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【完全版】3Dモデリングの基礎知識と初心者がつまずきやすいポイント・前編

今回は3Dモデリングについて、その基礎知識と初心者がつまずきやすいポイントを前後編に分けて解説したいと思います。

まだまだ3Dモデリングは始める上でのハードルが高いと言えます。単純に「なんか難しそう」というのもあると思います。ただ、これまでも紹介してきたように3Dモデリングはこれからの10年もっとも需要が伸びるだろう技術です。苦手意識を克服し、今から始めておけば、必ずや役立つはずです。

これまでパソコン上でデータ作りとかをしたこともないから、本当になんにも分からない、そう思った方もいるかもしれません。しかし、みんな最初はそうでした。とにかく、まずは基本的なところから見ていきましょう。


「なんのため?」「なにを?」「どうやって?」


そもそも一口に「3Dモデリング」と言ってもいくつか種類があります。

え、漠然と3Dプリンターの出力のためのデータを作ることをモデリングと呼ぶと思ってた! そう思った方もいるかもですね。もちろんそれも一つです。ここでは3Dモデリングを「なんのため?」「なにを?」「どうやって?」という三つの問いに分けて見ていきます。

まず「なんのため?」について。3Dモデリングを行う場面、目的は様々ですが大きく分けると3パターンあります。

①3Dプリンターの出力データの制作 
②VRやゲームの制作
③アニメやイラストの制作

主にはこの3つです。

それぞれに全然違います。私たちが学びたいのは、ここでは①3Dプリンターの出力データの制作になります。

さらに3Dプリンターの出力データを作る上でも今度は「なにを?」が問われてきます。これは本当に様々あるんですが、一般的なところでは、

①フィギュア
②メカ
③スマホケース

などのプロダクト試作、あたりになるでしょう。

そして、もう一つが「どうやって?」。つまり、モデリングを行う方法です。これには、

①スカルプト
②ポリゴンモデリング
③CAD

の3パターンがあり、それぞれに特徴があります。

いずれもモデリングソフトを使って作るんだが得意分野が違います。解説していきます。


スカルプトとポリゴンモデリングとCAD


①スカルプト

まず①のスカルプトです。これは人物、自然物などの有機的形状に向いた方法で、粘土をこねるようにしてモデルを作っていく方法になります。 直感的にモデリングできること、そして、ディティールを表現しやすいことも特徴です。モデリングソフトとしてはzbrushなどが代表的ですが、CADやポリゴン系のソフトにもスカルプト機能がつくようになっていて、最近の流行でもあります。たとえば、美少女フィギュアとかを作る上ではこのスカルプトがおすすめと言えるでしょう。



②ポリゴンモデリング

続いては②のポリゴンモデリングです。こちらはメカ、ビルなどハードサーフェスに向いたモデリング方法になります。スカルプトの粘土に対してプラ板工作のようなイメージです。頂点を繋いで面を作っていくことでモデルを作っていくスタイルで、代表的なソフトとしてはBlenderなどがあります。面と面で立体を作っていくお馴染みの形です。



③CAD

そして③のCAD。こちらは寸法を正確に作りたいもの、車や飛行機などの流線形状を含むもの、メカなどの可動フィギュアに向いています。工業製品の出力に使われることが多い印象です。CADソフトはホビーユースならFusion360がオススメ。個人なら無料で全機能が使えるし、Youtubeにチュートリアル動画も豊富にあります。次点でShapr3Dですが、これはiPad Pro+Apple Pencilのみで、高解像度書き出しなどのプロ機能は有料になります。ちなみにCADは「Computer Aided Design」の略であり、要は「コンピューターを用いて設計する」ことを意味します。



いずれにしても、3Dモデリングデータは作る上では用途に応じた様々な方法があり、今紹介した3つの方法がもっとも代表的です。実はこのほかにもボクセル(マインクラフト式)やプロシージャル(自動生成)などのカッコいい方法もあるのですが、これはまた別の機会に紹介したいと思います。


