幼稚園のPTA会長を経験した話
「どなたかやっていただけませんか?」
幼稚園の役員決めの場で、先生の声が響く中、
保護者たちの間には重たい沈黙が流れていました。
この瞬間が苦手な方も多いと思いますが、私もその一人。
今から6年前。長女が幼稚園年長、次女が年少の春。
最初はやらないつもりだったんです。
ちょうどパートの仕事が決まったばかりで、
仕事と家庭の両立に精一杯になるだろうと思っていたので。
でも、あの沈黙に耐えきれずに手を挙げる自分の姿が容易に想像がつきました。
「どうせやるなら、友人と一緒に立候補したほうが楽しいかもしれない」と思い直し、
親しい友人に「一緒に役員やらない?」と声をかけてみたところ、快く承諾してもらえました。
年長の役員決めは予想通り、私と友人以外は誰も手を挙げず、
他の役員はくじ引きで選ばれることに。
当たりくじを引いてしまった人は膝から崩れ落ちていました…
当時は年長の役員から会長を選ぶのが通例でした。
私から声をかけた友人や、
くじ引きで選ばれた他の役員さんに
「会長お願いね」と押し付けるわけにもいかず、
最終的に私が会長を引き受けることに。
それが私の波瀾万丈なPTA生活の始まりでした。
運動会の準備と達成感
幼稚園のPTA役員の主な仕事は、
幼稚園行事のサポートをすること。
特に大変だったのは運動会の準備でした。
14人の役員メンバーを取りまとめのほか、
Excelで進行表を作成し、
30人以上の保護者の役割分担を考えたりと、
思った以上にやることが多かったです。
リハーサルを終えた後で、「段取りが悪い」というようなクレームを受けて落ち込んだことも…
しかし、運動会当日、無事に全てのプログラムをやり遂げ、
子どもたちや保護者が笑顔で楽しんでいる様子を見たときは、
達成感で胸がいっぱいになりました。
そして、見に来てくれた両親から
「よく動いていたね」「だれにでもできることではないよ」と言ってもらえたのが、
本当にうれしくて。
「やってよかったな」と心から思いました。
謝恩会での予想外の出来事
もう一つ、忘れられないのが謝恩会のエピソードです。
進行を考え、スライドショーや装飾を作成し、
役員みんなで先生への感謝を形にしようと意気込んでいました。
ですが、開催間近になって
コロナ禍の緊急事態宣言が発令され、近隣の学校が休校になる事態に。
幼稚園も謝恩会そのものが中止になり、大きな挫折感を味わいました。
それでも「準備してきたものを何とか活かしたい」と思い、
スライドショーをDVDに焼いて配布したり、
装飾を卒園式の会場に活用したりと、工夫を重ねました。
また、先生方にお願いして、保護者が練習していた余興だけは卒園式で披露させてもらいました。
予想外の状況でしたが、みんなで協力して最後まで形にできたことは、
今でも大きな自信になっています。
チームの力とメンバーの個性
14人の役員メンバーには、それぞれ違った得意分野や個性がありました。
デザインが得意な人がきれいなプログラムを作ってくれたり、
アイデアをどんどん出してくれる人が準備を盛り上げてくれたり。
副会長の2人は、それぞれのチームをうまくまとめてくれて、常に頼れる存在でした。
最初は控えめな印象だった人も、実はハンドメイドが得意で、
装飾をとてもきれいに仕上げてくれました。
このように、一人ひとりの得意なことを活かしながら協力できたからこそ、
大きな行事を乗り越えることができたのだと思います。
それぞれの違いが、チーム全体の強みとなったことは、大きな財産になりました。
PTA会長の経験を活かしたい
PTA会長としての経験を通して、
「みんなで協力して何かを成し遂げることの大切さ」を改めて実感しました。
そして、自分自身もリーダーとして
「他の人の意見を丁寧に聞く」
「得意なことを見極めて任せる」
「最終的には自分が決断する」という役割を果たせたことが大きな学びでした。
これらの経験は、今後の仕事にも活かせると感じています。
オフラインでも、オンラインでも、チームワークが必要な場面があります。
PTAで学んだ「チームメンバーの個性を見極めて役割を分担する力」や「柔軟に対応しながらタスクを進める力」は、
チームで仕事をするうえで欠かせないスキルだと思っています。
役員の仕事は大変なことも多かったですが、
それ以上に得られるものもたくさんありました。
この経験を通して感じた「人と協力する楽しさ」や「やり遂げる喜び」を、
これからの仕事や生活でさらに活かしていきたいと思っています。