。特にデリケートな部分には、十分な注意を払い、必要以上の力をかけないように意識しましょう。


SLA方式3Dプリンターでのサポート材除去は、造形物の仕上がりを左右する重要なステップです。適切な準備と丁寧な作業が、美しい最終結果を生む鍵となります。この記事で紹介したコツや手順を参考にして、サポート材除去を成功させ、高品質な造形物を作り上げてください。


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