3Dモデリングの3つの表現方法

3Dモデリングには、上記で説明した3つの種類のほか、ソリッドモデル・サーフェスモデル・ワイヤーフレームモデルの3つの表現方法があります。

3Dプリンター出力用のデータは基本的にはソリッドモデルですが、基礎知識としてそれぞれの表現方法を知っておくのも良いでしょう。

ここでは、それぞれの表現方法の違いを解説します。


①ソリッドモデル



ソリッドモデルは、必ず全ての面が閉じられた形状となっており、完全な立体となっています。

閉じられた立体には体積があり、立体の内部情報を持っている点が特徴。3Dモデルの出力の際に完全な立体として出力できるほか、CADにおいて、重心の計算にも用いられます。



②サーフェスモデル


サーフェスモデルは面で形成された3Dモデルで、必ずしも面が閉じた形状である必要はありません。面は厚みを持っていないため、ポリゴン板の組み合わせで作られています。

3DCGなどもサーフェスモデルで表現されていると考えることができます。



③ワイヤーフレームモデル



ワイヤーフレームモデルは面を持たず、頂点と線のみで立体を表現するものです。

内部情報を持たず、面も省略されているため、データ量が少なく編集がしやすいメリットがあります。3Dモデルを作る際に、全体のイメージを形にする際に便利な表現方法です。


3Dモデリング初心者におすすめの無料ソフト5選


初心者のうちから高価なソフトを購入するのも否定しませんが、高価なソフトを買って躓くとダメージが大きいもの。まずは、無料で使えるソフトで3Dモデリングを体験してみるのが良いと思います。

近年では、フリーソフトでも高度なモデリングが可能なソフトも多く、3Dモデリング入門への敷居は低くなっています。

ここでは、無料で使える3Dモデリングソフトを紹介します。



Blender(ブレンダー)




Blenderは、無料で使える3Dモデリングソフトの中でも、最も知名度の高いソフトの1つです。

全ての機能を無料で利用できるにも関わらず、本格的な3Dモデリングが可能となっており、外部のアドオンをインストールすることで、幅広い3Dデータのインポートにも対応しています。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の3DCGにもBlenderが使用されたことから、有料版のソフトにも勝る優秀なソフトであることが分かります。(参照:『シン・エヴァ』で3DCGを手がけたプロジェクトスタジオQ、Blenderの魅力を語る

Blenderの使用方法はYouTube動画やブログ記事でも多くまとめられており、利用するに当たってのヒントが多い点も嬉しいメリットです。標準で日本語に対応している点も使いやすいです。

3Dモデリング初心者が最初のソフトを選択する際には、Blenderを選んでおけば間違いないと言えます。


→Blenderはこちら


Sculptris


Sculptrisは、スカルプトモデルを作成できる無料3Dモデリングソフトです。

Sculptrisでは、初期画面に表示される球体を粘度をこねるように形成していくだけで、クオリティの高い3Dモデルを作成することができます。直観的な操作で3Dモデルを作成することができるため、ポリゴンでの3Dモデル作成にハードルを感じる方にも試して欲しいです。

スカルプトモデルでは、滑らかな質感の3Dモデルを作成できるため、フィギュア造形用の3Dプリントデータ作成にも役立ちます。

ソフト自体は英語表記なものの、日本語マニュアルが配布されているので、使いやすいソフトの1つです。


→Sculptrisはこちら


SketchUp(スケッチアップ)



SketchUpは、建築・設計に特化した3Dモデリングソフトです。

直観的な操作で建物やインテリアをモデリングできるため、3DCADの入門用ソフトとしても支持を集めています。

SketchUpには有料版と無料版があり、個人向けの無料プランでは、10GBのクラウドストレージとモバイルビューアへのアクセスを利用できます。


→SketchUpはこちら

参考:初心者必見!3Dモデリングの基礎知識やモデリングの種類、3Dモデルの作り方を解説 | SketchUp Pro Japan



Tinkercad(ティンカーキャド)



Tinkercadは、ブラウザ上でCADでの3Dモデリングが作成できる、無料の3Dモデリングソフトです。

ブラウザ上で利用することができるため、ダウンロード不要で、PCのOSやスペックをある程度気にせずに利用できる点も嬉しい。

Tinkercadでは、用意された立方体や球体などのオブジェクトを組み合わせることで、直観的に3Dモデリングを行うことができるため、子どもの3Dモデリング学習にも最適です。

日本語表示にも対応しているので、初心者や子ども、親子での3Dモデリングに活用してください。


→Tinkercadはこちら


Metasequoia(メタセコイア)



Metasequoiaは、ポリゴンモデルを作成できる3Dモデリングソフトとなっており、無料の3Dモデリングソフトでは、Blenderと並び人気の高いソフトの1つです。動作が軽い点が特徴となっており、インポート・エクスポート可能なデータ形式が幅広い点もメリットとなってます。

ただし、Metasequoiaには有料版・無料版があり、無料版ではインポートやエクスポートに制限が設けられています。

 →Metasequoiaはこちら


3Dモデリングの専門用語


ここまで3Dモデリングの「なんのため?」「なにを?」「どうやって?」の3つの問いを解説してみましたが、それらを踏まえた上で初心者がつまづきやすいいくつかのポイントがあります。たとえば「3D用語が理解できない」という点。3Dモデリングには専門用語が多く、スムーズにモデリングを行う上では、ある程度、専門用語を理解しておく必要があります。

以下ではいくつか、重要な3D用語を取り上げてみます。



・XYZ

まずモデリングを行うのは3D空間になるから、X軸、Y軸、Z軸を把握していないと迷子になってしまう。通例でXYZは赤、緑、青であらわされる。2Dデザインをやってる方ならRGBと覚えればいいだろう。が、どれが上か、は、ソフトによって異なるので要注意だ。モデリングソフトは縦軸がYであることが多いが、3Dプリンタは上下をZ軸と呼ぶので、一瞬「???」となりがちだ。


・メッシュ、ポリゴン 、エッジ、頂点

3Dモデルにおいては、頂点を結んだエッジで囲まれた面からなるポリゴンが集まってメッシュ状になっている。このメッシュの細かさ、つまりポリゴンの多さが、そのモデルのディテールの細かさ、データの重さに直結する。3Dプリントにおいてはデータが重くなりすぎないよう注意する必要がある(業者がうけつけてくれない、送信中にエラーになるなどの可能性あり)。ポリゴンモデリングでは、このポリゴンをきったりはったりのばしたりしてチクチクとモデリングしていくことになる。


・ファイル形式 OBJ、STL、その他3DM、VRMLなど…

3dプリントできる形式のファイルは複数ある。使用しているソフト、出力するプリンタで対応している形式を調べておいて、最終的にそれに合わせて変換する必要がある。


・UVとテクスチャ、頂点カラー

もともとフルカラーの3DCGに使われ、通常のプリントでは関係ないのだが、フルカラープリントする場合はUV展開してテクスチャデータを用意するか、頂点カラーを塗っておく必要がある。UVとはXYZと同じく座標を表す用語で、3次元の情報であるメッシュを展開して、2次元の座標に対応させる作業をいう。テクスチャとは形状の情報しか持っていない3Dデータに対して色や質感を与える情報のことだ。形状を作成するモデリングに対して、こちらの作業はテクスチャリングと呼ばれている。


もちろん、この他にも様々な用語があります。分からない言葉があったら、なんとなくでスルーせずに検索して逐一調べておくのが良いでしょう。

というわけで前編はここまで。後編ではさらに「3Dモデリングを始める上でつまずきやすいポイント」を紹介していこうと思います。

後編はこちらhttps://note.com/skhonpo/n/n12822cb71d17



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